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車を運転しながら日光へ帰った。
辺りは昼になっていて鳥のさえずりが聞こえる。
青葉のトンネルをくぐれば
あっという間に店へ帰り着いた。
クルルはまだ眠っているが
サーフィーが声をかけると
パチッと目を開いた。しばらく周りを目で追い見ていたが
突然起き上がりサーフィーの胸ぐらを掴んだ。
「お前、なんで起こさなかった?!」
「え?ぐっすりだったじゃん。起こすのも悪いよ…」
「意味分からねぇよ…運転したのに…」
「いいじゃん。また行くのに。」
呆れた顔をして言うサーフィーに
クルルはイラつきを見せながらも
車から出た。店に帰ればグルが書類をまとめていた。
いつもとは違い、窓を開けて
空気を入れ替えている。
パソコンでパチパチとキーを叩き
変換するとパソコンを閉じた。
「何か分かったろう。」
「うん。真織の関係者…あの指名手配の吉木さ。」
「だと思った。居場所知らねぇけど。」
「ロンドンじゃないの?」
「モスクワかもしれんしロンドンかもな。
移動してるし名前も違うし顔も違うからさっぱり。」
グルがため息をつくと
クルルが速攻否定した。
「そんなワケないでしょう。グルさん、
貴方は何か分かってますよね?いつもそうだ。」
「焦らすな。俺だって真剣なんだよ…」
「吉木は置いといて坂本から対応してくれ。」
グルは断りを入れて
黙った。クルルはグルに攻め寄る。
「隠さないでください。先生なんだから。」
「…言いたくないな。
あの事件には、お前らは関わってほしくないが
義務なんだから…やらなければな。」
「隠す理由含めて何も聞くな。命令だけ聞いてろ。」
攻め寄るクルルにグルは引き下がった。
サーフィーは合間から言葉を言う。
「兄ちゃん、弟に隠すことなんてある?
身内だよ?クルルだって助手なんでしょ。」
そう言うとグルの肩を掴んだ。
物語上では真実を明かすのだろうが、現実は甘くない。
その手は呆気なく振り払われた。
「俺に構うな!巻き込まれ事件にでもしたいのか!!」
カッと睨みつけて声を荒らげた。
クルルとサーフィーはキョトンとして
何も言わなくなった。
しばらくシンと沈黙が続いた。
それに耐えきれなくて
グルは店から出て行ってしまったが
サーフィーが止めた。
「何?逃げるの?」
「は?」
「お前、逃げるなよ?
全部吐くまで逃さないからね。」
「…吐くことなんてねぇな。
まず、事件が隠蔽されてるのも俺のせいだし
依頼を引き受けたところから間違えなんだ。」
「お前らに分かるか?
女に口を塞がれて息ができなくなった気持ちを。」
グルはそう訴えた。
想像ではわかるが、気持ちはと聞かれると分からない。
そんな表情でクルルは唇を噛んだ。
「…息ができないのですか?」
クルルがそう聞くと、グルは頷いた。
「そうだ。思い出すだけで生きている気分じゃないな。」
「薬の量を見ただろう。吐き気がする。」
そう言って、グルは下を向いた。
それにクルルやサーフィーも妙に悲しくなってしまった。