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そんな碧と比べると、龍聖君はクールなところがあるから、女子も少し近寄り難かったのかも知れない。
大学は秀才の集まる超有名大学に現役合格したけれど、高校はごく普通の私立に行きたいと本人が希望したらしく、そのおかげで私は龍聖君と出会えた。
青春時代を毎日一緒に過ごす中で、龍聖君への憧れが芽生え、それがいつしか「好き」という感情に変わった。
私は、そんな大切な人と……
「最後の思い出」として、たった1度だけ体を重ねたんだ。
出会ってから何年も一緒にいて、最初で最後の出来事。今でもまだ信じられないけれど、あの時のことを思い出せば、狂おしいほど体が震えて熱くなる。
「琴音、琴音? どうしたの、大丈夫?」
「えっ、あっ、ごめん」
碧に呼ばれて我に返った。
みんなが心配そうにこっちを見ていて、私は一気に恥ずかしくなった。
「琴音、今、自分の世界に入ってた? 何考えてたの?」
「えっ、べ、別に何も……」
「いやだ~琴音ちゃん、何か変なこと妄想してたんじゃない?」
「え、絵麻ちゃん、やめて。妄想なんてしてないから」
一瞬でも龍聖君との一夜を思い返してしまった自分に赤面する。
「なあ、みんな最近バスケしてる?」
他のバスケ部の仲間の質問にホッと胸をなで下ろす。
「仕事が忙しいから実際にプレイはできてないよ。でも、NBAは必ずテレビでチェックしてる。レギュラーシーズンからプレーオフも全部しっかり観て、もちろんファイナルはかじりつきで観てる。そうだ、龍聖はアメリカで実際に試合を観戦したんだよなぁ?」
碧がうらやましそうに言う。
「ああ、向こうにいた時は観戦した。でも、俺も仕事が大変だったから、直接見たのは数回だけ。一応、イースタン・カンファレンスもウェスタン・カンファレンスも観に行った」
「うわぁ、いいよな。数回でも直接NBAを観戦できるなんて夢みたいだよ。本当、うらやましい」