コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
マドレシスが心の奥底に残る悲しみとともに、次の戦いへと向かおうとした時、突然、空気が凍りつくような冷たさを感じた。辺りの空気が揺れ動き、時間が歪むかのような感覚が彼を襲った。
「これは…?」マドレシスが驚きながら周囲を見渡すと、彼の目の前に現れたのは、亡きネメシスの姿だった。しかし、彼の姿は威圧感ではなく、穏やかで、苦しみから解放されたかのような安らぎが漂っていた。
「ネメシス…お前がここに?」マドレシスは言葉を失い、彼の姿を見つめた。
ネメシスは静かに微笑んで答えた。「マドレシス、過ちを犯した。そして、清算するために、ここに来たんだ。」
「過ち…?」マドレシスは理解できないまま、ネメシスの言葉を待った。
ネメシスは手を広げ、召喚するかのように空中に向かって小さな光を放った。その光は、ゆっくりと形を成し、やがてマドレシスの前に物体として現れた。それは、マデスが持っていた力を象徴する神々しい剣だった。剣は輝きを放ちながら、マドレシスの前に浮かんでいた。
「これは…兄上の剣…?」マドレシスは驚きながらその剣を見つめた。
ネメシスは静かに頷いた。「そうだ。これはマデスの力そのもの。彼はまだ、この世界から完全に消えたわけではない。そして、俺の最後の願いは、彼を再び甦らせることだ。」
「甦らせる…?どうしてそんなことを?」マドレシスは驚愕の表情でネメシスを見た。
ネメシスの目には、かすかに涙が浮かんでいた。「俺はマデスを裏切り、そしてお前にも背を向けた。だが、俺はそれを悔いている。兄上は、俺にとっても、お前にとっても、偉大な存在だった。彼が甦ることで、俺の罪も、そしてお前の苦しみも、少しは癒されるかもしれない。」
マドレシスはその言葉に心を揺さぶられた。彼は剣に手を伸ばし、それをしっかりと握った。その瞬間、剣から強大な力が彼に伝わり、体の隅々まで力が漲るのを感じた。
「ネメシス…マデス…」マドレシスはその剣を見つめながら呟いた。
すると、剣の輝きが一層強まり、やがてその光の中からマデスの姿が現れた。彼はかつての威厳と力を取り戻し、マドレシスの前に立っていた。
「マドレシス…お前が俺を甦らせたのか?」マデスは静かに問いかけた。
マドレシスは頷きながら答えた。「そうだ、兄上。ネメシスが俺にその機会をくれたんだ。お前を再び、この世界に戻すために。」
マデスはその言葉に深く頷き、静かに微笑んだ。「ネメシス…奴は最後に、ようやく自分の道を見つけたのかもしれないな。」
その時、ネメシスの姿が再び揺らぎ始めた。彼は微笑みながらマドレシスを見つめた。「俺の役目は終わった。これで、お前らは再び一緒に戦える。マドレシス、今度こそ、お前の力で未来を切り拓け。」
そして、ネメシスは光の中に消え、彼の姿は完全に消えてしまった。
マドレシスは再び剣を握りしめ、心に誓った。「ネメシス、お前の意志を受け継ぐ。そして兄上と共に、立ち向かう。」
こうして、マドレシスとマデスの新たな戦いが幕を開けることになった。彼らの前に立ちはだかる敵は、かつてない強敵であったが、二人の兄弟は共にその運命に挑むことを決意したのだった。
マデスは剣を握りしめたまま、静かに口を開いた。「マドレシス…今まで俺がしてきたことを、どうか許してくれ。お前を裏切り、そして苦しめたこと…心から、すまないと思っている。」
マドレシスは驚いた表情でマデスを見つめたが、やがて微笑みながら頷いた。「兄上、俺たちは血を分けた兄弟だ。何があっても、共に戦う覚悟は変わらない。そして、今こそ、共に新たな未来を切り開こう。」
二人の兄弟は互いの目を見つめ合い、その絆を再び強くした。そして、彼らは敵に立ち向かうべく、共に歩み始めたのだった。