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やはりこの大会のラスボスはスズカになるよなぁ。今の試合見てたらカナが通用するか怪しくなってきたな……。基本は変わらず遠距離で攻撃するらしいが決して近接ができないわけでもなさそうだし、何なら近接が悪手になりえるのがやばいな。まさか自壊覚悟の攻撃に対して自身も自壊覚悟の攻撃で対処するなんて思わないだろ……。正直狂ってるんじゃねぇかと錯覚しちまうよ。
「さて、インターバルの三十分は何しようかね?」
「何するって対策するしかないだろうに……。」
「けども対策らしい対策は浮かんでこねぇよ私?」
「距離を空ければビットで踊らされるし、近づいても自壊上等の攻撃をしてくる可能性がある。これどうやって攻略するよ?」
「ここにきてスピードに力を入れたのが裏目に出てきてるな。短い時間でとにかく近づいてぼっこぼこにするのが最初のプランだったのにまさかの大会側がルールを変更して時間制限をなくしたことによってこの装備が燃費の悪い紙装甲のリスキー装備に早変わりしちまってるからな。」
「それって逆に言えば装甲があればなんとかなったってこと?」
「そうだな。実際彼女のビットは攻撃力はそこまでなさそうだ。事実ビル破壊をするのに柱を攻撃していた。」
「初戦ではビル真っ二つにしてたけど?」
「あれはよく見てれば分かったことなんだけどビット同士を合わせて足りない出力を補ってるんだ。ビルの倒壊に対して必要な個数は最低二つ。それも恐らくスズカさんの予知、または高度な計算能力によってなせる技だろう。」
「でもさ火力が無いから装甲あればなんとかなるっていう理屈は分かったんだけど今度はさそのスズカっていう奴が鬼門にならない?だって今の理論だと彼女のサポートが合わさったらマジで死角なくなるよ?」
「確かにそう感じるかもしれないけど付け入る隙はある。」
「それは?」
「スズカさんの先読みの力は制限があるんだ。それはさっきの試合で確認済み。あの試合は一回目で見せたビット操作をしないで戦っていた。自壊戦法を試みたのがその証拠だよ。」
「つまりこっちも持久戦に持ち込むってことか?」
「そうだ。彼女のその先読みの力はきっと彼女自身に負荷がかかる。それをなくせばなんとかなる。」
「どーかな?近づけば戦姫自身の考えで自壊をするほどの覚悟の持ち主でその前段階が先読みによる近づかせない戦法。付け入る隙が無いように見える。これをどうにかして抜けるならそれこそ禁止してる『覚醒』を使うしかないんだよ?」
「いいやそれでいいんだよ。」
「はぁ?」
「遠距離特化が近距離を嫌うのはなんでか分かるか?」
「なんだよいきなり?」
「まぁいいから答えろ。」
「そりゃ距離ないと本領発揮できないから近づかれたらそれこそ撃つことは基本出来ないだろう。」
「そう。近づかれたら武器として使えないからだよね?でも彼女はそれでも自壊覚悟で攻撃する術を持っている、それがビット攻撃だ。あれは苦肉の策だろうがどうしようもなくなったら彼女はそれを迷い無くしてくる。それを利用する。」
「……まさか?」
「そう。自ら滅んでもらおう。決して正統とは言えない戦い方だが、これは大会。魅せるのも大事だが選手が奮闘するのもまた名物なんだ。だから、こっちは勝利のためにやってやろう。」
同時刻、別の控室にてスズカとハナカも二人について話し合っていた。
「おそらく決勝まで残ってるあれがミカゲさんの話していた例の人物で間違いないね。」
「ね、ねぇ今更だけど本当にこのお仕事私らじゃないとだめなのかな?」
「さぁな?」
「ふえぇぇぇ……。」
「けども、これはミカゲさんが直に持ってきた依頼だ。それだけ私らは信頼というか期待されてるんだ。勝ち負けは正直求めてないらしいからな。ほしいのはあのカナという戦姫の情報だ。開発部門であるスズカならそのカナの強さを調べられると思って推薦してくれたんだろう。」
「でもそれでもやっぱり重荷だよ私にはぁぁ……。」
「はぁ、ここまで来た以上逃げることはもうできないからあとはもうなるようになるさ。それにこれで最後ならあんたの先読みも存分に使えるでしょ?負けることはないし、仮にそれが使えなくてもあんたがチューニングしてくれたこの装備なら私は負けない。だから自信持ちなよスズカ。」
「うぅ……。」
こうして彼女を励ますのもいつもの光景ではある。けども、いつもと違うのはこれが試作品の武器のテストではなくちゃんとした戦姫大戦ということ。彼女の異常なまでの先読みの力、これは何百何千と色んな武器を触ってきた彼女の経験とその類まれない知能から生まれた副産物。ミカゲさんが以前誰かと話していた彼女がクビにされかけたという話を私は偶然聞いてしまった。その理由が恐らくこの知能と純粋な心だろう。事実ミカゲさんに恩があるから普通だったら苦行ともいえる戦姫の兵器開発及びそのテストプレイヤーに自ら志願するなんてことはしないだろう。けども私はそんな一途な彼女だから付いてきた。故に彼女に初陣くらいは勝ち星を上げたくなるのが戦姫というものではないかと私は思う。だからなんとしてでも勝ちたい。勝つことで彼女のマイナス思考に陥る癖を治せるかもしれないから。それさえなければ彼女は最強の戦姫プレイヤーになれる。
「…そ、そろそろ時間だね。」
「心の準備は出来た?」
「全く出来てないけど行かないとダメなんでしょ?」
「そりゃね?」
「なら行くよ…。」