心配だから、とnoはttの家まで付き添ってくれた。
noはこの半年のことを話す。
「僕は医療の仕事一本になりました」
「今は〇〇にいます」
「へぇ〜高給取りやなあ、俺も雇ってもらえへんかな?」
「ttさん元気いいから患者さんに好かれると思いますよ」
「でもこんなクソデカボイス、嫌がられへん?」
「あー!プライバシーとか守れなさそうですしね!」
「なんやねんそれ!俺は意外とその辺は大丈夫や!」
「笑」
久しぶりやな、この感じ。
ミステリアスかと思えば穏やかで明るくて、しっかりしてて余裕がある。
全然ブレない安心感があるんよな。
jpは喜怒哀楽激しいからなー
そう、jpは不安定なところがある。
それは危うい脆さ。
繊細で、優し過ぎて、無理をして、思い詰めてしまう。
jpが好きだ。
約束したんだ。
ずっとずっと、死ぬまで一緒にいる。
だけど俺は、jpに隠している。
jpが再び、堕ちてしまうのを恐れている事を。
愛しているのに信じきれていない。
jpと自分の間にある隙間に、ttは気づいていた。
ttとnoは近いところに住んでいたようだ。
通い慣れた道の向こうに家が見えてきた。
「あっこやで。あの白いマンション…」
賃貸マンションのエントランス近く。
街灯にもたれながら下を向くjpがいた。
こちらに気づくと慌てて走ってくる。
「jp…」
jpは青ざめた顔と震える手で、何も言わずにttを抱きしめた。
「…ごめんなjp。心配かけて、、ほんまにごめん」
jpはttの肩に顔を埋めたまま小さくコクリと頷いた。
その様子を見ていたnoは、先ほどまでとは違う低い声で静かに言った。
「jpさん、お二人に何があったかはわかりません。でも…」
「ttさんを泣かせないで」
jpは顔をあげず黙ったままだ。
noはttにニコリと微笑み、手を挙げ踵を返した。
去って行く背中に、少し心細さを感じた。
ttの肩に顔を埋めたままの jpを引きずるようにエレベーターに乗り、自宅に入った。
「やっっっっと着いた!」
「おぃjp!俺は気ぃ失っとったんやぞ!」
「何させてんねん!」
「…」ギュ
相変わらず黙ったままだ。
よほど心配だったのだろう、ttを抱きしめる腕は益々強くなっていた。
ttは鼻から大きく息を吐くと、jpの頭をそっと撫でた。
「jp…ほんまごめんな、心配かけて。こんな天気の日に出かけたのがあかんかったな。ほんまにごめんなさい。」
「…違う」
ようやく顔をあげたjpは、目を真っ赤にしている。
そっと首の傷痕に手を伸ばしてきた。
指先はひんやりとしていて、いつもよりもどこか遠慮がちだ。
「俺がttにトラウマをつけちゃったんだ。だからこんな事になったんだよ…」
「ごめんなさい。ttを未だに苦しめてる」
「ええよ…俺は大丈夫やから…。俺はここにおるからな」
「な、jp。もっかいギュってして?」
jpは小さく笑い、優しく抱きしめてきた。
背に手を伸ばしたttは、何かから目を逸らすように瞼を閉じた。







