テラーノベル
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「今日は遅くなる?」
そう送ると、
すぐに返事が来た。
「うん。仕事」
「多分、夜になる」
短い。
それ以上は、何も書かれていない。
「わかった」
それだけ返して、
スマホを伏せた。
玄関の鍵を確認する。
ちゃんとかかっている。
いつものこと。
安心するための、癖。
シャワーを浴びて、
髪を乾かして、
部屋の電気を落とす。
夜の部屋は静かだった。
聞こえるのは、
エアコンの音と、
自分の呼吸だけ。
……カチャ。
一瞬、
何の音かわからなかった。
空気が、
少しだけ揺れた気がして、
耳を澄ます。
……カチャ。
今度は、
はっきり聞こえた。
玄関の方を見る。
暗くて、
何も見えない。
スマホが震えた。
「今から帰るね」
「起きてたら、顔見たいな」
画面の文字を、
理解するのに時間がかかった。
仕事中じゃなかったの?
そう思ったけれど、
指は動かなかった。
そのまま、
玄関の方を見る。
ドアの向こうで、鍵が回った。
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