テラーノベル
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朝、いつもより、
制服の第一ボタンがきつく感じた。
食欲もなくて、
口に運んだパンの味さえよく分からない。
LINEの“大好き” “愛してる”は、
ずっと脳裏から離れないまま。
登校時間、校門の前で若井の姿が見えると、
鼓動が一気に速くなった。
今日だけは目を合わせるのも緊張する。
滉斗『おはよ、元貴!』
若井は明るい声で手を振ってくる。
その顔が、
どこかいつもより笑みに深みがある気がした。
元貴『お、おはよう…』
こちらは気まずく視線を落とすのがやっと。
一緒に歩きだすと、
若井はじっと僕の横顔を見てニヤリと笑う。
滉斗『…昨日、LINEありがとね』
元貴『……えっ、あぁ、
あ……あれは、その……!!』
いきなり話題を出されて、
心臓が止まりそうになる。
滉斗『“大好き”とか、“愛してる”とか――
俺、めっちゃ嬉しかったけど、』
若井が少し悪戯っぽく笑う。
僕は慌てて手を振りながら、
なんとか弁解しようとする。
元貴『ち、違う!あれは、ほんとに、
妹が勝手に送っただけで!僕、そんな…!///』
滉斗『ふ~ん?』
若井は首を傾げて、
わざとらしく納得していない顔。
滉斗『でも、前から“好き”って、
思ってたんだろ?…じゃあ、
言葉にしてみてよ、どんな気持ちだった?』
元貴『えぇ、そ、それは…///』
滉斗『どのタイミングから、
俺のこと“愛してる”って思ったの?』
元貴『えっ、えっと、そんなの…
分からないっていうか……///』
滉斗『昨日のLINE、10個ぐらい
ビックリマークあったけど、
そんなに俺のこと好きなの?』
若井はにこにこしながら追及の手を止めない。
元貴『っ…とにかく妹の仕業なんだって!///』
滉斗『じゃあ、妹ちゃんのせいにするつもり?』
ジッと覗き込まれる。
元貴『う……ちが…でも、…///』
言葉に詰まって思わず顔が赤くなり、
眉は情けなく下がってしまう。
手の甲で口元をそっと覆いながら、
僕はしょんぼり。
滉斗『まあ正直、
俺すごいニヤけて眠れなかったし』
若井は自分の胸を押さえて、
わざとらしくため息。
滉斗『元貴、可愛すぎ、
でさ――“ほんとはずっと前から愛してた”
って、どのへんから?』
若井の質問は止まらない。
ついにたまらなくあなって、
僕はほとんど蚊の鳴くような声で言う。
元貴『…だいぶ前から、
その…好きだったし、ほんとに……///』
滉斗『聞こえな~い、もっと大きな声で』
元貴『や、やだ…!ここじゃ無理…!///』
若井は豪快に笑って、
そんな僕の頭を優しく撫でてくれる。
滉斗『まあ、またあとで“直接”聞かせて?
俺だけにね』
その言葉に耳まで真っ赤になってしまい、
僕は手の甲で口元をおさえたまま、
ただただ俯いてしまった。
けれど、若井の隣を歩く通学路が、
少しだけ特別で――
心臓が優しく、高鳴っていた。
コメント
4件
うん、可愛い尊い甘々の三点セット最高過ぎますね!!!!!!!!
続きありがとうございます! やっぱり若井ニヤニヤしちゃいますよね( ≖ᴗ≖)てか大森くんまじで照れてるの可愛すぎるᐡ⸝⸝> ̫ <⸝⸝ᐡ私もこの学校に入学して毎日もとパのイチャイチャを見て癒されたい( ◜︎︎𖥦◝ )今回も最高でした。次回も楽しみに待ってます!!