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#キャラ崩壊
けるる
49
鬼神半鬼
18
しょうまる
25
「168日後に死ぬ貴方へ」
プロローグ:知らない君へ
木漏れ日が差し込み、ムシムシと暑い病室。
ベッドの上で眠り、たくさんの管で繋がれた青年がいた。
カタル「……ZZZ」
彼の名は「哀木カタル」。生まれつき病弱で入退院を繰り返していた。
カタル「……」
けれど、カタルには唯一、心の支えがある。
いろは「カタル殿〜♪」
そう、幼馴染の「風真いろは」だった。
カタル「いろはか……」
カタルはゆっくりと口を開く。
いろは「あんまり無茶しないでござるよ!」
いろははカタルの近くに置いてある花瓶の手入れをしながら言う。
カタル「あぁ……」
カタルはコクリっと頷く。
いろは「カタル殿、また一緒に登校しようでござるな!」
いろはは笑顔で言う。
カタル「そうだな……」
しかし、カタルの声が何処か上の空だった。
カタル(……残り168日か。医者から告げられ、自分に残された時間は……)
カタルは、元気に花の手入れをするいろはを見つめる。
カタル(このことを知らない……いろはは……)
カタル(知らなくていいな……このことは)
いろは「カタル殿?大丈夫でござるか?」
カタル「あ、あぁ。大丈夫だ」
いろは「そういえば169日後、カタル誕生日でござるな!」
カタル「そうじゃな……」
カタル(奇跡が起きてくれればな……)
いろは「カタル殿、また明日でござる!」
カタル「あぁ……」
カタル(残り168日……)
第一章:平凡な一日
翌日、朝早くからいろはが病室を訪れていた。
いろは「起きれるでござるか?」
カタル「あぁ」
カタルはいろはの手を支えにしながらゆっくりとベッドから降りる。
カタル「ありがとうな」
いろは「今日のリハビリ頑張るでござるよ!」
カタル「あぁ。そうじゃな」
カタルはいろはの肩を借りゆっくりと歩み出す。
カタル「ふぅ……はぁ……」
たったの数歩歩いただけで息が上がる。
足が震え、一歩踏み出すたびに全身に痛みが走る。
カタル「ッ!?」
いろは「座るでござるよ」
いろははカタルを近くにある椅子に座らせ言う。
いろは「本当に大丈夫でござるか?」
カタル「大丈夫じゃよ。このくらいはな」
いろは「そうでござるよね?」
カタル「……心配するな。我は死なんわ」
いろは「本当でござるよな?」
カタル「何故疑うんだ?」
いろは「無理しているように感じるでござる……」
カタル「そんなわけ無いだろ?」
いろは「……」
カタル「そんな顔をするな。いろはよ」
いろは「でも、本当に心配でござるもん……」
カタル「笑顔じゃ、笑顔!」
カタルは無理矢理な笑顔を作る。
カタル(……もし、いろはがあのことを知ったらどう思うじゃろうな)
カタルは首を横に振る。
いろは「カタル殿?急にどうしたんでござるか?」
カタル「あ、いや、なんでも無い」
いろは「本当でござるか?」
カタル「あぁ。本当だ。昔約束しただろ?お互いに隠し事は無しだと」
いろは「そうでござるけど……」
カタル「よし、行くか」
カタルはまたゆっくりと立ち上がる。
いろは「じゃあ、リハビリ室に行くでござるよ!」
カタル「ちょ!?引っ張るなぁぁぁぁ!?」
カタルの絶叫が響き渡った。
看護師「アハハハ……」
それを聞いていた看護師は苦笑を浮かべたのだった。
カタル(残りは167日か……)
第二章
語り:風真いろは
その翌朝、風真ーー風真いろはは通っている「holoX高校」に遅刻しそうになっていた。
いろは(遅刻でござるぅぅぅぅ!)
昨日は幼馴染のカタル殿のリハビリの手伝いをしていて疲れてそのまま寝落ちしてしまったらしいでござる。
いろは「はぁ……やばいでござる!マジでぇぇぇぇ!」
風真は勢いよく駆け出し、校門をすり抜ける。
先生「え?えええ?」
いろは「セーフでござるな!」
先生「いや、アウトだよ!」
いろは「そんな〜!」
風真はその場に崩れ落ちる。
先生「まぁ、いいから教室に行け」
いろは「分かったでござる!」
風真は教室に向かって駆け出す。
教室についた風真は勢いよくドアを開く。
いろは「遅れて申し訳ないでござる!」
先生「そう。とりあえず席に付きなさい」
いろは「はい……」
風真は席に座る。
先生「じゃあ、授業を始めるわよ」
風真が席に付くと同時に先生が授業を始める。
いろは(まだ準備が……)
風真は慌てて机の中から鉛筆や教科書を取り出す。
先生「今日は「命の大事さ」について勉強をしますよ」
先生「教科書の11ページを開きなさい」
モブ「は〜い!」
いろは(命の大事さ……カタル殿。大丈夫でござるよね?)
