この作品はいかがでしたか?
300
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水赤
nmmn
生きるのに疲れたって思った時に。
自分の作品で人を感動させた事なんてないけど、それほど語彙力ないのも分かってるけど、 この作品でちょっとでも元気になって欲しい。
今度遊びに行かない?|
今度遊びに行|
どうしよう。
送っちゃおうかな……
いや、迷惑…かな…
今度遊ばない!?|
いや、これだとキモいわ…
_ヴー…
あ、やばっ。
りうちゃんオンラインになっちゃった…
送ろうか迷ってるってバレる…!
もし良かったら、今度遊びに行かない?|
送信
…あ、既読ついた。
打ち込み中の表示に胸がドキドキする。
りう:まじ!?行きたい!!
明るい返信にほっと胸を撫で下ろす。
いつなら空いてる?|
送信
りう:明日がいい!
「あ、明日…っ!?」
思わず声に出して復唱してしまった。
相当楽しみなのかな。
…嬉しいな…
いいね!集合は_駅で大丈夫?|
送信
りう:うん!俺美味しそうなお店調べてみるね
ありがとう!楽しみにしてる(∩>ω<∩)|
送信
愛用している顔文字をつけて、メッセージを送信する。
数秒後、りうちゃんからひよこがウインクしているスタンプが送られてきた。
りうちゃんが愛用しているスタンプ。
淡い黄色のふわふわしたひよこがなんとも可愛らしい。
「ふふっ……」
りうちゃんは、僕の一番仲良しなネッ友。よく通話したりもする仲だ。
僕は今大学生だけど、りうちゃんは高校生なんだって。ちなみに、リアルで会うのは初めて。
あぁ、明日会うのが楽しみだなぁ…
どこに行こうか、何をしようかと考えているうちに、僕は眠りについていた。
約束の正午頃、高揚のあまり僕は予定の時刻より20分も早く駅に到着していた。
(りうちゃん、いるかな…?)
スマホで送られてきたりうちゃんのコーデの写真を見ながら、それっぽい人物を探す。
が、道行く人にりうちゃんらしき人物は見当たらなかった。
もう少し下がって視野を広くしてみよう、と2、3歩後ずさった時、誰かと背中がぶつかってしまった。
「「すみませっ……」」
慌てて謝り、後ろを向いた先には、スマホの写真と同じ服を着た人が立っていた。
「…りうちゃん?」
「いむ…!」
りうちゃんは僕だとわかった途端抱き着いてきた。
そして、お互いの顔をまじまじと見つめる。
「りうちゃんイケメンじゃん…」
「いむだって可愛いイメージしかなかったけど、意外とかっこいい顔してんだね」
「意外とって…!」
りうちゃんは笑って「いい意味だよ」と返す。
「…いむ、行こ!この近くにオシャレなカフェあるから!」
僕の手を引いて歩くりうちゃんは、とても楽しそうで頬が緩んだ。
それから、僕たちはしょっちゅうリアルで会うようになった。
そんなある日、今日も駅の近くのゲームセンターで遊んでいると、りうちゃんが突然足を止めて言った。
「…ねぇ、いむ。」
「うん?」
「いむは俺の事…助けられる?」
「……え、?」
「…ううん、なんでもない。」
「んね、あっち行きたい!」
「え?あ、うん……」
りうちゃんは僕の手を取ってお菓子が並んだクレーンゲームの方へ歩き出した。
先程までの異様な空気はぱっとなくなり、いつもの雰囲気、いつものりうちゃんだ。
しかし、僕はさっきの意味深な言葉がどうも突っかかって、その日はあまり楽しめなかった。
_あれから、数日後。
夕方、りうちゃんからメッセージが届いた。
「……は、」
それを見た瞬間、僕は息を飲んだ。
りう:つらい
りう:くるしい
りう:きえたい
スマホの電子音と振動が止まらない。
連続的に送信されるメッセージは全てひらがなで、不穏な内容ばかりだった。
そして最後に…
りう:たすけて
僕はスマホを持って雨の中家を飛び出した。
_いつものあの駅を目指して。
「はぁっ、はぁっ…」
りうちゃん、りうちゃんりうちゃん…
「……」
真っ白な霧の先に、りうちゃんが見えた。
傘は持っていなくて、全身びしょ濡れのりうちゃんが虚空を見つめて立っている。
その瞳は真っ暗に染まり、光が届くことはない。
足元に目をやると、裸足だった。
「っ…、りうちゃんっ!!」
僕はその名前を叫んでがばっと抱きついた。
持っていた傘がガッと音を立てて地面に落ちる。
周りの視線が一気に集中するのが分かった。
「りうちゃん、りうちゃん…っ!!」
「……」
りうちゃんは黙っている。
身体が酷く冷たい。
僕たちを取り囲むコソコソ喋っている人、
笑っている人、
スマホを向けている人。
僕はそいつらをキッと睨んだ。
…りうちゃん、ごめん。ちょっと疲れるかもだけど、着いて来て。
僕は黙ってりうちゃんの手を掴み、走り出した。
「はぁっ、はっ…」
「っ……」
