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続きです 岐阜×愛知 監禁ものなので苦手な方は注意
ちょっと長め
窓の外では街の灯が夜の闇に滲んでいた。壁掛け時計の秒針が規則正しく刻む音だけが、この密室で唯一時を告げる存在だった。
朝靄の中、岐阜は布団の中で眠る愛知の髪を撫でていた。金髪が朝日に透けて微かに煌めく。愛知は安らかに寝息を立てているが、その細い首筋には昨夜の赤い痕跡が点々と残っていた。岐阜の指が無意識にそれをなぞる。
「ん……」愛知が小さく身じろぎして目を開けた。まどろみの中にあっても澄んだ緑の瞳が、すぐに岐阜を見つけ出して優しく和らいだ。「おはよう……」
その柔らかい声に、岐阜の胸が締め付けられる。こんな純真無垢な存在が自分だけのものであることに、至上の喜びと同時に恐ろしさも感じる。この脆いガラス細工のような幸せを守るためなら何だってできる気がした。
「起きたのか」岐阜は愛知の額に唇を寄せる。「まだ寝ててもいいぞ」
「いや……起きるよ。今日は何するん?」愛知は伸びをしてベッドから起き上がった。愛知は岐阜のシャツを着ており、大きなシャツの裾から細い脚が露わになる。その素朴な美しさに、岐阜は思わず目を細める。自分の服を着ている姿を見るのが何よりの悦びだった。
「掃除でもするか」岐阜は立ち上がりながら答えた。愛知の背中にそっと手を添える。「今日は天気もいいし」
「おっけー!」愛知は元気よく返事をして部屋を飛び出していく。その後ろ姿を見送りながら、岐阜は枕元に置いてあった注射器を手に取った。透明な液体が朝日を反射して鈍く光る。これは愛知の思考力を微妙に鈍らせ、外界への興味を失わせる効果がある特注品だった。毎日の投与によって徐々に効いていくのだ。
愛知が台所に立つのを見届けてから、岐阜はリビングのパソコン画面をチェックする。家中に設置した防犯カメラの映像が全て映し出されていた。キッチンの愛知の姿、浴室、トイレ、二階の部屋。全てがリアルタイムで監視できるシステムだ。
「ちゃんと見えるように設置できてよかった」岐阜は満足げにつぶやいた。「お前がどこで何してるか、全部見てられるからな」
愛知は鼻歌を歌いながら洗濯物を干していた。庭に面したバルコニーは柵が高く、外から中の様子は見えない。そして愛知自身もバルコニーから外を見る習慣がなくなっていた。岐阜が何度も「危ないから」と言って禁止した結果だった。
「愛知」岐阜は後ろから近づいて愛知の肩に顎を乗せる。「洗濯はもういい。中に入ろう」
「あ、うん!」愛知は振り返り、満面の笑みを浮かべた。「ちょうど終わったところ!」
二人は室内に戻り、再び岐阜は愛知を膝に乗せてソファに座った。愛知の体は軽く、簡単に腕の中に収まる。愛知も慣れた様子で岐阜の胸に寄りかかり、スマホのゲームを始めた。岐阜は愛知の肩越しに画面を眺めながら、適当に相槌を打つ。
「このモンスター強いんだけど……どう倒せばいいと思う?」
「もっとレベル上げなきゃ無理だろうな」
「やっぱそうかぁ……」
会話の最中も岐阜の手は愛知の腰や太腿をゆっくりと撫で続けている。その接触に愛知は特に抵抗せず、むしろ嬉しそうに尻を擦り寄せた。岐阜の股間が自然と熱くなる。
「なぁ岐阜……」愛知が急にゲームを閉じて岐阜を見上げた。「俺たち、これからもずっと一緒だよね?」
「当たり前だろ」岐阜は即答した。迷いなど一切なかった。その声に何かを感じ取ったのか、愛知は岐阜の頬にそっとキスをした。
「良かった……」愛知の声には安堵の色が濃かった。「岐阜がいるからおれ、安心なんよ」
「……俺もだ」岐阜は愛知を強く抱きしめた。「お前がいなきゃ生きていけない」
「ふふ……おれたち同じやね」愛知の笑い声が部屋に広がった。その声の調子に異変はない。薬が順調に効いている証拠だった。岐阜は内心安堵する。
午後になり、愛知が昼寝に入った隙に岐阜は地下室へ向かった。そこは普段使わない物を保管しておく倉庫だが、一番奥の棚の裏に隠し扉があった。パスワードを入力すると鉄製の扉が開き、そこに広がるのは壁一面の写真。全て愛知の写真だった。
幼稚園時代から現在までの写真が年代順に貼られている。中には学校行事の集合写真を切り抜いたものや、盗撮と思われる生活の一部を写したものも混ざっている。岐阜は愛知の幼少期の写真の前に跪き、ガラスケースに入った卒業アルバムを開いた。そこに貼られた学年写真の一角に愛知がいる。
「懐かしいな……」岐阜は指で愛知の写真を撫でる。「初めて会った日から、ずっとお前が好きだったんだ」
