テラーノベル
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ホテルのスイートルームでシャンパングラスを傾けながら、俺はスマホの画面に目を落とした。ネット上では、さっきのゲリラ生配信の話題で持ちきりだ。5ちゃんねるのVIPスレやX(旧Twitter)では、「物理法則の崩壊」「種明かし不可能」といった言葉がトレンドを埋め尽くしている。
中には、俺が以前通っていた高校で起きた「1年B組・集団失踪事件」と俺のイリュージョンを結びつけて、半ばネタ半分、半ば本気で「異世界に飛ばしたんじゃないか」と考察しているスレ民までいた。
「察しがいいやつもいるもんだな」
俺は可笑しそうに鼻で笑い、画面をタップして『異世界観測アプリ』に切り替えた。
画面の向こう——異世界の夜は、地球以上に暗く、冷たい。
白石の『絶対防御(イージス)』が放つ黄金の光だけが、暗闇の中で小さな防衛拠点を形作っている。
「近衛……! 近衛頼む! 頼むから配信見てるなら返事してくれよ!!」
画面の中では、神条蓮が泥だらけの顔でスマホ(異世界に持ち込んだ端末)を握りしめ、半狂乱になって画面を叩いていた。
どうやら向こうでも俺のイリュージョン配信の通知が届き、動画を観ていたらしい。
「俺たちがこんな地獄で化け物に怯えて、泥水すすって生きてるのに……なんでお前だけが地球で大金持ちになって、綺麗な女と豪遊してんだよ……! おかしいだろそんなの!!」
神条の恨み言に、後ろで膝を抱えていた姫宮莉ノも泣き叫ぶ。
「そうよ! 司くん、私のこと好きだったんでしょ!? だったら助けに来なさいよ! こんな岩場で寝るなんて耐えられない!!」
二人の醜い叫び声が、スマホのスピーカー越しに虚しく響く。
『あらあら、まだ吠えていますのね。……司様、あのような醜悪な羽虫の鳴き声、不快でしたら音声を切りましょうか?』
ヘカーティアが、シルクのナイトウェア姿で俺の背後に忍び寄り、愛おしそうに首に腕を回してきた。
その豊かな胸の柔らかさと、甘い香りが背中に伝わってくる。
「いや、いいんだヘカーティア。こういう敗北者の負け惜しみを聞きながら飲む酒が、一番美味いんだからな」
俺はヘカーティアの細い腰を引き寄せ、膝の上に抱き上げた。
「ひやっ……! つ、司様……?」
耳まで真っ赤にする可憐な女神の頭を撫でながら、俺は異世界のグループチャットに、冷ややかなメッセージを一言送信した。
**近衛 司:** 『おかしいのはお前たちの頭だろ。俺を追い詰めた報いを受けてるだけだ。文句があるなら、自分の力でその異世界を攻略してみろよ』
送信した瞬間、画面の向こうで神条が「ふざけるなあああっ!」とスマホを地面に叩きつけた。
だが、その程度で『森羅万象』の力が付与されたスマホが壊れるはずもない。画面には、激昂する神条の顔がドアップで映し出されている。
その時、白石と佐藤が神条の前に立ちはだかった。
「神条くん、いい加減にして! 近衛くんに八つ当たりしたって何も変わらないわ!」
「白石さんの言う通りだ。僕たちは近衛くんに生かされてるんだ。文句を言う暇があるなら、明日以降の食料の確保を考えろ!」
覚醒した二人の鋭い眼光と威圧感に押し負け、神条と姫宮は「くそっ……!」と毒づきながら身を小さく縮こまらせた。
罪を認め、泥をすすりながらも強くなっていく二人。
現実を受け入れられず、過去の栄光と他力本願にすがりつく主犯格たち。
「……ふっ、いい気味だ」
#シェイプシフター
柊遊馬
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フユめん
190
パラレル・ゲーマー
438
パラレル・ゲーマー
2,639
俺はスマホを伏せ、テーブルの上に置いた。
地球での俺は、世界を熱狂させる超絶マジシャン。
裏では、異世界に落ちたクラスメイトたちの生死を握る「絶対の神」。
「さあヘカーティア、明日の公演の『演出』について、ベッドの中でゆっくり練るとしようか」
『はい……っ! 司様……どこまでも、お供いたしますわ』
うっとりと目を潤ませるヘカーティアを横抱きにし、俺は豪奢なベッドルームへと足を向けた。
俺たちの新時代は、まだ始まったばかりだ。
コメント
1件
いやあ、読んでてめっちゃスカッとしたわ! 神条と姫宮が泥水すすって泣き叫んでるのと、主人公がヘカーティアとシャンパン飲みながら見下してる対比がエグいw 「敗北者の負け惜しみを聞きながら飲む酒が一番美味い」って台詞、痺れるわ。白石と佐藤が覚醒してきてるのも良いスパイスだし、次回が待ち遠しい🔥