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15cmの身長差

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15cmの身長差

17 - 第17話

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2025年07月13日

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キスの余韻がまだ唇に残る。初兎はうつむき、いふの胸元にそっと額を押しあてた。


「……もう、だめ。心臓おかしくなる」


「……俺も同じ。けど、まだ離したくない」


いふの手が、優しく背中を撫でる。

指先は焦らすように、でも確かに“触れている”と感じさせる温度。


「……今日、帰らなくていい?」


「……え?」


「このまま、ここで朝を迎えたい。

初兎と一緒に、ちゃんと……ゆっくり、全部確かめたい」


静かな声。

けれど、決して軽くない。

本気の温度が伝わってくる。


初兎はしばらく黙ってから、小さく頷いた。


「……僕も、帰りたくない」


それが、合図だった。


いふはゆっくりと、初兎の手を取って立ち上がる。

手を引かれ、隣の個室へ。


部屋に入ると、ドアが静かに閉まり、

世界にはもう――ふたりだけ。


「……緊張してる?」


「……ちょっとだけ」


「大丈夫。俺、急がないから。

ちゃんと、お前の全部を大切にしたいから」


そう言って、いふはそっと初兎の頬を撫でる。

そして、額に、瞼に、頬に――

何度も、ゆっくりとキスを落とす。


「……お前のこと、誰よりも愛してる。

全部、俺に預けてくれる?」


初兎は小さく息を吸い、いふの胸に手を置いたまま、目を閉じた。


「……うん。まろちゃんだから、全部預けられる」


次のキスは、深くて、長くて、

そしてもう戻らないとわかるくらい、熱かった。


服を脱がせる手つきも、肌をなぞる指も、

全部が丁寧で――優しく、でも確かに欲を含んでいる。


「……好き。初兎の全部が、たまらなく愛しい」


夜はゆっくりと深くなっていく。


触れるたび、重ねるたびに、ふたりは確かにひとつになっていった。


その夜、いふは一度も“愛してる”という言葉を途切れさせなかった。

そして初兎も、一度も拒まず、それを受け止めて――

すべてを、いふに委ねた。

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