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そこから喧々諤々(けんけんがくがく)、ペトラまで倉庫内に戻って来て様々な意見が活発に交わされたのであるが……
『んじゃあさっ! 一旦分解してさっ、それをアタシが穴ぐらの中で組み立てなおすわよ! そうして滴(しずく)から水を溜めてレイブお兄ちゃんに渡せば良いんじゃないの? ほら、解決よ!』
ペトラとは思えぬ暴言であった。
そもそも分解してしまった水桶を簡単に直せると思っている辺りが大間違いだ、桶職人舐めんな、ゴラッ! って話である。
更にレイブがペトラの案の穴をつく。
「えっ? 奥で組み立て直しちゃったらこっちに通らないじゃないか? どうやってこっちに持ってくるの? まさか…… もう一回バラすとかじゃあないよね? 水は? 僕、水が欲しいんだよ? 何、何なの? 桶を如何(いか)にして受け渡すかっ! 的な事言ってるのぉ! 水だよ水、水をおくれよぉ!」
『う、う~ん……』
口ごもるペトラをそのままに、しゅばっ、そんな擬音が聞こえて来そうな位に素早い動きを見せたのはギレスラであった。
ほんの少しだけの時を経て、通路から顔を出したギレスラは嬉しそうにはにかみながら自身を見つめるレイブに語り掛ける。
『レイブ! ホラ、オミズ、ダヨ! ノンデ、ウルオッテ! ア? アレレ? コボレチャッタカ、ァ……』
ギレスラなりに、この事態を何とかしようとしたのだろう。
滴(しずく)が滴り落ちている水場に向かい、自分の翼を合わせてたっぷりの水をレイブに渡そうと運んで来たらしい……
だが途中には体を伏せざるを得ない、狭苦しい通路が存在するのだ。
躓(つまづ)いたり、転んだりしながら辿り着いた倉庫へは、溜め込んだ筈の水を届ける事は適わなかったのである。
僅(わず)かに湿り気を残した翼を美味しそうに舐め上げながらレイブが言う。
「ありがとうギレスラ、お前の翼は濡れそぼっていてとっても美味しいよ、愛を感じるよ、うふふふ」
『レイブ…… ハ、ハズカシイ、ヨ……』 ぽっ
※ BL要素は皆無ですのでご了承下さい
まあ、普通に翼に付いていた水滴を舐め取って人心地つけたレイブは大きな桶二つをギレスラから受け取って笑顔で告げる。
「んじゃあ、二つ先の沢の取水地まで行って来るからさ、その間に二人は穴倉の奥を整理整頓しておいてね、頼むよ、良しっ! 行って来ます!」
ピューッ! スタコラサッサーッ!
取り残された二人はそっれっぽい言葉を交わす。
『えっと、んじゃギレスラお兄ちゃん、粉薬から貰って良いかな?』
『ガッ? モ、モチロン、ハイ、コレェ』
『うん、ありがとう……』
それから程無くして戻ってきたレイブは生来の用心深さからだろうか、水場と岩窟を四往復して桶のみならず巨大なタライをも清廉な水で満たしたのである。