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「気付けなくて、守ってやれなくて、ごめんな」
俺が抱きしめ続けると、津炎は呆れたように、諦めたように、そっと俺の背中に腕を回して抱きしめ返してくれた。
俺はやっぱりまだまだ未熟だ。感情が零れ出て、こんなにも迷惑をかけてしまうなんて。
「津炎、すまなかったな」
抱きしめていた津炎を離し、俺が今一番できる最大級に優しい声と表情で、そう言って、部屋を立ち去ろうとした。
その時急に目眩がして、足がふらついて、思わず近くの柱に手を着いた。
ーードンッ
大きな音が聞こえた。
そりゃ、2メートルを優に超えた俺を支えようと思えばそんな音が出てもおかしくは無い。
さっき、一瞬世界が歪んで見えた。
ダメだな、こりゃ。最近健康な生活を送っていたからか、ちょっと飯と睡眠を抜いただけでこうだ。
津炎は驚きつつも、俺の事を心配そうに見つめてくる。
「大丈夫だ。ちょっと目眩がしただけで、。お前は何も心配すんな」
そっと微笑んで見せ、心配そうに眉を下げてる津炎の頭を撫でてやる。すると津炎は、少し恥ずかしそうに、頬を赤らめた。
可愛いな。
疲れているせいか、そんな事が脳裏を過ぎる。
「無理、しないでくださいね……?」
心配してもらうなんて、俺は幸せ者だ。
「わかった」
そんな言葉を返しながらも、俺は昼飯を抜いて、北華の様子を見に行く。
ノックをしてからドアを開けて、そこにいるはずの北華に声をかける。