ー ー ー ー ー
ATTENTION
rdmd注意
R 18描写はナシ
キャラ崩壊注意
rdの愛がけっこう重め
md死ネタだけど、ハピエン
死ネタ苦手な人の克服用にぜひ
読後の苦情は一切受け付けません
ー ー ー ー ー
「ひぐっ、うっ……」
ぐずぐずと鼻を啜る音が透明な空間に寂しくくぐもって聞こえる。
小さくなって背を向けたまま流れる涙をゴシゴシと擦り続ける、惨めで、可哀想な少年の額には尖ったツノが二本生えているのが見えた。
彼が例の人外なのだろう。
誘拐された挙句にこんな狭い箱に詰め込まれて放置とは、なんて哀れで不憫なことか。
「ひっ、んぐっ…ぐすっ……ぅ…?」
ゆっくりと振り返った鬼の子は俺を視界に収めると、箱の側面にピタリと手を当てて「ここから出して……」と涙ながらに懇願した。
正直、箱から出してあげたい気持ちでいっぱいだったけれど、いかんせんその箱の開封方法を知らない。力技でこじ開けることも出来るだろうが、箱と鬼の子の間には縦横どれも十センチくらいしかスペースが存在しないため、下手をすれば箱の中身諸共木っ端微塵となる。
流石にあって二分もせず肉塊にしてハイ、サヨナラ。なんていうのは気が引ける。
嫌だけど、すっごく不本意だけど…!!
たった今から箱の開封方法を国王に話を聞きに行かないといけない。
重く溜息を吐いて踵を返す。
鉛のように重く感じる手を扉にかけた、その瞬間_
「っ!!!」
「バレてるよ」
音もなく飛びかかろうとしてきたのは箱の中にいたはずの鬼の子。
しかし、バッと飛び上がった直後に見えない何かに押され、ビタン!と潰れたカエルのように地面に張り付いているのをズリズリと引きずって玄関まで向かう。
自作自演…それなら国王に近寄る理由が無くなった。むしろ万々歳だ。
なんやかんやでその最中にも何人か飛びかかってきたので、初めと同じようにした。
「コレで全部?」
ぺちぺちと鬼の子の頬を叩きながら聞けば、鬼の子は悔しそうにぐっと顔を顰めた。
潰れたカエルは全部で四匹。色で識別するなら青、黄、赤、紫といったところだろうか。
青の子はらっだぁ、青鬼。
黄の子は金豚きょー、堕天使。
赤の子はレウクラウド、黒ガスト。
紫の子はコンタミ、クラーケン。
それぞれの種を名乗らせれば、その見た目に則したものが返ってきて一人納得した。
ついで言えば、あの生意気な国王から「館にやってくる生意気な魔女を殺したら解放してやる」と言われたらしい。
どう考えても嘘だろうに……
というか、お互い生意気に思いながらも俺は今まで手を出さないでいたのに。
あの愚王が何かしでかす前に殺してしまった方が得かもしれない……そのためにも今は最低限従順なフリをしなければ。
チラリと床を這っている彼らを見れば、パチリと視線が合った。
俺が無感情で見つめているのに対して、彼らはまるで親の仇でも見るかのよう。
長そうな道のりに溜息を吐きつつ、魔女は一人一人を順に指さして言い含めた。
第一に、勝手に館の外に出ないこと。
第二に、館の中に魔女が許可したもの以外を入れさせないこと。
第三に、意思や意見の主張は隠すことなくしっかりと行うこと。
第四に、分からないことがあれば魔女に判断を仰ぐこと。
第五に、魔女の「絶対」には決して逆らわないこと。
きょとんとしたり、ムッとしたり、表情のわかりやすい子供達を前に魔女は面倒臭そうに手のひらを振るのに合わせ、余分な裾がカーテンのようにふわりと揺れた。
「これ“絶対”だから。あー、それと館の別館とそれぞれの地下もダメ。立ち入り禁止ね」
「ふんっ…」
「誰がハイ、ソウデスカー言うて聞くかっての」
「じゃあ別に聞かなくてもいいよ」
魔女の言葉に反抗的だったらっだぁときょーがきょとんと目を丸くする。
「言う事を聞いたほうが身の為だって覚えてくれてればそれでいい。何かあった時の保証はしない。以上」
殴られるとでも思っていたのか、ぎゅっと目を瞑って身を固くしていた四人は驚いたように魔女を見上げた。
そんなことを知ってか知らずか、魔女がスッと視線を逸らすと四人を地面に押し潰していた何かが消えた。
「………あの、なまえ…」
おずおずと口を開いたらっだぁにフム、と思考を巡らせる。
自分の名前なんて随分昔に忘れてしまったのだ。
魔女、森の魔女、という呼ばれ方しかされなかった上に、好んで誰かと会話をするような性格でもなかったから。
思考を巡らせたまま黙りきりの魔女は脳内に色を思い浮かべた。
『色で識別するなら青、黄、赤、紫といったところだろうか。』
ならば、自分は緑にしよう。
遠い昔に知った、異国のハナシ。
本当は白が良かったけれど、白色なんて名前はちょっと、魔女のシュミには合わなかった。
「ワタシ……いや、オレの名前は……」
だから、青の代わりとなる緑にしよう。
「みどり…ミドリイロだよ」
ー ー ー ー ー
next?→100♡
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!