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神殿の中央、五角形の結界が青白い輝きを放つ中、黒いローブの人物が冷ややかに笑みを浮かべる。
「お前たちは何も分かっていない。五角形が持つ真の力を。」
その声にはどこか誇らしげな響きがあった。フィンは剣を構えたまま、問い詰めるように言う。
「なら教えろ。この五角形は一体何なんだ?そして、お前の目的は何だ?」
黒いローブはゆっくりと手をかざし、結界の紋章を指差す。
「いいだろう。その無知を埋めるために少し教えてやる。五角形――それは、完全なる力の象徴だ。」
黒いローブは低い声で語り始めた。
「この世界に存在する力の流れは、自然界の法則に従う。五角形は、その法則を象徴する幾何学的形状だ。その五つの頂点には、それぞれ『火』『水』『風』『土』『霊』――世界を構成する五大要素が宿る。」
ローザリンドが目を細めて口を開いた。「つまり、この結界は五大要素を操るための装置だと言いたいのね。」
「その通りだ。」黒いローブは静かに頷いた。「だが、それだけではない。五角形を用いることで、人間の魂そのものを結びつけ、無限のエネルギーを生み出すことができる。」
「人間の魂…」アリシアが眉をひそめた。「村人たちの魂を囚われたのは、エネルギーを得るためだったのね。」
黒いローブは冷笑を浮かべた。
「愚かだ。この力を完成させることで、何が得られるのか考えてみろ。戦争も、この力の前では無意味になる。完全なる統一だ。」
ドレイクが眉間に皺を寄せ、鋭い声で反論する。「犠牲にするのは誰だ?魂を奪って作り上げた“平和”なんて、偽りに過ぎない!」
「偽りか…」黒いローブは肩を震わせて笑った。「ならば問おう。世界が完璧に収束するために、何かを失うことは悪いことか?」
フィンが剣を振り上げた。「そんな理屈で犠牲を正当化するつもりなら、俺たちが止めてやる!」
黒いローブは言葉に答えず、結界を操作し始めた。五角形の紋章がさらに輝きを増し、空間全体に響き渡るような振動音が響く。
「五角形は、完成した瞬間にすべての力を解放する。その時、お前たちは真の『完全』を目にするだろう。」
突然、結界の光から無数の黒い影が生み出され、フィンたちを襲った。
「奴の言うことなんて信じられるか!」ドレイクが剣を振るいながら叫ぶ。「やるべきことは一つだ!止める!」
「その通り!」フィンが応じ、アリシアとローザリンドも魔法で応戦する。
戦いの中、ローザリンドが冷静に状況を分析する。「五角形の結界そのものがエネルギー源になっている。この結界を破壊すれば、奴の力を封じることができるはず!」
アリシアが紋章を観察しながら叫ぶ。「でも、それには五つの頂点を同時に攻撃する必要がある!どうする?」
フィンが力強い声で指示を出す。「俺たちで頂点を攻める!タイミングを合わせろ!」
一行は黒い影をかいくぐりながら、結界の五つの頂点へと走る。それぞれの位置に立ち、フィンが合図を送る。
「行くぞ!せーの!」
剣と魔法が一斉に五つの頂点を貫いた瞬間、結界は眩い光とともに砕け散った。
黒いローブの人物が後退しながら、静かに呟いた。「ふむ、ここまでやるとはな…だが、これは始まりに過ぎない。」
煙のように姿を消す黒いローブの人物を見送りながら、フィンたちは新たな決意を胸にした。