テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
889
398
人は、思いの外簡単に死ぬ。
運命は、決まっている。
それなら、教えてくれればよかったのに。
暗闇に光が差し込んだ。
重いまぶたを無理やり開く。
この光の加減は…
「「やっべ遅刻じゃん!?」」
叫んだまでは良かったが、俺が今寝ている所はいつも寝坊するあの自室では無かった。
は?ここどこだよ。
ベットから飛び降りようとした。
「った!」
手首がチクリと痛んだ。感覚のした方へ目を向けると、針が刺さっていて、そこから管が伸びている。
なんで腕に点滴が…?
思考を巡らせていると、横から声が聞こえた。
「…涼…?」
この声は…親友の雷羨だ。
「起きた…!
良かった…。元気?…じゃないか…」
いつもと違い、なんだかオドオドしている。
「あのさ、これ、何?」
「…覚えて、ない…?」
いや、全く。何も。
「お前、倒れたんだよ、急に。」
「…は?」
全く記憶にない。思い当たる節もない。記憶喪失ってやつか…?いやでも昨日までの記憶はあるし…..
「…大丈夫?」
「あ、うん。」
「…でも、良かった。死ななくて。」
…え、俺死にそうだったの?
驚いていると、雷羨が急に立ち上がった。
「俺、医者呼んでくる」
声をかける暇もなく、雷羨は病室から出ていってしまった。
…暇だな。何が起きてるかも分からないし。
ふと、窓を見た。
紫色の何かが浮いている。
人だ。
…人?
…ヒト!?
3、4度見しても、やっぱり人だ。多分女子。
深い紫色のセーラー服に、髪もこれまた紫色。当たり前とでも言うように美しく宙に浮く姿は、見た目とは裏腹に天使を連想させた。
しかも、こちらを見ている。
え、幻覚?やっぱ俺死ぬの?
いや、流石にないだろ。
というか信じたくない。
俺は5度見目をした。
顔を上げると、窓のガラスを超えて
“人”が目と鼻の先にいた。
「ぅわぇ!?」
思わずすっごい変な声が出た。
人-多分女子-は俺の変な声に動じることなく、少し身を引いた。
無言だ。
….気まずい。何か喋ろう。
「…誰?」
無言。
最悪の一言だったかもしれない。
次回へ続く
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!