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ひとせるな
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転校してきた殺し屋君第2章:崩壊する日常
第8話:五色(ごしき)の怪物と四天王の狙撃
路地裏に鈍い衝撃音が響いた。 引き金が引かれる直前、黒咲の神速の手刀が海沼の頸動脈を捉えていた。 「……すまない、海沼」 崩れ落ちる彼女の体を、駆けつけた黒蜜(広島玄白)が抱きとめる。 「黒咲、無事か? ボスから指令があった。こいつを俺たちのセーフハウスへ運ぶぞ」
拠点に到着し、海沼を拘束した二人を待っていたのは、険しい表情の佐江宮だった。 「……凪、黒蜜。こいつの正体を知っているか?」 「クラスメイトの海沼、だろ?」 黒咲の問いに、佐江宮は首を振った。 「本名は『海沼玲亜』。組織の序列No.4。かつて男でありながら女らしいと蔑まれ、その過絶なストレスから脳が破綻した……。結果として五つの人格を生み出した、組織内でも異端の暗殺者だ」
佐江宮は資料を広げる。
* 蹴り技のスペシャリスト、面倒見の良い姉貴分**『玲奈』**
* 豪快なプロレス技を操る、俺様系の**『れいお』**
* 冷静沈着な拳による打撃、眼鏡の策士**『れいの』**
* 二丁拳銃を乱射する、無邪気で残酷な末っ子**『れいたろう』**
* そして――現れれば最後、周囲を死体に変える厄災の化身**『玲(れい)』**
「今は気絶しているが、目覚めた時にどいつが表に出るか分からん。だが、今はそれ以上に火急の事態だ」 佐江宮が叫ぶのと同時に、部屋の窓ガラスが粉々に砕け散った。
パァンッ!!
乾いた発射音。の頬を、弾丸がかすめて壁にめり込む。 「……狙撃!? 黒蜜、伏せろ!」 向かいのビルの屋上。西日に反射するスコープの光を、黒蜜の鋭い目が捉えた。 「あいつは……裏切り者の四天王、『黒鷹勇(くろたか いさむ)』。 学校での偽名は、黒岩仁だ」
クラスメイトとしての黒岩は、どこか飄々とした男だった。だが、今の彼は冷酷なスナイパーとして、かつての仲間を狩りに来ている。
「黒咲、海沼を……いや、『No.4』を見てろ。ここは俺が行く」 黒蜜が静かに立ち上がった。その瞳には、親友を傷つけられたことへの静かな怒りが灯っている。 「奴の弾道計算は完璧だ。だが、俺の『速度』を読み切れるかな?」
黒蜜は弾丸が飛び交う中、窓から飛び出した。 ビルからビルへと跳躍し、重力を無視したような動きで黒岩の潜む屋上へと肉薄する。
「……来たか、黒蜜。お前だけは、ここで仕留めておくべきだと思っていたよ」 黒岩がライフルのボルトを引く。 四天王のスナイパー vs 組織の俊英・黒蜜。 夕闇の街を舞台に、組織の頂点を決める「共食い」が始まった。
一方、セーフハウスのベッドで、海沼の指先がピクリと動く。 次に目を開くのは、果たして誰なのか――。
(つづく)
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