篠「てら、もう子供扱いすんの止めて」
真っ直ぐな目で寺西を見る篠塚の様子に、寺西は少しだけ怯む。
どう返事をすれば良いのか戸惑う寺西を見て、篠塚は小さくため息を吐いた。
篠「ほんまヘタレやな」
寺「大輝、俺はお前を大切にしたいんだよ」
分かってほしい、寺西はそう付け加えるが篠塚の目を真っ直ぐに見れなかった。
篠「てらは何が怖いん?」
寺「いや、怖いとかじゃないよ…」
篠「俺はてらが好き、やから一緒になりたいだけ」
寺「俺もだよ、一緒になりたいのは俺だってそう」
篠「やったら何で?俺、抱かれる方でええよ?てらになら、抱かれてもええ」
ストレートな男前の言動に、寺西は眩暈がした。
想像はした、何度も。
頭の中で、篠塚をめちゃくちゃに抱いて、何度も手酷く扱って、何度も欲を放出した。
それなのに、決心がつかなかった。
真っ白で何色にも染まっていない純粋な男を、この俺が汚すことになる。
ドロドロの欲にまみれた、この俺の手で。
俯く寺西の表情は暗く、何かに悩んでる様子は見て分かる。
篠「てらは、俺のこと嫌いになったん?」
寺「…!!そんなわけない!!」
凄い剣幕で否定してくる寺西に、分かってはいても篠塚は安堵する。
篠「それなら何で?」
寺「…汚したくないんだよ、大輝のこと」
篠「え?」
寺「お前は綺麗だから」
篠「………ぶっ!」
少しの沈黙の後、篠塚は盛大に笑う。
思わぬ反応に寺西は開いた口が塞がらなかった。
篠「めっちゃおもろい!」
寺「お前なぁ、俺は真剣に!」
篠「分かってるって、でも…てらってそんな女々しかった?」
寺「うるせぇよ」
篠「てかセックスしたら汚れるってどういう理屈なん?」
寺「説明を求めてくるの止めて」
篠「やって、てらは汚くないし」
寺「……」
篠「仮に汚れるとしても、汚れてええよ。てらに汚されるなら大歓迎です」
寺「お前、俺のこと本当に好きなんだな」
篠「てらは違うん?」
寺「…いや、スキデスケド」
ケラケラ笑う篠塚を見て、寺西は悩んでいた自分が馬鹿らしくなるのを感じた。
寺「酷くしていいの?」
篠「ええよ、てらになら」
全てを受け入れようとする年下の包容力に、腹を括らなければならないのは寺西の方だった。
寺「やっぱり、優しくするよ」
END
コメント
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尊かったですご馳走様でした🙏💞 先に2話の方から見ちゃったんですけど、それが申し訳なくなるぐらい良い小説でしたっっっっ…それぞれの性格が解釈一致すぎて、すぐ想像できました!!この短さで満足感?余韻?が半端ないです🫠✨️陰ながら執筆応援しております-`📢⋆