走り始めて数分、りうちゃんを掴んでいた腕が突然重くなった。
後ろを振り向くと、りうちゃんが息を切らして屈んでいた。
僕はそんなりうちゃんをおんぶして再び走り出した。
「はぁっ、はっ…げほっ…っは」
「……」
息が苦しい。
走る速度が次第に落ちていく。
でも、足は止めない。
絶対に止まるもんか。
…あれから、どれほどの時間歩き、走っただろうか。
駅からだいぶ離れた公園。
そこで僕は足を止めた。
「はっ…げほっ、げほっ…」
僕は屈んでりうちゃんを降ろした。
「っ…まだ、もうっ、ちょっと、先…」
公園の奥にある細い坂道を進む。
周りは草が腰の高さまで生い茂っている。
暫く進んでいくと、見晴らしの良い丘の頂上にたどり着く。
太陽はすっかり沈み、いつの間にか雨はやんでいた。
雲の間から満月が見える。
「本当は星が見えるんだけど…あ、ほら、晴れてきた」
まるでタイミングを見計らっていたかのように雲がさっと抜けて、辺り一面に星空が広がる。
「……!」
一瞬、りうちゃんの指がぴくっと動いた。
「…小さい頃、よくここに来てたんだ。」
「僕がここに来る時は、だいたい晴れてて、星が綺麗だった…」
「それでね、家族や友達に打ち明けられないことは、あの星に聞いてもらってた。」
「星の光が僕にこう言ってるみたいだった。」
「“急がなくてもいいんだよ” “ゆっくり生きていこう” “そのままの貴方でいいんだよ”」
「って…」
僕はじっと星を見つめたあと、りうちゃんの方を向いた。
震えるその身体をそっと包み込む。
「りうちゃん……よく頑張ったね。 」
「もう大丈夫…僕がいるよ。」
「っ……!」
「い、いむ……っ」
「辛かった…しんどかった…っ」
「うん…」
頷きながら、ゆっくり背中を撫でる。
「りうらもぉ…っ、生きるのつらいよぉ…
っ」
「うん……」
あぁ、どうかあの空のお星様。
りうちゃんの心に光を与えてください_
その瞬間、夜空に浮かぶ星々が一斉に眩しく光り輝いた。
…僕の、幻覚なのかもしれない。
星屑のようなものがりうちゃんに降り注いでいる。
「ひぐっ…うぁ、ぁあぁ…っ」
「りうちゃ……」
僕はその光景をただ唖然と見ていた。
_“あなたはひとりじゃないわ”_
りうちゃんの胸が赤色に光り輝いている。
あまりにも眩しくて目を伏せると、僕の胸も水色に光っていた。
「んわ……っ!?」
星屑たちは僕たちの周りをぐるぐると回ったあと、どこかへ消えてしまった。
胸元の光もまるで自分の心の中へ仕舞われていくように弱まっていく。
「……あれ……」
先程まで走っていた足の疲れや痛みがなくなっている。
それだけじゃない。
なんだか心も軽くなったような気がする。
「…りうちゃん…」
「ふぅ…ひぐ…っ」
りうちゃんは目をごしごしと拭いて、まっすぐ僕を見た。
その瞳は心做しか眩しく輝いている。
「…ありがとう、いむ…元気出た…」
「!…良かった。」
りうちゃんの様子が良くなったところで、素朴な疑問を投げかけてみる。
「りうちゃんの本名って、りうらだったんだ?」
「えっ……」
「嘘、俺言ってた…?」
「うん、ばっちり。」
「まじか……」
「まぁ、ネットの名前も本名から持ってきてるしな…」
「それに、いむになら身バレしてもいいよw」
「えっ!じゃあ苗字教えて!」
「その前に〜、いむの本名教えてっ?」
「僕の名前は、稲荷ほとけ!」
「ほとけ…?」
「ほら、ほとけって、漢字でイムって書くじゃん?」
「あ〜!そういうことかぁ…」
「りうちゃんは…?」
「俺は大神りうらって名前…」
「へぇ〜、…一人称りうらもっかい聞きたいなぁ…」
「あれはっ…素だと言っちゃうんだよ…」
なんて他愛ない会話をしながら夜空を眺める。
「……ねぇ、いむ……」
「うん?」
「…帰りたくない、かも…」
「……そっか、」
「じゃあ、これからは2人でいよう?」
「……!」
「うん、いむと一緒がいい…」
僕はりうちゃんの家族でもなんでもない。
りうちゃんの人間関係に、人生に口を出せる人じゃない。
それはたとえ家族だって一緒だ。
君の人生は、君が決めた道を歩む。
だから、急ぐ必要なんてないんだよ。
疲れたら、ちょっと足を止めて休んでもいいじゃん。
それをとやかく言われる筋合いなんて誰にもないんだから。
_君の、光になりたい。
全ての生きることに疲れた人へ
コメント
4件
ね 、むり 好きすぎます 🥹 やっっっばい 、本当に感動しちゃった 😭😭😭 あまり、作品で心打たれることないけれど もうぶち抜かれました 😇 CPも設定もストーリーも 、何もかもが 神がかってる ✨ きっと 、私はこの作品を見るために生まれてきたんだ うん 。 最高すぎました 、さすがのんちゃんです 👍🏻💞
どんなに元気な人でもどんなに明るい人でもやっぱりしんどい所ってあるよね😢😢 久しぶりののんちゃんの作品好きすぎた🫶🏻💕💕