テラーノベル
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「……だめ、ですか? ベッドの下の引き出しに、あるんでしょう。それ、使って見せてください」
理人の思考を先読みしたかのようなタイミングで囁かれ、心臓が跳ねた。 通常の判断力があれば拒絶できたのかもしれない。
だが、今の理人にその選択肢はなかった。飢えた獣のような瀬名の瞳に射抜かれ、身体が言うことを聞かない。
理人は躊躇いがちに引き出しを漁り、ローションのボトルと黒光りするバイブを取り出した。
「理人さん、それじゃ見えないですよ。ちゃんと、こっちに向けて」
「……っ、るせぇ……クソッ」
悪態を吐きながらも、理人は髪を掻き上げ、バイブにローションを滴らせた。瀬名によく見えるよう、わざとヘッドボードに背を預け、画面に向かって脚をM字に大きく開く。
画面越しに、ゴクリと瀬名が喉を鳴らす音が聞こえた。それだけで身体の奥が疼き、先端からとろりと熱い液が溢れ出す。
「っ、ふ……ぅ」
そろりと後ろに手を回し、窄まりに指を這わせる。 解れ、柔らかくなっているそこへ、ズブズブと無機質な質量が飲み込まれていく。
「ん……は……ぅ、んんっ」
「あー、やらしいな……。美味しそうに食べてる」
「っ、いうな馬鹿……あ、んん……っ!」
根元まで挿入し、奥を抉るように動かす。最初は違和感しかなかったはずなのに、見られている興奮のせいか、今は粘膜を擦る振動が恐ろしいほど敏感に脳へ響く。スイッチを入れれば、内壁を叩く微弱な振動に腰が跳ねた。
さらに枕の下からローターを引きずり出し、胸の飾りに押し当てる。もう片方の手で自身を握り込み、瀬名に触れられているかのような強さで扱きながら、夢中でバイブのうねりに合わせて腰をくねらせた。
「ん、あぁ……っあっ、ふ、んん……っ」
「……マジで、やばい。理人さんエロすぎ。僕以外の前で、そんな姿見せたら絶対に許さないから」
瀬名の切羽詰まった声に、理人の支配欲と被虐心が同時に満たされていく。
「ふ、……んっ……俺が、こんな風になるの……お前だけ、だ……っ」
「……理人さん」
「瀬名ぁ、もっと……んっ……もっと……!」
快楽で蕩けた表情。生理的な涙を浮かべ、舌足らずな声で強請る理人を見て、瀬名はぐっと奥歯を噛み締めた。
――ああ、この顔だ。 普段の穏やかな彼とは違う、獲物を狩る雄の顔。
その鋭い視線に射抜かれ、理人は逃げ場のない快感の渦に呑み込まれていく。
「理人さん、イキたいなら自分で言って。……言えるよね?」
「んっ……ぁあっ、イクッ……イきそ……っ、瀬名、瀬名ぁ! いく……ぅ、あっ! 出るっ……!」
「うん、いいよ。イッて……。……俺も、出す……っ」
耳元で、甘く、深く囁かれた瞬間。 理人の身体は弓なりに弾け、瀬名の熱い視線を浴びながら、腹の上に白い軌跡を描き出した。
「……はぁ……はぁ……」
絶頂の余韻で力が抜け、ベッドの上にくたりと横たわる。バイブを中から引き抜くと、全身を襲う気怠さに抗えずそのまま倒れ込んだ。 肩で呼吸を整えていると、画面の向こうから瀬名が愛おしそうにこちらを覗き込んできた。
「ふふ、いっぱい出しましたね。そんなにそのバイブが良かったんですか? なんだか、妬けちゃうなぁ」
揶揄するような口調に、理人の頬に再び熱が集まる。瀬名の言う通り、後ろだけで達したのは初めてだった。
だが――。
「……お前の方が、いいに決まってんだろ……馬鹿」
ぼそりと呟いた本音。 画面の向こうで、瀬名が石化したように固まった。
しまった、と思ったがもう遅い。瀬名は顔を真っ赤にして、口をパクパクさせている。
「えっと……理人さん、それは……つまり……」
「…………」
恥ずかしさで爆発しそうだ。理人は黙ってシーツを頭から被り、完全に丸まってしまった。
「理人さん? 理人さんってば!」
「……うるさいっ! ……っ、早く戻ってこい……瀬名……っ」
理人が蚊の鳴くような声で絞り出すと、画面の中の男は、世界で一番幸せそうに破顔した。
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