華やかに燃えた線香花火は勢いを弱め、映像を巻き戻すようにまた細く小さい火花になり、火種がゆっくりと消える。
🖤「あぁ、終わっちゃった」
💚「最後までもったね、すごい」
最後まで線香花火できたの久しぶりかも、と言うと『国産のいいやつ買ったから』と得意げな阿部ちゃん。
🖤「でも、阿部ちゃんのやつ落ちちゃったじゃん」
💚「いい方をめめにあげたんだもん」
🖤「どっちにするか選んだの俺ですけど」
💚「そっち選ぶように仕向けたの!」
星空に笑い声が吸い込まれて消え、燃えかすの掃除をして、ビールを開けて乾杯。
💚「今年最初の花火をめめとしたかったから、嬉しい」
🖤「夏になったらもっと派手にやりたいね」
💚「花火大会とか?」
🖤「それもいいし…あ、いっそプライベートで打ち上げるのもいいよね。ホテルのスイートとってさ。窓から一緒に見るとか」
💚「すご」
心が躍りすぎて我ながらスケールの大きい事を言ってしまったけど、実現させたい気持ちしかない。
ふと、静寂。
💚「めめ、何考えてる?」
🖤「…阿部ちゃんと同じこと」
期待に薄く開かれた唇に近づく。
家のバルコニーとは言え、曲がりなりにも外。
不用意だと解っているけど、大切な人がこうして隣にいて特別な時間を俺と過ごそうとしてくれた事を思うと愛おしさが溢れてしまう。
最初に唇が触れて、背中に腕を回して抱き寄せる。阿部ちゃんの手が俺の腕に添えられて、きゅっと掴んできた。
何度も唇を吸って、舌を入れた所で阿部ちゃんに制される。
💚「ふぁ…待って」
🖤「だめ?」
💚「だって外だし…」
もう少し身体が反応しているのも丸わかりで、でも恥ずかしそうにする阿部ちゃんが可愛い。
強引に続ける事もできたけど、むしろこんな可愛い阿部ちゃんが快楽に悦んで啼く姿なんて外の空気にすら見せたくない。
🖤「続き、どこでしたい?」
💚「そんなの聞かないで」
🖤「ふふ。花火綺麗だった、またしようね」
💚「ん……」
さっきまでの健全な花火デートはどこへやら、もうこれからの事で頭がいっぱいの様子で話半分の阿部ちゃんと部屋に戻り、カーテンをそっと閉めた。
終
コメント
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可愛い〜〜尊い🥹💓 やっぱりmichiruさんの🖤💚の空気感リアルで大好きです🥹💓
花火の日!!いいなー線香花火2人でベランダでやってるとか可愛すぎて尊い🤦🏻♀️🖤💚