第5章〜君に伝える〜
俺は笹峰を呼び出し、しばらく黙ったあと。
原西「ねぇ。笹峰。中学校の時は本当にごめん。でも、そんな俺をなんでここまで尽くしてくれるの?」
笹峰「それは。原西くんのことが気になってるからだよ。あのね。す、す、」
原西「俺はお前が好きだ。」
笹峰はびっくりして固まっていた。
原西「こんな俺をここまで助けてくれて、夢を持たせてくれて。そして生徒と必死に向き合うその姿。俺はどんどん惹かれた。」
笹峰は、泣いていた。俺は咄嗟に謝った
しかし笹峰は違う。嬉しく泣いてるの。と言った。
原西「俺はお前の眼になる。」
そう言葉にした。
俺はそっから自信がつき、高校になって初めてみんなの顔をしっかり見るようにした。そしたら友達もできた。中学校の時にいた人とも。
隣町にいた俺とつるんでいた女子が一言言った。
「ねぇ。中一の時に笹峰って奴いたじゃん。あいつのせいで、全て終わったよね。」
俺はその言葉に固まった。
「あいつがいなければアンタは虐められること無かったし、クラスが荒れることもなかった。」
次々と止まらない。俺は言葉にしようとしたけど、嫌われるのが嫌で何も反論できなかった。
俺にとって笹峰は大切な人だけど、周りからしたら厄介者だったのかもしれない。たしかに、笹峰が来てから歯車はくるった。急に逆回転したかのように、それを笹峰は聞いていた。
見ていた。その場を後にした。
高校二年生の夏。笹峰の親と会うことになった。またビンタくらいのかな。っとつぶやくと、それどころやられるね。って言われてしまった。だいぶビクビクしていた。案の定、笹峰の母は笑顔を見せることなく少し怒った表情でこっちに向かった。笹峰は察して、母を止めて居た。無言の状態が続く。俺は耐えきれなくなった。笹峰の家はマンションの最上階だった。俺はササッとその場を後にした。笹峰はなんとも言えない表情。
俺はいつも通り笹峰の目となり誘導した。笹峰は付き合う前よりだいぶ笑顔が戻った。目は未だに見えない。手術をしても無駄だと医師には言われてしまった。しかし、笹峰の心の奥には、同級生が言った言葉が残っているように見える。
俺は、あんなこと気にするな。と言いたかったが、反論することが出来たかった以上口出しをすることが出来なかった。
こんな調子でほんとに教師向いてるのか疑いそうになった。
しかし、教室に着くと、生徒たちから手紙を読んでもらった。
「原西先生へ。いつも俺たちに教えてくれてありがとうございます。俺たちみんな最初は希望も夢もなかったんです。何となく、視覚障害についてしりたかったからいってただけでした。しかし、原西先生の一生大切に、や今を大切に、この言葉がずっと頭に残りました。原西先生も過去に沢山後悔をして、悔やんで、悲しんだことでしょう。しかし俺達もそうです。沢山後悔しました。なぜあの時あんなこと言ったのだろうか。言わなければ、喧嘩しなければ、ただ、その後悔をバネに変えれる。そう思いました。原西先生に言われるまでは気づきませんでした。この先、何があるか分かりません。ただ、先生に言いたいことがあります。先生は泣くことを我慢しているんじゃないんですか。泣きたい時に泣いてください。それが俺たちの願いです。泣きたい時に泣いて、甘えたい時に甘えてください。笹峰先生を頼ってください。先生たちは見つめ合うことが出来なかったとしても、心で通じ合うことは出来ると思います。 」
生徒たちの手紙に俺は思わず涙した。なんていい生徒を持ったのだろうか。心にグッと刺さった。久しぶり泣いた。今まで後悔して、泣くことが許されないような、チェーンで結ばれたような。でも、今解けた。解放された。今までごちゃごちゃになっていた感情が一気に出た。喜ぶことすら出来なかった俺をこの手紙によって、泣くこと、喜ぶこと、心の変化をすることが出来た。
授業が終わり、俺は帰ろうとしたところ。笹峰に、声をかけられた。お祭りのお誘いだった。そういえば、そろそろ祭り、花火のシーズンだ。俺は難なく承諾した。笹峰にとって目に見ることは出来ないけど、音を聞くことは出来る。音を楽しんでもらう。でも俺は花火について色々と教えていきたい。今何色だよ!っとか。形を。花火の形が変わると共に俺たちの愛のかたちも変わっていくような気がした。
そして笹峰は先に帰るね。っと言った。俺は送るよ。と言ったが、勉強するから先に帰るね。ごめんね。っと言った。
2人ともまたね。をした。
その数十分後おれは笹峰の家にスマホを忘れたのに気づいて取りに帰った。
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