🖤💚　夫婦円満の日

阿部ちゃんの唇が動く。

💚「悪いことしたら、ちゃんと謝らなきゃ」

🖤「ごめんなさい」

即答だ。こんなの即答だ。

💚「ん、さすがめめ。円満ってこういう事だよね」

腕が離れて、笑顔で頭を撫でられて、今度は俺の魔法が解けた。

でも間近であんな妖艶な顔をされて、まだ頭は回っていない。

阿部ちゃんはやっぱり年上だった。本気を出されたら全く太刀打ちできない。しかもあれを恐らく無意識にやっている。

💚「どうしたの？そろそろ出るんじゃないの」

🖤「ハッ」

立ち尽くしていたようだ。

阿部ちゃんが今日の予定を確認する横顔が目に入る。

🖤「…阿部ちゃん」

💚「うん？」

🖤「30分、時間くれない？」

💚「え」

返事を待たずにソファに押し倒した。

💚「めめ！ダメだよ、遅刻する！」

🖤「まぁまぁ、円満円満」

💚「違うぅ！」

結局、阿部ちゃんは間に合ったようだけど俺はしっかり遅刻した。

メンバーとの撮影だったから『夫婦円満の日だったんで』と堂々と言い訳して普通に叱られた。

それでも帰ってから『遅刻して岩本くんに怒られた…』としょげて見せると、朝あんな事をしたにも関わらず阿部ちゃんは

💚「今日は夫婦円満の日だもんね」

と膝枕で甘やかしてくれた。

阿部ちゃん曰く、膝で溶けている俺は夫婦というより野生を忘れた大型犬みたいだったらしい。

終