テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#おんりー
ゼオ氏
165
202
#おおはらMEN
ドズル社好き
107
#おんおら
ドズル社好き
1,226
翌日。
「おはよー」
いつも通りの声で通話に入ったおらふくんは、いつも通りの調子で挨拶をした。
「おはよ」
返事をしたおんりーも、いつも通りだった。
……はずだった。
「昨日、ちゃんと帰れた?」
「うん。おらふくんも?」
「うん! 俺は大丈夫やったで」
「そっか」
たった、それだけ。
いつもなら、何の変哲もない会話。
けれど。
「……ん?」
通話にいたドズルが、ふと声を上げた。
「今の、何?」
「何が?」
おらふくんが不思議そうに聞き返す。
「いや、なんか……おんおら、今日ちょっと違くない?」
「え?」
「そう?」
ふたりの声が、ほぼ同時に重なった。
「ほらぁ!!」
ドズルが即座に反応する。
「今の! 今のなんか怪しい!」
「いやいや、何がですか!?」
「何もないけど?」
おんりーが平静を装って答える。
しかし、その直後。
「おんりー、今日あとで一緒に作業せえへん?」
「いいよ」
「え、即答!?」
ドズルの声が裏返った。
「いや、いつもこんな感じだろ」
「そうやで?」
おんりーとおらふくんが、また同時に答えた。
「だからそれぇ!!!!」
ドズルのツッコミが通話に響いた。
そこへ、ぼんじゅうるが入ってくる。
「おはよー。何? 朝からうるさいね」
「ぼんさん聞いてくださいよ! おんおらが怪しいんですよ!」
「おんおら?」
ぼんじゅうるが一瞬黙る。
そして、妙に落ち着いた声で言った。
「……あー」
「え!? 何その反応!?」
「いや、まだ何も言ってないじゃん」
「その『あー』は何ですか!?」
「いやぁ……なるほどねぇ?」
「なるほどじゃないですって!!」
おらふくんが慌てて否定する。
「ほんまに何もないですから!」
「へえ?」
「……何ですか、その顔」
「いや別に?」
ぼんじゅうるの声には、明らかに面白がっている響きがあった。
おんりーはというと、いつもより少しだけ口数が少ない。
そして、こういう時のおんりーは、だいたい何かを隠している。
ぼんじゅうるは長年の経験から、それを知っていた。
「……ねえ、おんりー」
「何」
「昨日、何してたの?」
「……普通に出かけてた」
「誰と?」
「…………」
一瞬。
ほんの一瞬だけ。
おんりーの返事が遅れた。
「……おらふくん」
「はい、確定ー!」
ドズルが叫んだ。
「まだ何も確定してないだろ!」
「いやいやいや! 昨日ふたりで出かけて、今日になったらこの空気! 何もないわけないじゃん!」
「何もないって!」
おらふくんが必死に弁解する。
「ほんまに、何も……」
そこまで言って。
おらふくんは、ちらりとおんりーを見た。
昨日、雨の下でつないだ手。
「俺も好きやった」と伝えた時のおんりーの顔。
そして、帰り際。
『……また、明日』
そう言ったおんりーの声。
思い出しただけで、顔が熱くなる。
「…………」
「…………」
おんりーも、なぜか黙っていた。
その沈黙を、ぼんじゅうるは見逃さなかった。
「……ねえ」
「何ですか」
「お前らさ」
一拍。
「付き合った?」
「「…………は!?」」
ふたりの声が、見事に重なった。
「ほらぁぁぁぁぁ!!!!」
ドズルが机を叩く勢いで叫ぶ。
「反応がもう答えなんよ!!」
「いや、違っ……!」
おんりーが慌てて言いかける。
しかし。
「……いや、でも」
おらふくんが、ぽつりと口を開いた。
「……まだ、付き合ってはないです」
「「「…………え?」」」
今度は、メンバー全員が黙った。
おんりーが、ゆっくりとおらふくんを振り向く。
「……おらふくん?」
「え、だって……ほんまのことやん?」
おらふくんは困ったように笑った。
「好きって言い合ったけど、まだちゃんと……付き合おうって話はしてないし」
「…………」
「…………」
おんりーの耳が、みるみる赤くなった。
「……っ、お前……!」
「え!? 何!? 俺、変なこと言った!?」
「そういうの、ここで言うなよ……!」
「ええ!? でも聞かれたから……!」
「聞かれたからって全部答えなくていいだろ!」
「ご、ごめん!!」
通話の向こうで、ドズルが震える声を出した。
「……待って」
「……何ですか」
「好きって、言い合った?」
「…………」
「好きって、言い合ったぁ!?!?!?」
「うわぁぁぁぁぁ!!!!」
おらふくんの叫びが響いた。
「言わんといてくださいよぉぉぉ!!」
「お前が言ったんだろ!!」
ぼんじゅうるの冷静なツッコミが入る。
