つぼ浦が花束をくれたお礼として自分もなにか贈りたいと思い、早5日。青井は悩みに悩んでいた。
「俺センス無さすぎるだろ…ちょっと休憩するか…」
今日こそ絶対決める!と意気込みつぼ浦には1日寝ると嘘をつき街に繰り出しているが、一向に決まらない。ベンチに座ってブツブツ悩む。
「つぼ浦が好きな物、喜ぶ物…バット、グレ、ロケラン、E5、奇肉…ダメだ…」
「あれっアオセン!?何してんすか?」
「あっつぼ浦!?…あーいやぁちょっと気が変わって、ぶらついててさ。」
「そーなんすか、言ってくれれば俺も休んだのに。今日はずっとチルすか?」
「あーえっと、そうかなー買い物とかしてるかな。」
「じゃあ俺も退勤すっかなー今日あんまり事件起きねぇし。」
「えっ!?いやもうちょっと働きなよ、市民の為に街守ってくれ。街落ち着く時間になったらまた会おう。」
「そーすか?まぁアオセンがそう言うなら。」
「そうそう、頑張ってくれ頼れる街のおまわりさん!また後でな!」
バレなくて良かったと胸を撫で下ろし、プレゼント探しを再開した。しかし街の隅々まで巡ってもピンと来る物が無い。
「はぁーマジでどうするよコレ…あと行ってないのはこの店だけか。」
小さな時計店を見て回る。ショーケースを眺めているとある腕時計に目を引かれた。
「うわこれめっちゃ良くない?いや俺の感想かこれ、つぼ浦に似合うかな…いやでもガチで良いな…2色あるのか。」
色違いで2つの腕時計を買うと急いでつぼ浦に電話した。
「もしもーし、つぼ浦今暇?」
「ちょうど退勤したとこっす。」
「おっナイスタイミング!今からお前ん家行くから待ってて。」
「俺ん家すか?ぅーす。」
道交法もお構い無しで超特急で向かう。着いたらつぼ浦と丁度鉢合わせた。
「おおっまたナイスタイミング。お疲れ。」
「なんで今日は俺ん家なんすか? 」
「まぁいーからいーから、入れてよ。」
「はいつぼ浦これ、この前の花束のお返し。」
「お返し?別にいらないすよ。アオセンが喜んでくれたらもう満足だし。」
「またそういう事顔色変えずに言って…花束といい、お前あんなに病んでたのに自分では気付いてないの?本当に無自覚?」
「え?なにがっすか?」
「…まぁいいや、とにかく開けてみて。気に入ると良いんだけど。 」
「ありがとうこざいます…うわなんだこれめちゃくちゃカッコ良い!こんなの良いのかよ!?アオセンありがとう!」
箱を開けた瞬間子どものようにとても無邪気に、目をキラキラ輝かせて喜ぶ。この素直さ、まっすぐさが好きだなぁと改めて感じた。
「気に入った?良かった、実はこれ俺とお揃い。」
既に着けている手首を見せると更に興奮して声が大きくなった。
「マジかよ!お揃いなんてアオセンそれはやりすぎだぜ!!俺たちめちゃくちゃカッコ良くなっちまう!」
「なんだよそれwほらお前も着けてみろよ、貸して。」
「サンキュ!…おおぉ、マジでかっこ良い。着けるの勿体ないぐらいだ。傷付かないようにしねぇと。」
「腕時計なんだから着けてもらわないと寂しいわwじゃあ2人で出かける時に着けるようにするか。」
「そうだな、そうしよう!アオセンマジでありがとう!」
その日つぼ浦は寝るまでずっと時計を着けたままで過ごした。
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