テラーノベル
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「本当に、本当に、俺が嫌いなんだな……」
声が震えてるのに、どこかスッキリしたみたいだった。
「そうだよ? 俺が殺人鬼。明日の夜、この公園で待ってるから栞里。俺のこと苦しめるんだろ? じゃあ夜で……」
栞里は一瞬だけ目を細めて、僕の手を掴んだ。
「……分かった。翔太、帰ろうね」
「うん!」
服が泥だらけだ。お母さんに怒られちゃうなぁ。
マサシと別れて歩いていると、どうしても気になって聞いた。
「栞里……。マサシに何で怒ってたの?なんで犯人だって言ったの?」
「翔太は気にしなくていいの」
また気にしなくていいだ。それ嫌い。
「明日の夜また公園でマサシと会うんでしょ?僕も行ったほうがいいの?」
「ただ話し合うだけだから来なくてもいいよ。大丈夫だから。次学校で会うときにはまた皆んな元通り」
ふーん。それならいいっか!
「たっだいまー!」
「ちょっと! 何その服! 泥だらけ! 早く脱ぎなさい!」
「はぁーい!」
お母さんは僕の服を見てため息をついた。
「そういえば翔太の学校の一年生のミツバちゃん? 家出したみたいね。怖いわね。最近のニュースもそうだけど」
「ニュースは嫌い! ドラマとかアニメみたいに面白くないもん」
お母さんはまたため息をついて、晩ご飯の支度を始めた。
でも……栞里、夜にマサシに会いにいくんだよなぁ。気になるなぁ。
なんかさっきは二人とも仲悪そうだったし。大丈夫かな……?
でも、すぐに思いついた。
そうだよね。うん。そうだ。
僕の友達第一号と第二号が喧嘩してるんだ。僕が行かないと。
だって二人とも僕のこと好きなんだもの。
明日は土曜日だしね。休日は友達と遊ぶものだ。
僕は午前中に起きた。
「ふあぁ……よく寝た!」
昨日も夜更かししたのに全然眠くない。今日の僕は何でもできる気がする。
だって今日は夜、公園でマサシと栞里に会えるんだ。何して遊ぼうかなぁ。
二人が仲良しに戻るために──
鬼ごっことか? 夜に鬼ごっこ。ワクワクする。
マサシも栞里も走るの速いし、僕が鬼になったら絶対楽しい。
「よーし! 今日は絶対うまくいく!」
僕は窓の外を見ながら、夜になるのをずっと待っていた。
「来たぁー! 今日の夜はいつもの夜よりも最高にするぞー!」
僕は親にバレないように、そーっと玄関を開けた。忍者翔太、仕事に参ります。なんてね!
外は真っ暗で、風がひゅうって鳴ってたけど、
僕は全然怖くなかった。だって今日は友達と遊ぶ日だもん。
僕は暗い道をスキップしながら公園へ向かった。
その時だった。
――おおおおおい!!
突然、大きな声が聞こえた。僕はびっくりして立ち止まった。
マサシの声だ。
「おおおおおい!! 栞里、最後のチャンス……。本当に俺とは無理なのか?」
声が震えてるのに、怒ってるみたいで、泣いてるみたいで……なんか変だった。
栞里の声が返ってきた。
「無理。翔太を傷つける人は皆んな要らないの。だからあなたも要らない」
おお! 二人とも発見。いつ飛び出そうかな?
お化けのふりして後ろから近づいて、
「わぁ!」ってやったら絶対びっくりするよね。
いいかも! ドッキリ番組みたい!
僕がワクワクして木の陰から覗いていると、栞里がスマホを掲げた。
「連続殺人鬼が。私はあなたを苦しめるって言ったよね? これ何かわかる? あなたのお父さん。調べたんだけど、不倫してるんだね……」
え? お父さんの話?
