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第6章〜過去の代償〜
俺はスマホを取りに帰った。
ドアは空いていて、失礼しますと言って部屋に入った。スマホを見つけて帰ろうとしたが、やけに人の姿がしない。帰ってないのか?と思い、部屋中を探してみたが、居なかった。
俺は笹峰に電話をかけた。
何回もかけるが、出てこなかった。心配になり俺は家を飛び出して笹峰が行きそうな場所を徹底的に探した。
しかし、
見つからなかった。友達を呼んでも見つからなかった。友達は諦めて帰ったが、俺は探し続けた。
すると、信号の先に笹峰を見た。俺は安心をして、笹峰の方に向かおうとした。
歩道は青。車道は赤になっていた。
そこの信号は視覚障害者にも分かるように、ピッポ。と音が鳴る信号機だった。
しかし俺の目に飛び込んだのは思わぬ光景だった。車道側は赤のはずなのに、1台の車が猛スピードで笹峰にめがけて進んでいた。俺はすぐに走り出した。
俺はそう叫んだ。それと共に笹峰にめがけて飛び込んだ。間一髪で笹峰を飛ばすことが出来た。時間が無い。俺もこの場から離れなければ。でも、様子がおかしかった。今すぐ避けないと。脚が、、、脚が動かない。
飛び込んだ時にどうやらやってしまったようだ。
動け。動け動け動け。しかし、ダメだった。
俺はその瞬間過去のことが全てフィードバックした。あのこと、笹峰にちゃんと謝ったっけ。友達ってなんだっけ。
俺って。何を目指してたんだろう。
過去を振り返ってもろくなことしか無かった。
俺なんて、生きてても意味ないんだな。そういうことなんだろ。神様。
“あぁ。もうダメだ。車が。”
その瞬間俺は意識が飛び真白になった。
ここは。どこだろ。天国か。地獄か。まぁどっちでもいいか。あー。そうだな。後悔としたら、笹峰にちゃんと思いを伝えれてなかったかな。あれ以降。好きとか。愛してる。とか。言ってなかったな。ダメな彼氏だ。最初から最後まで。あ。綺麗な川だ。少し渡ってみよう。
その瞬間。頭の中で聞こえた。
何か。聞こえる。
笹峰。そういえば。未だに唯華って呼んだこと。なかったな。俺は。もう。生きてる意味なんて、、、
でも、後悔したまま死にたくないな。もう一度。あの人とやり直して、生きて、笑って、頑張りたい。起きろ。俺。あと少し。渡るな。その川を。
すると、真っ白な世界から、笹峰の顔が見えた。
唯華「謙也…?わかる…?笹峰唯華だよ。」
唯華「ごめんなさい。私の。不注意で。」
謙也「唯…華…あの時は、無事だったのか。良かった。心配してたよ。まだ、17時だね。1日しか経っていないのか。さぁ帰ろ?」
唯華「……馬鹿。謙也は1週間も意識がなかったのよ。馬鹿。」
俺はその時初めて一週間も寝ていたことを知った。
謙也「ねぇ。唯華。」
唯華「どうしたの?どっか具合が悪…」
唯華「え。?」
唯華は困惑していた。でも、困惑しながらも泣いていた。
唯華は何度も俺に謝った。
1ヶ月後。俺は無事に退院をした。初めて唯華と呼んだ日。愛してると言った日。忘れたい日だが、忘れられない日になった。
そして今日は、付き合って1年だ。
支度をしよう。