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#ワンナイトラブ
芙月みひろ
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私は席を立ち、雨宮主任のデスクへ向かった。
「主任。修正しました。来期の燃料費に加え、予備のコストも0.1%単位で再試算しました」
雨宮主任は、モニターから目を離さず、差し出された書類を受け取った。数秒の沈黙。フロアの誰もが、主任の「次のダメ出し」を待っていた。
主任が、静かにペンを置く。初めて真っ向から射抜かれた。氷のような鋭い瞳の奥に、一滴。私を「プロ」として捉えた、確かな信頼が宿っていた。
「……いいわ。その速度と正確さ。……そして、指示以上の備え(プラスアルファ)。……その調子で、午後のタスクも片付けなさい」
「……はい! ありがとうございます!」
一言。それだけ。 なのに、心臓がどくん、と大きく跳ねた。
(……っ! 陽一さんに愛された時とは違う、この『認められた』感……! なにこれ、めちゃくちゃ効く……!!)
私はデスクに戻り、再び猛烈にキーボードを叩き始めた。ふと視線を向けると、王子谷くんも、死にそうな顔をしながらも――どこか清々しい表情で、資料と格闘していた。
雨宮主任という「圧倒的な光」が営業部を、今、劇的に変えようとしていた。