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最期に見た景色と言えば、割れたガラスと酷くひしゃげた車、広がっていく赤い血溜まりだった。そう、交通事故。わたしが交通事故に遭ったという事実は覚えている。覚えているのは、それだけ。



『(……ここ、どこなんだろう)』



真っ白な天井、左腕に点滴の管。微かに感じるのは、消毒液の匂い。病院らしき場所である事は周りの状況からしてもよく分かる。起き上がって周りをもう少しだけ見てみようとして、諦めた。何故って、起き上がろうと上半身に力を入れた時に耐え切れるはずもない痛みが走ったから。



「起きた!?!?!?」



ガラリ、と勢いよく病室の引き戸が開く。飛び込んできた声の大きさに驚いてびくりと肩が跳ねた。その声の持ち主の後から1人、男の人が顔を出した。




「カゲツ声デカすぎだって、この子びっくりしてんじゃん」

「すまん、でも目ぇ覚めたって聞いたらいても立ってもおられんやん」




聞こえてるかー?と目の前で手を振られたものの、状況が上手く飲み込めない。ぱちぱちと瞬きを繰り返すわたしに、問い掛けられた言葉というのは衝撃的なものだった。




「きみ、空から落ちてきたんやけど何か覚えとらん?」

空から降ってきたのは、女の子でした。

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