コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
初めて見た時、俺は本当 に人間なのかなと思った。生気がなくて、まるでからくり人形見たいな。儚くて、弱そうな、そんな人だった。
得体の知れない人外に襲われた時に出会った。美しい動きで、その人外の首を切った。少しも怖いとは思わなかった。ただ、美しいくて、麗しかった。
俺は鼻が聞くのに、あの人がいることも気付かなかった。
あの人は、あの人外の服を埋葬した。首を切られた人外は、チリも残らず消え去ってしまった。
不思議にも殺意の匂いもしなかった。ただ、悲しい匂いがした、そんな気がする。
俺は埋葬をしているあの人の背中を見ていた。ただ、一言も話さず、星明かりに照らされながら。
あの人は、埋葬が終わったのか、すくりと立ち上がった。俺はあの人に話しかけた。
「救っていただき、ありがとうございます。」
俺は一礼をし、感謝をした。
「礼など、要らぬ。私は、私のするべきことを成しただけだ。」
その人の声は、芯のそこまで響くような、低い声だった。だが、不思議と安心する声だった。俺は、また言葉を続ける
「いえ、あなたが居なければ私は今頃..、」
言葉が続けられなかった。とりあえず、名前だけでも聞いた。
「あの、お名前は」
「継国縁壱だ。」
「俺は竈門炭吉です。」
…
少しの沈黙の末、縁壱さんは言葉を続けた。
「..そうか。俺はもう行くことにする。気を付けるといい。襖は閉めることだ。」
そう言って、颯爽と森の中へと姿を消した。
また会いたかった。次会ったら、お茶でもお出ししよう。この恩を、忘れたくはなかった。