テラーノベル
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「早見!!!」
向かいの歩道には俺の苗字を叫んだ奴がいた。
「なんで、お前!」
「ちょっと待って、今そっち行くから!」
そいつは車道を走ってこっちに来ようとする。
「お前、危なッ」
ドガッ
そいつは勢いよく走る車に轢かれた。
「おい!!」
そいつの血が道路いっぱいに広がっている。
そして、そいつは俺の顔を見て微笑んでいた。
ピピピッピピピッ
「はぁ゛はぁ゛」
俺は目を覚ました。
「なんだよ今の、クソッ、変な夢見た、」
俺は早見来未
高2の17歳
俺はヤンキーだ。
別に何か変わっている訳でもない、ただのヤンキー。
喧嘩だって売られたら買うし、気に入らない奴がいたらこっちから売りに行くこともある。
そんな俺は虫のように扱われることが多くある。
怖がっているのか、嫌いなのかはよく分からないが、
もちろん友達も居ないし、
俺の名前を好んで呼ぶやつなんて誰も居ない。
だから、俺は不思議に思う。
今日の夢では何者かに名前を呼ばれていた。
夢だからで終わらせればいいものの、
とてもリアルな夢だったから、
何故か忘れられない、
現在時刻7時30分
二度寝をしたいところだが、する気にもなれず俺は学校の準備を始めた。
「ふぅ…行くか、」
制服を着て、学校の準備も整った。
俺の家はリビングを通ってでしか、玄関に行けない。
リビングに行きたくない気持ちを抑え込み、俺は部屋を出た。
俺はリビングの扉を開いた。
静かにリビングを通り抜けようとする。
「おい」
「あ゛?」
親父が話しかけてきた。
高圧的な態度に腹が立ち、俺も同じような態度をとる。
「なんだ、その態度は」
親父はフラフラの足で俺に近づいて来た。
親父からは酒の匂いが酷くする。
俺はその匂いにうんざりしながら返事をする。
「別に」
そうして、俺は玄関に向かおうとした。
その時、鞄の紐を強く引っ張られる。
「なんだよ」
「お前、まだ行ってんのか?」
(ああ、まただ)
親父は俺が学校に言っていることを何故か許していない。
頭が悪いやら、向いてないやら、何かと理由をつけては、学校に行かせないように仕向ける。
そして、学校に行かなかったら家事を押し付け、酒の買い出しを頼まれる。
「お前には関係ねぇだろ?」
「あ゛?その言い方はなんだッ」
(めんどくさい、)
親父はこのモードになると何を言っても意味が無い。
学校を休むか、そう思った時、今日見た夢を思い出した。
俺は親父の手を振りほどき無言で玄関に向かった。
「おい゛!話はまだ終わっていないッ!」
親父が怒っているのは無視しながら、靴を履く。
玄関の扉を開け、外に出て、思いっきり扉を閉めた。
「はぁ゛、あいつ゛」
俺は親父が嫌いだ。
数年前、母さんは病死した。
母さんが生きていた頃の親父は好きだった。
何事も母さんと俺を巻き込んで、面白くて、
でも、母さんが死んでから親父は変わっていった。
家事もやらなくなり、酒に煙草に溺れ今じゃあんなのだ。
それでも、家を出て行かない俺はきっと、まだ希望を持っているのだろう。
もしかしたら、親父が戻るかもと、
そう思っている俺にもムカつく。
そう考えながら歩いていたら、同じ高校生くらいの声が聞こえてきた。
楽しそうな声、
俺はその声に、話しているやつに、会話に、嫉妬する。
誰か、俺も誰かと他愛もない会話がしたい。
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