先生「いろはさん、授業に集中してください」
いろは「は、はいでござる!」
風真はフッと外を見る。
雲一つない綺麗な青空だった。
いろは(こういう綺麗な日がずっと続きますようにでござる)
第三章:苦しくないよ
あれから1週間が経った。
カタル「ふぅ……はぁ……」
カタルは胸を押さえなが唸る。
カタル(痛い……苦しい……)
その時、誰かがカタルの手をそっと握る。
カタル「いろは……」
いろは「大丈夫でござるか?」
カタル「大丈夫だ……」
カタルの声が震える。
いろは「そうには見えないでござる……」
カタル「ありがとうな……」
カタルは力なく笑う。
いろは「苦しくないよ……ござるが絶対にどんな時でも手を握るでござるから!」
カタル「あぁ……」
カタル(苦しくないよ……そうだな)
カタル「いろはよ……」
いろは「何でござるか?」
カタル「久しぶりに学校へ行こうと思う……」
いろは「え?」
いろはは思わず声を漏らす。
いろは「本当でござるか?」
カタル「あぁ、あのリハビリでな。担当医師に許可を貰った」
いろは「良かったでござる!本当に!」
カタル(残り160日……)
第四章:君との登校
語り手:風真いろは
そして翌日、風真は朝早くから準備をする。
いろは(今日はカタル殿一緒に行く日でござる。ござるがサポートをしなければ!)
風真は忘れ物がないか確認し、バッグを背負う。
いろは「それでは行くでござる!」
風真は病院に向かって走る。
走ること数分。
風真は病院につく。
入ると入口近くでカタル殿が待っていた。
カタル「来たか……」
いろは「じゃあ、行くでござるよ!」
カタル「あまり早く走るなよ?」
いろは「分かってるでござる!」
風真はカタル殿の手を握る。
いろは「じゃあ、レッツゴーでござる!」
カタル「あぁ……」
風真はカタル殿と同じ歩幅でゆっくりと歩み出す。
第五章:君との日常
語り手:風真いろは
そして無事に学校についた風真達は教室に来ていた。
カタル「久しぶりだな……」
カタル殿がそっと呟く。
いろは「そうでござるな!」
カタル「聞こえておったか……」
カタル殿は照れくさそうに笑う。
いろは「そうでござるよ」
いろは(やっぱり風真って……)
そこに先生がやって来た。
先生「あれ、カタルさんじゃない。待ってたわよ?体は大丈夫?」
カタル「大丈夫です。多分もう少ししたら荷物を纏めて退院ですから……」
先生「なら良かった……」
いろは「本当でござるか!」キラキラメ
カタル「あ、あぁ……」
いろは「楽しみに待ってるでござる!」
カタル「楽しみにしていてくれ……」
先生「なら授業を始めましょうか」
いろは「了解でござる!」
カタル「わかりました……準備します」
いろは「あ、風真が用意するでござるよ!」
カタル「久々の学校だ。我に準備させてくれ……」
いろは「分かったでござる……」
第六章:急展開
いろはとカタルが授業を受けている。
カタル(残り159日か……)
いろは「カタル殿?」
いろはがカタルの顔をのぞき込む。
カタル「何だ?」
いろは「何かぼ〜としてたから大丈夫でござるか?」
カタル「あ、すまぬ……」
いろは「謝らなくていいでござるよ!」
先生「そこ何授業中に喋ってるの!」
カタル・いろは「ごめんなさい……/でござる……」
先生「それにカタルさん、後で職員室に来なさい」
カタル「あ、はい……」
カタル(今言うのか?)
先生「じゃあ、授業を再開します」
その瞬間、カタルの視界が白く歪む。
耳鳴りがし、声が聞こえなくなる。
カタル「ッ!?」
いろは「カタル殿!?」
そのままバランスを崩し頭を打つ。
カタル「痛……」
カタルは立ち上がろうとする。
しかし、足に力が入らない。
頭から血が流れ、床に赤いたまりが出来ていた。
教室が騒然となる。
いろは「え?」
カタル「あ……」
そのままカタルの意識が遠のく。
先生「誰か救急車を呼んで!」
いろは「カタル殿!」
視界が黒ずんでいく。
最後にいろはの悲痛な声が聞こえた。
第七章:絶望
語り手:哀木カタル
我ーー哀木カタルは気が付くと病院のベッドの上に横たわっていた。
カタル「あ……ぁ……」
声が出ない。
無理をしすぎたか……
近くには看護師や医者が慌ただしく出入りしている光景が見える。
カタル(このまま我は……)
そこに医者が駆け込んできた。
医者「目が覚めたんですね!」
カタル「あ……な、んと…か」
医者「あまり無理しないでください。頭を打って大量出血で死にかけたんですよ!」
そうだったのか……
医者「今回の転倒で直接の原因はありません……元々の病気が急激に悪化しています。頭部外傷も重なり、体力が限界に近づいています……」
医者「それに……貴方の寿命が……」
やめてくれ……
言わないでくれ……
お願いだ……
医者「後、1週間持つかどうか……です……」
カタル「……」
やはりか……
急だな……
その時、病室の前で物が落ちた音が響く。
そしてガラッとドアが開く。
そこには今にも泣きそういろはだった。
いろは「カタル殿……どういう……こと」
いろは「ござるか……?」
いろはの声が震えていた。
カタル「い……ろは……」
ここまでだったか……
一番知られたくない相手に……
第八章:真実
語り手:風真いろは
手にはカタル殿が好きな梅の味のアメの入った袋を片手に風真がカタル殿の病室に入ろうとした時、カタル殿と医者の会話が聞こえる。
医者「後……1週間持つかどうか……です……」
いろは「え……?」
手を持っていた袋を思わず落としてしまう。
そんな嘘でござるよな?
