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「リーダーは、………。
以上です。」
先生が呼んだ名前に、すずの名はない。
すず以外のグループの人たちは、呼ばれたのに、だ。
私は、自業自得、と思った。
だって、それだけ日頃の行いが悪かったんだ。
仕方ない。
でも。
そう、切り捨てようとしたけれど。
できなかった。
私は、班が1人だけ違ったからハブられた。
私は、すずを自分のどうしても重ねてしまった。
私には、もう、関係ないはずなのに。
私には、少しだけすずの背中が寂しそうに見えた。
そして、もう一つ。
私にも、試練が与えられた。
選手リレー、という学年で男女かく4人ずつのみ出場できるリレーが今年も行われる。
選ばれたのは、私、すず、その他2人。
もちろん、辞退することだって可能だ。
だけど……
逃げるのは簡単だ。
でも、
今逃げたらこのまま逃げ続けてしまう気がした。
逃げて逃げて逃げ続けたっていい。
別にそれが悪いことだとは言わない。
でも、それだったら、いつまで経っても進めない。
本音を言えば、逃げたい。
嘘をついたって、泣いたって、逃げたって、困らないから。
だって、私と言う存在は、学校の人からすれば学校での私の一面でしかない部分で決められてゆくから。
変に進んで恥かくより、逃げた方が楽だ。
だけど、私はそれで、いいんだろうか。
逃げ続けて、私は堂々と居られるだろうか。
そう思っていたときだった。
一花たちが廊下で喋っているのが見えた。
私たちのクラスももう授業が終わった。
私はなんとなく廊下へ足を運んだ。
そして話しかけようとしたとき、私は違和感を感じた。
これだけ至近距離にいるのだから、向こうは私の存在に気がつくはずなのに、一向に目が合わない。
嫌な予感がする。
「ねえ……」
一花と彩乃に声をかけてみた。
結果はなんとなくわかっていたけれど、それでも1%くらいの希望はあったからだ。
でもその希望は0%になった。
「行こ………」
一花と彩乃は気まずそうにこちらを絶対に見ないように教室に戻った。
一花と、彩乃に、ハブられた。
すぐにわかった。
だって、2回目だったから。
だから、この胸を突き刺すような痛みに私はもう慣れている、はずだった。
なんでだろう。
涙が溢れてきた。
誰にも見られないよう、咄嗟に近くのトイレに逃げ込んだ。
ドアをバタンと閉めた。
痛みから逃げるように。
私はいつもそうだ。
進もうとした途端、いつもうまくいかなくなる。
結局、私の友達だった人は、全員私の元から離れていった。
その事実だけが、私に残った。
そこに残った感情は、枯れた花びらみたいな虚しさだった。
結局私は嫌われ者だ。
悪役。
勝手に名付けて悪いけど、「燃え尽き症候群」だ、みんな。
瑠璃という敵がいなくなって、空っぽになった。
だから、新たな敵を作る。
綻びだらけのボロボロにの絆を必死に繋ぎ止めるために。
でも、
「おかしいよ、そんなの。」
敵がいないと成り立たない絆なんか、絆じゃない。
みんなに向けて吐いた言葉は、昔の私に向かって刃を鋭くして私の元へ戻ってくる。
でもさ、理由くらい教えてよ……
いつもそうじゃん……!
何も教えてくれない。
私が悪いなら、そうやって言ってよ。
勘違いだったらいいのに。
なんでだろう。
振り向けば一花や彩乃、すずやみさきの面影が、どこにだってあるんだ。
声を殺して、涙をこぼした。
なんで私ばっかり!
もう限界なの!ほっといてよ!!
悔しい……!
自分だけが苦しめられる世界が憎かった。
理不尽なこの世界に、反吐が出る。
そう思った。
それが私の中で、何かが外れた瞬間だった。
泣き腫らした私の目には、また別の光が宿っていた。
負けたくない。
諦めたくない………!
私は、私にやり方で、元に戻してみせる……!