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成瀬りん
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ダンジョンでの戦いを終え、ようやく平穏な日々が戻った――そんな矢先のことだった。
穏やかな午後、自宅の窓辺で紅茶を飲んでいた私のもとに、馬の蹄音が近づく。
玄関を開けると、汗だくの使者が手紙を差し出してきた。
「サティさん! 父上……いえ、国王陛下からの手紙です!」
「えっ、王様から……!?」
驚きつつも手紙を受け取り、封を切る。そこには、重々しくも温かい文面が綴られていた。
* * *
サティ殿
我が愛娘ユーリシアが、そなたのもとで世話になっていること、感謝しておる。
さて、娘が城を離れてからそれなりの時が経ち、そろそろ「王女が城にいない」という噂が城内でも広まり始めておる。
よって、父としてではなく、王としてそなたに一つ依頼を申し上げたい。
我が娘を、王都へ連れ戻していただきたい。
報酬については、王都に到着した際、直接そなたの口にお伝えしよう。
王国国王 アーノルド・セレスティア
* * *
「……国王からの、正式な依頼か」
私は手紙を読み終え、ふぅとため息をついた。
「なんて書いてありましたか?」
隣で興味津々に覗き込むユーリシアが、首を傾げて尋ねる。
「姫を王都に連れて戻ってきてほしいって。最近、帰ってないから色々と騒ぎになってるみたい」
「……そんなことですか」
「“そんなこと”って。姫がいなくなってたら、王城の人たち大騒ぎよ?」
「分かりました。今回はちゃんと帰ります。でも、またダンジョン攻略行きましょうね?」
「もちろん」
私は微笑んで頷くと、すぐに旅の支度を始めた。
* * *
王都への道は長い。
「ここからだと……大きな街まで1日、そこから王都までは2日ってところかな。3日あれば着くはず」
「了解しました、旅の指南役さん♪」
王女らしからぬ軽口に、つい笑みがこぼれる。
こうして、私とユーリシア――王女と戦士、2人きりの旅が幕を開けた。
背中には旅装を。胸には微かな不安と、確かな絆を。
これは、任務でもあり、少しだけ――休息のような時間だった。
コメント
1件
国王からの手紙、一気に物語が動き出した感じがしてドキドキしました…!「父としてではなく、王として」っていう一文に、立場の重みとサティさんへの信頼がにじんでてすごく好きです。ユーリシアの軽口とサティさんの微笑み、2人の距離感が自然で温かくて、旅の始まりがなんだか切なくも愛おしい…。不安と絆、どっちもちゃんと胸にある感じが綺麗でした🌙