あんな元気で笑顔だったのに……?
なんでござるか……?
でも……ちゃんとあって話を聞かないと……
風真は取っ手に手をかける。
そして開く。
いろは「カタル殿……どういう……こと」
いろは「ござるか……?」
風真は声が震える。
カタル「い……ろは……」
いろは「あんな嘘でござるよね?」
いろは「そう言ってでござる……」
医者「……」
医者は俯く。
いろは「カタル殿は助からないでござるか?」
医者「もう病気そのものが彼の体を蝕んでます……」
医者「それに彼の病気が特殊である為か現在確認されている治療方法も見つかっていません……」
いろは「そんな……」
嫌でござる……
まだ、風真はカタル殿に思いを伝えていないでござる……
思わず涙が溢れる。
いろは「嫌でござるよ……そんなの……」
その時、カタルが掠れた声で言う。
カタル「最後に……い……ろは、過ごして……くれぬか……?」
医者「ですが貴方の体はもう……」
カタル「残りの……1週間……いろはと過ごし……たい」
医者「わかりました。すぐに車を手配します……」
医者がその場を去る。
カタル「良……いか?」
風真は涙をぬぐい、何度も深呼吸をし答える。
いろは「大丈夫でござる……」
風真は無理矢理笑顔を作る。
最終章:大好きな君へ/大好きな貴方へ
語り手:風真いろは
こうして残りの1週間をカタル殿は風真の家で過ごすことになった……
けれど、後もう少しでお別れになることが受けいられなかった。
いろは「カタル殿……朝でござるよ?」
カタル「あぁ……そうか……」
風真は隣で寝ているカタル殿をそっと起こす。
カタル「わが……まま、言って、申し訳……ないな……」
いろは「大丈夫でござるよ!」
カタル「一つ……頼みたいこと……がある……」
いろは「なんでござるか?」
カタル「昔我に歌っていて……くれた……歌を……歌って欲しい……」
いろは「あれでござるな……」
風真とカタル殿が幼い頃、カタル殿の為に歌っていたあの“歌”を……
いろは「ねえ いつからそこにあったのかな?」
いろは「あまりにも近くて気がつかなかったよ♪」
いろは「ずっと私が生まれた日から♪」
いろは「そばにいてくれたね♪」
カタル「上手くなっておるな……」
カタル殿がそう呟く。
いろは「曖昧で複雑で予測不可能で♪」
いろは「気まぐれに変わっていく空の模様♪」
いろは「想像していたより笑えない♪」
いろは「だけどそれ以上に世界は優しくて♪」
段々と声が震える。
でも……
いろは「いつか風が生まれた♪」
いろは「足跡がはじまる場所♪」
いろは「あの頃に戻って 帰って♪」
いろは「駆け出したとしても♪」
いろは「ここに来るんだろう♪」
そして……
いろは「方向なんてまだわからないけど♪」
いろは「ただ風が吹くままに♪」
歌い終える。
カタル「良……かったぞ……いろは……それに……いろはのことが大好きだ……」
カタル殿は泣きながら笑う。
いろは「それに……風真は……カタル殿が大好きでござる……!」
カタル「ありがと……う……残りの1……週間……付き合ってくれ……“恋人”として……」
いろは「はい!」
いろははカタル殿の手を握り締める。
そして1週間はあっという間に過ぎた。
1週間後の夜……
風真とカタル殿は夜空が一望できる高台に来ていた。
カタル「星が……綺麗……だな……」
いろは「そうでござるね……」
カタル「この1週間、楽しかったぞ……」
カタル「それになんだか眠くなってきた……」
いろは「お休みでござる……」
カタル殿はゆっくりと目を閉じる。
カタル「お休み……」
そう言うとカタル殿の手の力がゆっくりと抜けていく。
夜空は満天の星空が輝いていた。
風真は涙を流しながら、その手を最後まで握り続けた。
いろは「また来てでござるよ、カタル殿……」
濡れた頬を風がかすめた。
「168日後に死ぬ貴方へ」完
コメント
1件
いやあ……読み終わってしばらく動けなかったわ。 カタルといろはの、残り時間をかみしめるような日々の描写が一つ一つ丁寧で、特に「苦しくないよ」って手を握るシーンと、最後の星空の下でのお別れがもう……涙が止まらなかった。168日⇒1週間って急展開の衝撃も含めて、全編通して切なさと優しさが詰まってた。素敵な作品をありがとうございます。ラストの余韻がすごい……。