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さて、スズカから五分の遊ぶ時間をもらった。だが、時間がかかるお遊びはできない。今回与えられた五分で遊ぶのは彼女の使うスナイパーライフルの強さと彼女が戦姫大戦をする際のその思考。スズカの研究のサンプルにもなるしちょうどいいだろう。あとは私が何で攻撃するかだが最初と変わらずビットで弄ぶか?まぁ、私の持っている武装的にビットが一番火力がないからそれが一番弄ぶのにぴったりか。
「さて、それじゃあ私なりに遊んでみるか。」
そう一言ぽつりとつぶやいた後腰のスカート型のブースタ兼ビット格納庫から複数機自身の周りに飛ばして攻撃態勢に入る。
「第一試合を見てたから彼女がどこを好んで潜伏しているかはおおよそ予想はついてる。だが、相手もそれは読んでるだろう。となれば他の場所を探すのが定石だろうが、ここはあえて彼女が試合で使っていた狙撃ポイントを集中して狙う。」
展開したビットたちを操り前回使っていた狙撃ポイントを集中的に狙い撃つ。威力がそれほど高くはないがビルの柱を破壊するくらいの攻撃力はあるため当たった柱は崩れていきビルは倒壊していく。そして倒壊したことで起きる土煙でハナカを狙うのは困難になりつつ相手の隠れる場所は徐々に失われていく。
まずはビル群を破壊し定番の狙撃ポイントを潰していく。高台からの狙撃は得られる情報量が段違いだからな。で、そこを私が潰したら他のポイントを探すだろう。もしくはこうなることを先に読んで最初から他のポイントにいる可能性もある。ま、初撃を防いだ時は明らかな高所からの一撃だった。二撃目はまだ来てないが確実にどこかで狙っているだろう。で、その次に潜伏するであろう場所は私が破壊した瓦礫の下とかその辺だろう。むしろ、壊してもらった方が相手的には都合がよかったんだと思う。まぁ、私はそれ込みであえてビル群を倒壊させた。普段相手してる武器たちは近接やアサルトライフルなどの中距離武器ばかり。こういった遠距離攻撃にはまだそれほど対策らしい対策はさせてもらえてない。だからこそこうしてデータを取らせてもらう、そのチャンスが今与えられているのだから。
「さぁ、お次はどうするのかな?遊撃員アルルちゃん?」
「……目標捕捉。狙い撃つ…!」
ビットで辺りを警戒しているハルカの背後から実弾が襲い来る。
「なるほど後ろから撃ってくるか……」
放たれた弾丸に対して即座に浮かせていたビットで迎撃する。
「虚を突いて攻撃とは流石遊撃員姑息だねぇ?」
「……私にそれは誉め言葉。」
後ろを向いたその瞬間近くの瓦礫からアルルのコンバットナイフがハルカの頬を掠める。
「……っぶな!?」
即座に身を翻し左手に持つライトシールドで殴り距離を置く。
「この距離で反応できるとは、お前……このランクの戦姫じゃないな?」
「ランクは合ってるはずだよ?ただ表には顔を出せなかっただけだ。」
「……そう。それにしてもやっぱりこの距離を反応するのはとんでもない戦姫だよ。」
「それはお互い様じゃないか?さっきの攻撃のからくりが知りたいな?」
「……予想出来てるんだろ?」
「まぁね?ワイヤーを使ったトラップ。力強く引っ張ることで発射される仕組みだな。」
「……一発限りの初見殺しだ。それもこうして破られてしまっては初見殺しもクソのないがな。」
「アイデンティティであるスナイパーライフルを捨ててるってことは肉弾戦をご希望かな?」
「……元々こっちが本職だから。それに、あんたのその武装近距離には適してないでしょ?」
「ご名答。残念ながら『まだ』近距離でのビット操作は慣れてないからね。けども、私が近接を怠ってると思ってるのか?」
ライトシールドの背面からビームダガーを取り出し仕掛けに行く。
「……同じ土俵で私に勝てるとでも?」
確かにナイフ術は相手の方が優れている。が、こちらにはシールドもあり攻撃が通りにくい。だからこのシールドを嫌うだろうが正直私もこれが邪魔だ。シールドとは身を守れるがそれは同時に視界をふさぐことになる。目から得られる情報は人としてはかなり大事で八割以上は視界からの情報に頼っているからだ。それだけでなく相手は近接を得意としているから盾持ちの対策もしているだろう。こうなるとデメリットを背負ってるのは私だけになる。ならば、デメリットになる盾を捨てて相手のフィールドに立った方が幾分かマシ……。
「勝てると思ってるからこうしてこの場に立ってるんだけど私はね?」
左手のライトシールドを外し相手に向かって投げる。投げたシールドを追うようにしてハルカもナイフを構えて近づく。
「……この程度で私がやられるとでも?」
「思ってないが僅かな時間でも作れるなら私の勝ちだよ……。」
弾いた盾を死角にしてナイフを彼女の頬を掠める。こちらも間一髪で避けるも無理な体勢で避けたため次点の攻撃に備えられず苦肉の策でブースターによる無理やりな距離の置き方をする。
「……そう簡単には私はやられない。」
「そうだろうね。そうやって無理やりにでも避けるよね……。それが織り込み済みでの策だったらどうなるんだろね?」
「なに!?」
距離を空けたことによって彼女の使うビットの有効範囲に入っており機動力確保のためのスカート部分のブースターを射抜かれ満足に距離を置けないまま地面に転がる。
「がはっ……」
「ダメだよ油断って言うのをしたらね?」
「……そんなつもりはなかったのにこうしてやられるなんて。」
「スカートブースターは壊れた。これで満足に動けない。私の勝ちだよ。」
「ナイフで戦う意志を見せたのはブラフか?」
「そりゃもちろん。相手の土俵に嬉々として乗っかるのはカナって戦姫だけだ。基本はみんな自分の得意を押し付けるもんだからね。」
「……これで私が諦めるとでも?」
「まったく思ってないよ私は。なんせこの大会新人戦とはいえ腐っても戦姫だろ?戦うことに自分の価値を見出してるやつがこの場に立ってるんだ。諦めの悪い女どもがいるのは分かってるさ。現に私も諦めが悪いからね。」
「なら、この攻撃は予想できるかな?」
腰に当てたグレネードを取り出しあろうことか自分の足元で爆破させその勢いを使い一気に距離を詰めてハナカの腹部にナイフを突きさす。
「!?」
「勝利の為なら私は自壊も気にしない。システム的に『勝ち』と言わせればいいんだからね。」
「……イカれてるなぁ戦姫大戦に人生かけてるやつって。」
「……イカれてて結構!そうでもしなきゃ上には上がれないし、有名どころの人も会社も見てくれないからね。」
「必死すぎ……就活生かよ。けどもまぁ、そういう泥臭いの私にはなかった考え方だ。敬意を表して私もその自壊を問わない攻撃で君に終焉をプレゼントしよう。」
その瞬間辺りを飛んでいたビットがハルカもろともアルルを射抜いていく。一発や二発ではなく何発も何発も撃ち込んでいきついにはアルルが力なく倒れるまで撃ち込んだ。
「……はぁ、スズカ。久しぶりにダメージ受けたけどいってぇのな攻撃って。」
「う、うん!そそそそ、それよりも大丈夫なの体!?」
「逆に問うけど大丈夫に見えるかな?」
「ううん!全く見えないから聞いてるんだけど!?」
こうして第二準決勝はハナカの勝利で幕を閉じ、三十分の休憩の後決勝である、カナVSハナカの試合が始まることとなる。