マサシの声が震えた。
「何だよそれ……知ねぇし……」
栞里は一歩近づいた。
#現代
ぽたお
198
猫塚ルイ

9,478
122
「マサシは優秀で、学校でも完璧を演じてる。
家族関係も“良い子”で通してる。でもどうなの? この写真、学校だけじゃなくネットにも晒す」
「はぁ? はは、え?」
栞里は続けた。
「マサシ、マザコンだよね? お父さんが不倫、息子が連続殺人鬼。お母さん、一生消えない傷を背負って生きていかないといけない。生きて……いや、死んでるも同然だね」
「やめろよ!! これ以上俺を壊さないでくれよ!!」
「壊れたんじゃない。あんたが勝手に壊れたの」
僕は木の陰で固まった。
なんか……なんか今日の夜、思ってたのと違う。こじゃあ……でも、二人とも僕の友達だから、僕が行けばきっと仲直りできる。
そう思って木の陰から一歩踏み出した瞬間だった。
「もう! 嫌だぁ!! 殺す!!」
マサシの叫び声が夜の公園に響いた。
え? 殺す……?
次の瞬間、マサシはポケットから何かを取り出した。月の光でキラッと光った。
ナイフだ。マサシはそのまま栞里の腕を切りつけた。
「キャァ!!」
栞里が悲鳴を上げた。でも── 笑っていた。
「はい。殺人鬼決定。もう逃げられないね」
その笑顔は、僕の知ってる栞里じゃなかった。
マサシはそのまま栞里に覆いかぶさった。
「どうでもいい……もうどうでも……じっくり楽しんでやる……!」
マサシの拳が振り上がった。栞里の顔に向かって──
ドスッ。
音がした。僕は息が止まった。
栞里は倒れたまま、かすれた声で言った。
「……警察さん……助けて……」
その瞬間だった。
「動くな!!」
茂みの奥から、懐中電灯の光が一斉に飛び出した。警察だ。
「連続殺人鬼! やっと見つけたぞ!」
マサシは押さえつけられ、地面に倒された。
「警察……? なんで……?栞里が呼んでたのか? なんでよ……? 友達だろ……?」
栞里はゆっくり立ち上がり、血のついた腕を押さえながら笑った。
「地獄へ堕ちろ。あんたも、家族も、みーんな。もう終わり」
「やめて!! ごめんなさい!! ママ!! 助けて!! ママ……ママぁ!!」
僕は見た。最悪を。
僕の友達第一号と第二号が……こんなふうに壊れていくなんて。
勿体ないなぁ……。
僕はゆっくり栞里に近づいた。警察の人たちはマサシを押さえつけたまま、僕たちを見ていた。
栞里は血のついた腕を押さえながら、すぐに僕の前に立った。
「すみません。友達です。私を心配して来てくれて……少し、二人で話したいです」
警察の人は優しい声で言った。
「そうか。分かった。少しの間だけど……よく頑張ったね」
栞里は小さく頭を下げた。その横顔は、なんだかすごく大人に見えた。
僕は聞いた。
「栞里、マサシは? なんでこんなことに?」
栞里は僕の手を握って、静かに言った。
「翔太は気にしなくていいの。もう全部終わったから」
「いや、だってさ。僕はさ──」
その瞬間、栞里の顔が“凍った”。
目を大きく開いて、息を止めたみたいに動かなくなった。
なんで? 何がそんなに驚いたの?
だって……僕はただ、本当のことを……。
しかし栞里はすぐにいつもの笑顔に戻った。
そして
「翔太、大丈夫。私が守るから。」
やっぱり栞里は優しいな。
コメント
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みぅだよ🥀 第5話、読んだよ。 うわ……これ、翔太の視点が逆に怖い。 「僕の友達が喧嘩してるから、僕が行かないと」って、本気で思ってるのがゾッとする。 栞里の策略もすごいけど、翔太の“普通の顔”が一番狂ってるよ……。 最後の「僕はただ本当のことを」のあと、栞里が凍ったシーン、鳥肌立った。 ぽたおさん、この温度差、めちゃくちゃ怖いです。 続きが気になる……翔太、何か言っちゃったんだね。