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「そういえばさぁ…」
「ああん?話しかけてくんじゃねえよ」
今日の稽古も終わり、汗だくになった身体を爺ちゃんがくれた羽織で拭いながら兄弟子、獪岳に話しかける。
コイツ…!!いつも俺が話しかけたら不満そうにしやがって!
何が気に食わないんだ…?!
「兄貴ってさ、いつも桃食ってるじゃん?」
「…」
相槌もせず兄弟子はすたすた、と俺の前を歩くのを俺は鴨の子供のようについて行く。
「桃…好きなの?」
「はぁ???」
ふと、歩みを止めて聞いてみれば眉間に皺を寄せて呆れた表情をしてこっちを振り向く。
いやそんな怒らなくて良いじゃん。
俺は兄弟間でのコミュニケーションが取りたいだけなのに!!
「……別に」
「ええ!?そんな好きでも嫌いでもないものをアンタは態々食べてるの!?」
大袈裟に言うとハァ…と溜息を吐かれて獪岳はまた前を向いて足を進める。
でも俺耳が良いから聞こえたもんねー
好きなの?って聞いて咄嗟に嘘ついたの音で分かったもんねー
………でも何で嘘ついたんだろ
「………そういうお前は」
「んぇ?」
「そういうお前は何が好きなんだよ。」
急に話しかけられて素っ頓狂な声が出た。いやしょうがないじゃん!?!?あの獪岳が!?鬼みたいな兄弟子が!!爺ちゃんしか視界に入れて無さそうな兄弟子が!!!
俺に話しかけてくれるなんて…♡
「そりゃ、勿論、獪岳だよ!!」
と、にぃっと口角を上げて良い笑顔を見せる。
「…………え、お前男色なのかよ………グズでカスに加えて気持ち悪い趣味してんのか……」
やはりこの時代、男を好きになる男なんて滅多にいない。
ずっと歩きながらの会話で兄貴は振り返ってくれないから、表情は分からないが自慢の耳に不満と怒りと嫌悪の音が入ってきた。
「ひどくない????」
俺は泣いた。