「いやぁ、まさか本当にそこまで進んでたとはねぇ……」
「ぼんさんまでぇ!」
「いや、だって昨日一緒に出かけたんでしょ? で、今日ふたりとも妙に照れてるし」
「照れてない!」
おんりーが即座に否定する。
「おんりー、今めっちゃ声高かったぞ」
「……うるさい」
「ほら!」
ドズルがまた騒ぎ始めた。
その時。
通話に新しいメンバーが入ってきた。
「おはようございまーす」
挨拶をしたMENは、何も知らないまま話に加わる。
「……何? 何の話?」
ドズルは待ってましたと言わんばかりに答えた。
「おんりーとおらふくんが両想いになりました!!」
「はぁ!?」
「ちょっ、ドズルさん!?」
「え!? そうなの!?」
「まだ付き合ってはないらしいです!!」
「ぼんさんまで何言ってんの!?」
一瞬で、通話が大騒ぎになった。
「え、待って待って! いつから!?」
「いや、昨日!」
「昨日!?」
「何があったん!?」
「それは言わん!!」
おんりーが必死に叫ぶ。
「……でもさ」
ぼんじゅうるが、ふと思い出したように言った。
「昨日から両想いで、今日も一緒に作業するんでしょ?」
「……まあ」
おらふくんが小さく答える。
「それ、もう付き合ってるようなもんじゃない?」
「「…………」」
ふたりは、何も言い返せなかった。
だって。
昨日から、ずっと考えていたのだ。
今日も話したい。
また会いたい。
昨日つないだ手の温度を、忘れられない。
おらふくんは、おんりーのことが好き。
おんりーも、おらふくんのことが好き。
それなのに。
まだ、恋人じゃない。
「……おんりー」
おらふくんが、小さな声で呼んだ。
「……何」
「今日、作業終わったら……ちょっと話せる?」
さっきまでの騒がしさが嘘みたいに、声が優しかった。
「……うん」
おんりーは、少しだけ笑った。
「俺も、話したいことある」
その瞬間。
「「「「「あーーーーーー!!!!!」」」」」
メンバー全員の声が、見事に重なった。
「何ですか今の!!」
「いや、無理無理無理! 甘すぎる!」
「お前ら、もうふたりで別の通話行け!!」
「だから、付き合ってないって!」
おんりーが叫ぶ。
けれど。
「……じゃあ、付き合ったら教えてな?」
ぼんじゅうるが、笑いながら言った。
「…………っ!」
おんりーは黙り込んだ。
おらふくんも、何も言えなかった。
ただ、ふたりとも。
通話の向こうで、同じように笑っていた。
その日の作業が終わったあと。
約束通り、ふたりは別の通話に移動した。
「……おんりー」
「……ん?」
「今日、めっちゃ恥ずかしかったな」
「……誰のせいだと思ってんの」
「ごめんってぇ!」
おらふくんが笑う。
おんりーも、つられて小さく笑った。
少しの沈黙。
それから、おらふくんが真面目な声で言った。
「……なあ」
「うん」
「俺、昨日からずっと考えててん」
「……何を?」
「おんりーと、これからどうなりたいか」
おんりーは、息を止めた。
「俺は……相棒としても、おんりーのこと大事やで」
「……うん」
「でも、それだけじゃなくて」
おらふくんは、少しだけ照れたように笑った。
「……恋人として、隣におりたい」
おんりーの胸が、いっぱいになった。
ずっと欲しかった言葉。
何度も想像して、そのたびに諦めようとしていた言葉。
それが今、目の前にある。
「……おんりー」
「……何」
「俺と、付き合ってください」
おんりーは、目を閉じた。
そして。
「……うん」
小さく、でもはっきりと答えた。
「……よろしく」
「…………っ!」
おらふくんは、しばらく何も言えなかった。
「……え、ほんまに?」
「……今さら何?」
「いや、だって……!」
「……断るわけないだろ」
そう言って、おんりーは少しだけ笑った。
「……俺も、おらふくんと恋人になりたかったから」
「…………」
「……おらふくん?」
「……あかん」
「は?」
「……嬉しすぎて、何言ったらええか分からん……!」
おんりーは、とうとう声を上げて笑った。
「……ふはっ、何それ」
「だってぇ……!」
ふたりの笑い声が、通話に響く。
そのあと、どちらからともなく。
「……好きだよ」
「……俺も、好き」
今度は、誰にも邪魔されなかった。
スマートフォンも、鳴らなかった。
ふたりの言葉は、ちゃんと最後まで届いた。
コメント
1件
もう最高すぎて胸がギュッてなったよ…! おんりーとおらふくんの照れ隠しが可愛すぎて、通話メンバーのツッコミも面白くてずっとニヤニヤしちゃった。最後の告白シーン、本当に尊い…「俺と付き合ってください」からのおんりーの「うん」、涙出そうになった。こんな甘い展開をありがとう…!