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眠り姫シンドロームの調査に特務調査局が向かうという話を持って来たのは、衣吹だった。警察になりすまして内部に入り込んで調査をしていた時に、特務調査局へ依頼をしたという話を聞いたのだという。
その際に、眠り姫シンドロームの概要まで聞き出したことで、久世は茉奈の空間錯位で夢幻ノ杜に入ることに成功した。
夏音と出会ったのは、宮舘が夢幻ノ杜に入る前日のことだった。
「あれ? ボクが呼んでないのに夢幻ノ杜に人がいる! どうして? すっごいビックリしたぁ!」
「特別な力を使ってね。これは秘密だ」
「そうなんだね。じゃあ、秘密にする」
「いい子だ。この後、きっともう一人、誘音で来るだろう? その時にまた、面白いことが起こるよ」
「面白いこと?」
「ああ。ここはとても興味深いね。見て回っていてもいいかな?」
「もちろんだよ! 夢幻ノ杜を好きになってくれると嬉しいな。街の子も、お屋敷の子も、みんないい子だから、きっとお友達になってくれるよ」
それから暫くして、宮舘が夢幻ノ杜に来て、夏音と共に屋敷に向かったのを見た。更にその後、他のSnowManのメンバーも来ていて、街を見て回った後に屋敷に入っていく姿も見ていた。
そして、一人で出てきた夏音が庭にいるところに声をかけた。
「夏音」
「あ、お兄さん! 言ってたとおりだったね。他にもいーっぱい来てくれたよ!」
「そうだろう。ああ、でも私はそろそろ行かなくてはならなくてね。その前に、一つ頼みたいことがあるのだが」
「なあに?」
「人形を、もらえないだろうか。私の大切な人のために。そのマロウと、あそこにいるフェデレートの二体を」
「あ……マロウは、大事なんだけど……お兄さん、大切にしてくれる?」
「ああ。とても大切にする」
「そっか……なら、いいよ。他の子たちもいるし。マロウ、フェデレート、いい?」
〔夏音が言うなら、分かった〕
〔了解した〕
「二人もいいって」
「感謝するよ」
その後、現実世界へと戻った久世は、一度行ったことのある場所と通信を繋げられる異能を持つ者を使って、部屋から夢幻ノ杜の様子を観察していた。あまり近づきすぎると、気付かれる可能性が高くなるから。
それは中継の映像を見ているようだった。
人形たちが攻撃を仕掛けるのは、久世にとっては想定済みだった。最も思い入れがあるであろうダフネに、あの九人が何か夢幻ノ杜に対して害を成そうとしていると吹き込んだのは、他でもない久世なのだから。
だからこそ、ダフネはSnowManの監視をし、その行動を見、阿部から夏音へ語られた言葉を聞いて、夢幻ノ杜がなくなるかもしれないという可能性にまで至っていたのだから。
久世の思惑は成功した。
多種多様な異能を扱う街の人形たち。厄介な異能が多いことも、マロウを連れて歩く中で知った。それらを対処するには、既存の異能だけでは難しいということも。案の定、阿部が使った未知の異能には目を瞠ったのだから。
そこで第三の異能を確認できたのは大きかった。
けれど、夢幻ノ杜の崩壊と、阿部の飽和暴走は予期していないものでもあった。ダフネが動きを止め、SnowManの面々が次々に消えていく。夢幻ノ杜の崩壊によって、映像はすでに乱れていた。
それでも、クイーンと呼ばれた人形がCLOSEという封印の異能を持っていることは突き止められた。映像の角度で、クイーンがどのように封印を施したのかは不明だったけれど。そしてその直後に、映像は途切れてしまった。
「……ようやく見つけた。第三の異能どころではない。無数の異能を使っていた。恐らくは、電脳と呼ばれる力。どのように扱っていたのかは見えなかったが、確認はできた。だが、飽和暴走を止める為に封印、か……厄介だが、CLOSEという名の封印であることが分かればそれで良い。消失や消滅ではなく、封じられただけならば対処できるだろう。だが、CLOSEの調査を知られれば、対策される可能性がある。では、そちらに目を向けさせなければ良い」
机に広げている資料の中から、一つを見つめる。
「命冠の環。小さな教団だが、その方が何かと都合が良い。場所の提供と、命の霊薬を使えば誘い出せるだろう。教祖の異能も使えそうだ。特務調査局の面々には、そちらの調査に従事してもらおう」
その後、雨霧を呼び出した久世は計画を伝え、雨霧が動き出す。
机の上には、マロウとフェデレートが並んで座っていた。
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