壁には愛知に関する新聞記事やSNSのスクリーンショットも貼られていた。最近では愛知が外部と連絡を取ること自体が稀になってきたが、それでも岐阜は万全を期すために愛知のスマホには盗聴アプリを入れていた。全てのメッセージや通話内容が自動的に保存されるのだ。
最近では愛知からの発信はほとんどなくなり、「友達に会いたい」という欲求すら失せているようだった。
「これでいい……完璧だ」岐阜は満足げに写真を撫でた。「誰にも見せたくない。俺だけの愛知でいてほしい」
地下室を出て二階の部屋に戻ると、愛知はまだ寝ていた。その側に座り、岐阜は愛知の頬にそっと触れる。温かくて柔らかい。この体温を感じられるだけで幸せだった。
しかし同時に不安も大きかった。もし愛知が外の世界を思い出したら?もし自由を望むようになったら?そんな考えが頭をよぎるたびに、岐阜は愛知に対する支配を強めなければならない衝動に駆られた。
「目ぇ覚めたか?」夕暮れ時に目を開けた愛知に岐阜は囁くように声をかけた。
「ああ……どれくらい寝てたんかな」愛知は大きく伸びをする。「もう外が暗いね」
「三時間くらいだな」岐阜は愛知の乱れた髪を丁寧に直す。「ご飯食べるか?」
「うん!」愛知は笑顔で頷いた。「お腹すいた〜」
二人は階下に降りて夕食の準備を始めた。ふと、愛知の左手の薬指に自分の指を絡ませた。
「ん?」愛知が不思議そうに振り返る。その手の甲に岐阜は唇を押し当てた。「なぁに?」
「結婚したような気分にならねぇか?」岐阜は冗談めかして言った。
愛知の頬が紅潮した。「そっ……そんな……!」
「嫌か?」岐阜は少し寂しそうな表情を作る。
「違う……恥ずかしいだけや」愛知は俯いた。「でも……嬉しい」
岐阜の心臓が跳ねた。こんな純粋な反応を見せてくれる愛知が愛おしくてたまらない。そして同時にこの関係が永遠に続く保証はないこともわかっていた。だからこそ今日も薬を使う必要がある。
夕食後、愛知が風呂に入っている間に岐阜は再び薬の準備をした。今日使った分の補充と、翌日の分。カプセルに詰め替えながら岐阜は呟いた。
「ずっとこうして一緒にいような……」
愛知が風呂から上がってきた時にはすでに部屋が用意されていた。いつも通り薬入りの飲み物を渡すと、愛知は何の疑いもなく飲んだ。しばらくすると愛知の目がトロンとしてくる。
「なんだか眠くなってきた……」愛知はソファにもたれかかる。
「疲れたんだろ。ベッドに行こう」岐阜は優しく促した。愛知は半分目を閉じながら頷く。
寝室のベッドに愛知を寝かせると、岐阜はすぐに服を脱がせた。愛知の裸体があらわになる。細い体に散らばったキスマークが痛々しくも美しい。岐阜は愛知の上に覆いかぶさり、唇に深いキスをした。愛知は朦朧としながらも応えるように舌を絡ませてくる。薬の効果で理性が薄れ、ただ本能的な反応のみが残っていた。
「愛知……」岐阜は愛知の耳元で囁く。「俺だけを見ていてくれ……お願いだ……」
愛知の手が無意識に岐阜の背中に回った。「岐阜……好き……」
その言葉を聞いた瞬間、岐阜の中で何かが弾けた。抑えきれない欲望が全身を駆け巡る。愛知の首筋に噛みつきながら、岐阜は自らの衣服を剥ぎ取った。
夜が更けていく中、二人の激しい行為は続き、やがて疲れ果てた愛知は意識を失うように眠りに落ちた。岐阜は愛知の寝顔を見つめながら、その額に優しくキスをした。
「愛してる……誰よりも」
カーテンの隙間から漏れる月明かりの中、岐阜の瞳には狂気にも似た愛情が宿っていた。愛知は知る由もない。この監禁された空間が、実は岐阜の作り出した天国であること。そして自分自身もまた、その檻の中の鳥に他ならないことを。ただ岐阜の腕の中で幸せを感じながら、明日も明後日も愛されることだけを夢見ている。
二人の運命は絡み合い、解けない糸となって未来へと続いていく。それが破滅への道であっても、二人にとっては唯一の真実なのだから—。
朝霧が晴れていくのと同時に、私の意識も徐々に輪郭を帯びてきた。カーテンの隙間から差し込む朝日が、愛知の金色の髪を柔らかく照らしている。隣で眠る彼の頬に触れると、まだ薬が効いているようで深い眠りの中だった。
昨晩の記憶が鮮明によみがえる。愛知は終始ぼんやりとしていたが、何度か「もっと」「嬉しい」と囁いた。あの朦朧とした表情と甘い声が脳裏から離れない。薬の効果は抜群だった。
「……ごめんな」愛知の寝顔に小さく呟く。「でもこうしないと、お前はきっと逃げていく」
岐阜は布団を愛知の肩まで引き上げると、そっとベッドから抜け出した。寝室の扉を閉める前に一度振り返る。愛知は完全に無防備な姿で眠っていた。その姿に岐阜は満足感と不安が入り混じる複雑な感情を抱く。守りたい。誰にも渡したくない。でも彼の自由意志を奪っている罪悪感も消えない。複雑な思いを抱えながら過ごす朝だった。