キ「こいつは…」
咲夜「驚きました?」
咲夜「幻符『殺人ドール』」
その時、キラーが見た光景は、空中で跳ね返り、相手の息の根を止めようとするナイフだった。
咲夜「宙を舞うナイフと言うのは、在り来りですが、宙を踊るナイフは見た事ありますか?」
キ「どういう意味なんだ?それって?」
咲夜「舞うとは決められた場所に、決めれたタイミングで飛ぶこと、しかし踊るというのはそれぞれの個性を出し、相手を倒さんとするナイフなんです。」
咲夜は、一つ一つ丁寧に説明する。
が、それはナイフが反射し、キラーの生命を仕留めに行く理由にはならなかった。
キ「はっ、戦いづらい、相手だ。」
そう言って、キラーはナイフを避け続ける。
咲夜「ご冗談を、戦いやすい相手と言うのは、弱い相手の事を指すんですよっ!」
そう言って、咲夜は、さらにナイフの追撃をいれる。
キ「その通りだなっ!」
そうして、キラーは自分のナイフで昨夜のナイフを弾きながら、骨、ブラスターで牽制を行った。
それから、
咲夜「さて、どのくらい経ったでしょう?」
キ「さてな。」
あれから数十分の間、2人は戦い続けていた。
咲夜「そろそろ疲れてきてますね?」
キ「あぁ、少しな。だが、それはお互い様だろう?」
咲夜「そうですね。」
互いに平気を装っているが、その額からは汗を零し、身体も思うように動かない状態だった。
咲夜「終わりは近いようね。」
キ「ここからがターニングポイントだ。」
そう言って、お互いナイフを持ち近付く。
最後の斬り合いに入ろうとした、
次の瞬間、
咲夜「やっぱり、やめとくわ。」
そう言って、咲夜が背を向ける。
キ「どういう事だ?オレが殺意が無くなったら殺さないような甘いヤツに見えるか?」
これにはキラーの頭にも困惑がよぎる。
咲夜「あら、勘違いしてもらったら困るわ、あくまでも、『私がやる必要が無くなった』だけよ。」
キ「そいつは、どういう意味だ?」
???「私が…相手をするという意味ですよ。」
そう後ろから声がしたのだ。
キ「お前は…」
妖夢「魂魄妖夢、貴方を…斬る者よ。」
そう私、魂魄妖夢だ。
キ「お前さん、まだ立つのか、また友達の為にか?」
妖夢「あぁ、そうだ!友と誇りの為に、私は必ず貴方を斬る。」
本当は1人で勝つつもりだった。
だが、私はまだ弱い。
今回は咲夜さんの力を借りてしまった。
そのお礼もしなくてはいけない。
だが、この勝負だけは譲れない。
私がやらなくてはいけない。
この刀と魂魄の名を掛けて。
妖夢「終わらせましょう。この一撃に全てを掛けます。」
キ「付き合ってやるぜ。その一撃に、」
お互い武器を構える。
これが最後だ。
妖夢「コォォォ……」
目を閉じ、深く呼吸する。
今の限界を超える為に、私の身体は常にボロボロで、思うように動かないから、
勝つ為には己の限界を超える必要がある。
深く、深く瞑想する。
1番良い時を狙うんだ。
キ「さぁ、終わりだ。」
キラーがナイフを振るおうとする。
まだ、まだだ、寸前まで引き付けるんだ。
攻撃の時、必ず隙が生まれる。
そこを狙うんだ。
………今しかない…!
妖夢「かぁァァァ!!!」
キ「なっ!?」
«シャキーン!!»
その時、敵を斬る音がした。
キ「ハ、ハハ、オレの負けだな。」
身体を斬られ、吐血までしているキラーがそう笑う。
妖夢「えぇ、そうです。あなたの負けです。」
そう言って刀を鞘にしまう。
キ「トドメ、刺さないのか?」
妖夢「刺す必要が無いと、判断しました。」
キ「へ、そうかよ。」
キ「……勘違いはすんなよ?」
妖夢「何がです?」
キ「この勝利は、お前さんのもんじゃない。お前さんの意識が戻るまで、言葉通り時間稼ぎを続けた、あいつのおかげで出来たものだ。」
妖夢「えぇ、分かってます。これは咲夜さんのおかげである勝利です。」
キ「へへ、そういう事だ。」
そうして、会話は終わった。
そう思っていた。が、
キ「あともう1つ、」
妖夢「何ですか?」
キ「オレはな、今の今まで、色んなやつを殺してきた。」
妖夢「……」
キ「だから、逆に攻撃されるなんて事も何度もあったが、」
キ「初めてだったんだ。痛みを感じたのは。」
妖夢「…」
キ「もう長い間、何も感じなかったオレが、初めて痛みと、負けを実感したんだ。」
妖夢「…」
キ「オレは何故かそん時、懐かしい感覚に襲われたんだ。ずっとずっと昔の感覚だ。」
妖夢「あなたは……」
キ「へへへ、何でだろうな?まぁ、」
キ「ありがとな?オレを斬ってくれて。」
そう言って、キラーは、キラー『サンズ』は、姿を消した。
死んだのではなく、逃げたのだろう。
だが、もう幻想郷で悪さをする事は無さそうだ。
咲夜「結局、本当の中身は変わりきれなかったって訳ね。」
咲夜さんが、そう話しかけてくる。
妖夢「そうですね。彼も『サンズ』さんだったのでしょう。」
まぁ、そんな事を考えても、もう彼はここに居ない。
今できることは、
妖夢「待ちましょうか、こんなボロボロな状態で行っても、邪魔になるだけでしょうし。」
咲夜「そうね、そうしましょう。私も疲れたわ。」
妖夢「本当にありがとうございました。」
咲夜「このくらいは安いわよ。」
妖夢「ありがとうございます、それじゃあ、」
今も幻想郷を守ろうと、戦っている人達が無事に勝てるように、
妖夢「あとは頼みましたよ霊夢さん達。」
咲夜「後は頼みますよお嬢様達。」
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カッコいい!