このお話は直接的な描写はないので、R15くらいだと思います。
苦手な方は自衛お願いします
「あ、こんにちは、司」
オレを見て、ふわりと笑う彼女。その混じり気のない、まっすぐな笑顔はいつ見ても可愛い。
「ああ!宵崎が外に出るとは珍しいな!」
「そうかな…?瑞希たちに、たまには外に出たほうがいいって言われて」
だから外にいたのか。奏はやっぱり短パンにジャージか…
「宵崎…この時期にその格好は寒いんじゃないか?」
「うん…ちゃんと着替えてくればよかった…」
「ならばこれをやろう!!」
「わっ…!」
今は9月。短パンにジャージなんて薄着では寒すぎる。そう思い、奏に自分のつけていたマフラーを巻く。
「司のマフラー…?」
「そんな薄着だと風邪をひいてしまうぞ!!つけていくといい!!」
「いや、悪いし…」
そう言って奏はマフラーを外そうとする。
「いいんだ!むしろ付けてってくれ!!オレが心配だからな!!!」
「わ、かった。」
そのままだと見ているだけで寒いしな。なにより、まわりへの牽制になる。
「ところで今は何をしていたんだ?」「えっと、マウスが壊れちゃったから買いに来てて、今はもう帰るところだよ。司は?」
「オレか?オレは練習の帰りだな!」
「練習…?あ、ショーをやってるんだもんね。この前のショー、かっこよかったよ。」
!!かっこ…よかっただと…?!う、嬉しい…!なんだこの天使は!!
「は、はーっはっはっは!!そうだろうそうだろう!流石はオレ!」
「うん、本当にすごかった。とくに天に向かって叫ぶ場面。大きな声を出しながらあんな繊細な心情を表現するのってそうとう練習したんだなって思った。」
細かいところまでよく見てるな、奏。可愛い。…これ、他のヤツにも言っているのか…?
「宵崎。こんな時間だし、送っていこう」
「え、いいよ、」
「だがもう暗くなってきている。そんななか女性を1人で帰すわけにはいかない!」
スターたるもの、そこらへんの気遣いは欠かせんしな!!!
「そっか、ありがとう、司」
「お安い御用だ!!!」それに、奏の生足を他のやつらに見せるわけにはいかないし…な。気づいているのか、奏は。さっきから他の男どもが奏のことを凝視していることに。いや、きっと気づいていないんだろう。作曲に命をかけていると言っても過言ではない奏のことだ。そういうことにも疎いだろう。
「それでね、司」
「ああ、」
まあ、今は奏との時間を大切にしなければな。考えるのは後だ。オレは奏との会話に夢中になっていった。
「はぁ…」
奏は、どこまで無自覚なのだろう。俺は自分の部屋でひとり、考えていた。奏はあんな可愛い顔で、あれだけ他人を、しかも異性を褒めれば誰でも恋をするだろう。ほかのやつにもやっていそうだ。
一体どれだけの奴らが奏に落とされてきたのか……あの顔を、あの笑顔を、他のやつにもするのだと考えると腑が煮え繰り返りそうになる。嫉妬で狂ってどうにかなってしまいそうだ。いっそのこと、奏を閉じ込めてしまいたい。閉じ込めて、オレ以外の目に触れさせないようにして、オレだけしか見れなくしてしまいたい。どろどろに甘やかして、食べてしまいたい。笑った奏も赤く染まった奏も泣いている奏も全てオレのものにしてしまいたい。
…ああ、実現して仕舞えばいいじゃないか。もともと、無自覚とはいえオレを惚れさせたのは奏だ。奏もオレの色に染め上げて仕舞えばいい。オレがこうなったのも奏のせい…だからな?
○*×☆※*☆**
カチカチ、カタカタカタ部屋にマウスのクリック音とキーボードを弾く音が響く。ヘッドフォンから流れる音に神経を研ぎ澄まし、よりよく仕上げていく。ピンポーン不意に、チャイムがなる。
「だれだろう…?」
今日は望月さんが来る日ではなかったはずだ。宅配便も頼んでないし…だれだろう?
