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全てが無だった時、時空の彼方に意志が芽生えた。意志こそが、マデスだ。彼は闇の中で、自らを感じ、そしてこの無の世界に創り出す必要性を強く感じた。
「無限の虚無に、生命を宿すべきだ」と彼は思った。そして、彼の意志は形となり、創造の始まりを告げた。
最初に創り出したのは、光だった。マデスは手を伸ばし、暗闇に光を注ぎ込んだ。光は無限の闇を裂き、世界に初めての「日」をもたらした。しかし、光だけでは不完全だった。光があれば、反対の存在も必要だと彼は悟った。
こうして、マデスは闇を創り出した。光と闇、昼と夜が交互に訪れる世界が生まれ、時間が初めて形作られたのである。
次にマデスが手をつけたのは、地と海の創造だった。彼は自身の意志を込めて、地面を固め、海を広げた。地は豊かな緑で覆われ、海は深く青く、調和して存在した。
「しかし、この世界に動く生命がなければ、静寂だ」と彼は思った。そこでマデスは、様々な生物を創り出し、地上に放った。獣たちが森を駆け、鳥たちが空を舞い、魚たちが海を泳ぎ始めた。
だが、それでも彼の創造欲求は収まらなかった。彼は知恵を持つ存在を求めた。そこで、マデスは自身に似せた姿を持つ存在、人間を創り出したのだった。人間には知恵が与えられ、彼らは世界を探索し、理解し、自らの文化や文明を築いていった。
この世界が完成した時、マデスはその創造物を見渡し、満足感を得た。しかし同時に、彼は自分自身の力の限界も感じ始めた。この世界は彼の意志によって形作られたが、完璧ではなく、脆さを内包していた。
「この世界は美しいが、脆くもある。守る力も必要だ」と考えたマデスは、神々を生み出した。世界を統治し、守る役割を与えた。しかし、その中でも特に重要な役割を担ったのが、ネメシスであった。
ネメシスには、創造された世界の安定を保つための力を与えられた。しかし、ネメシスは次第に狂気へと変わり、彼の心を蝕んでいった。これが後に、亀裂を生む原因となり、彼らの運命を大きく狂わせることになるのだった。
このようにして、マデスは世界を創造し、その後の歴史を刻む基盤を築いた。しかし、彼が予期していなかったのは、この創造が後に数々の苦難と試練をもたらすことになるという事実だった。創造と破壊、その繰り返しが、彼と彼の創り出した世界の運命を大きく揺さぶることになるのだ。
「すべての始まりは、この創世記にある。」マデスはそう呟きながら、自らの創造物を見つめていた。彼が創り出したこの世界が、どのような未来を迎えるのかは、まだ誰にも分からない。だが、彼の心にはひとつの願いがあった。
「この世界が、いつの日か完全な調和を迎えることを…」
こうして、マデスは再びその力を振るい、次なる歴史の章を刻むために動き始めたのだった。