「はーい」
ガチャ。誰が来たのか確認することもなくドアを開ける。
「あれ、司?どうしたの?」
そこにいたのは司だった。手には紙袋を持っている。
「ああ、知り合いから茶葉をもらってな。穂波から宵崎もこの紅茶が好きだと聞いてお裾分けだ!」
「わぁ、こんなにたくさん…ありがとう、でもこんなにもらっていいの?」
「もともと貰い物だしな!気にするな!」
「うれしいな。司も飲んでいく?」
「!いいのか?」
子供みたいにパッと顔が明るくなる。
「うん、茶葉くれたの司だし。」
「ならお邪魔する!」
「うん。上がって」
司に家に上がってもらい、リビングに案内する。
「そういえば宵崎はお茶を淹れられるのか?」
「あ、あまり得意じゃないけど…」「そうか…?なら手伝おう!」
「ありがとう、ごめんね、お客さんなのに…」
「急に来たのはオレなんだから遠慮はするな」
2人分のお湯を沸かし、ポットとカップをだす。茶葉を入れてお湯を注ぎ、テーブルまで持っていく。 「あ、お茶菓子あったかな?」
「それならオレが持ってきているぞ!」「なにから何までありがとう、司」
「まぁな!では、早速いただこうじゃないか」
司からもらったお茶菓子もお皿によそった。
「「いただきます」」
まずは紅茶を一口。
「ん。おいし」
「そうか!よかった!!!」
もぐ、と次にお茶菓子をたべる。
「ん!!これ、紅茶味だ!!」
「紅茶味の菓子が好きなのか?」
「好き、ってほどじゃないけど…すっごく美味しい」
「気に入ってもらえたようでなによりだ!!」
もぐ、もぐ、と食べ進める。
「ふぁ、ぁあ…」
あれ…?なんか、眠いな…昨日はちゃんと寝たんだけど…
「宵崎?眠いのか?」
「ぅ、ん、ごめ、ん、」
だめ、今は司が来てくれてるんだから。せめて帰るまではちゃんと起きてないと。
「眠いなら寝てくれても構わないぞ?」
「い、ゃ、つかさ、おきゃくさん、だから」
「呂律が回ってないぞ?」
あ、やば、い、もう、意識、たもって、られな…
私の意識はそこで途切れた。
「ふふ、可愛いな、奏♡♡♡」
すぐそこまで脅威が迫っているとも知らずに。
司side
「すぅ…」
「寝た、な。」
寝顔も可愛いな。奏。オレがいるからと必死に眠気に抗って…まぁ、結構強力なやつ入れたから無理だとおもうけどな。さて、今のうちに、セカイに…無抵抗の奏を姫抱きする。スマホを開き、プレイリストへ。セカイはまだ始まってすらいないのひとつした、新しい『untitled』を再生する。この『untitled』は奏を閉じ込めたい、そう思った時に見つけた。
シャララララランセカイ特有の音に包まれる。そうして次に目に飛び込んできたのはただただ無機質な世界。中央にぽつんと家が立っているそこは奏を閉じ込めるにはぴったりの場所。このセカイにバーチャルシンガーはいない。このセカイには奏とオレだけで十分だ。家に入り、地下室へ降りる。ギィイイイイ重い金属製の扉を開け、奥へとすすむ。ベッドと机、椅子があるだけの小さな部屋。奏を寝かせたベッドには重くて太い鎖が付いている。それを奏の脚に…いや首でもいいな…少し迷ったが結局鎖は首につけることにした。奏の白くて細い首になら首輪もいいなと思ったからだ。奏にGPSの入ったチップを注射する。
柔らかいきめ細やかな肌に傷をつけるのは戸惑われたがここまでしないとオレの気が済まない。それが終わると部屋の至る所に盗撮機、盗聴器を仕掛ける。常に監視して置けるように。奏の全てを見られるように。
「ん、むぅ…」
可愛い姫のお目覚めだ。
「こ、こ、は…あれ?司?」
「おはよう、奏」
「おはよ、う」
そこで初めて違和感に気づいたのだろう。ベットの感触か、天井か、脚についているものか、はたまた両方か。身体を起こした奏はオレのほうをみながら遠慮がちに足を動かす。
「!こ、れは…?」
「それか?それは鎖だな。」
「な、んで…?」
「お前がどこにも行かないように、な」
「え…?こ、こは?」
「オレたちの新しい家だ。ふふ、さっきから質問ばかりだな、奏」
「っ!、//」
奏のほおにそっと口付ける。
ビクッと震えた。そんな初心なところも可愛いな…♡
「ゃ、だ…」
「ん?」
今、奏はいやだと言ったか?聞き間違いだよな、まさかそんなわけ
「やだ!家に、帰して!!」
「何を言ってるんだ?今日からここがお前の家だ」
「やだ!!ここだったら曲も作れないし、まふゆにも絵名にも瑞希にも会えない!!!」
「今、なんと言った?」
「ひゃっ、」
「奏に他の人間は必要ないだろう?奏はオレだけを見ていればいいんだ」
「、そ、なの、む」
「無理ではない。奏、早く早く堕ちてこい♡」
ツー、と奏の背中をなぞる。先程よりもよく反応する。
「可愛いな…♡奏♡」
「ヒュ、」
「オレは奏のことが好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きでたまらないんだ。奏にはオレ以外必要ない。どうしても会いたいとでもというならそんなやつオレが消してやる」
奏を抱き上げ、膝の上に乗せる。
身体が小刻みに震えている。
「愛しているぞ、奏♡」
「っ、ゃあっ…」
「なんだ?聞こえないぞ?」
「っ///」
耳元でそっと囁く。それだけで奏の顔がまた赤くなる。
「、や、だっ、いやっ…!」
「そうか?先端は尖ってきてるみたいだが…?」
「なに、するの…?怖いっ…」
「わからないのか?」うんうん、と目をつぶってなんども頷く。
「知識もないのか。なら、オレ好みに仕込めるな♡」
「っぁ、やだっ…」
本能的に危険を感じたのか今までよりも強い力で抜け出そうとしてくる。それでも普通の女より力はずっと弱いけどな。
「大人しくしろ」
「ぁああっ///」ぎゅう、と先端を摘めば可愛らしい声が響く。いつもより高くて色気を孕んだ女の声。もっと聞きたい。
☆*※*※*
次の話はR18です(これの続き)
コメント
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凄いですね、これからも頑張ってください、応援しています