コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
あなただって最近はビールの飲み過ぎで、おなかが出て来てるじゃないと私は言い返したかったけど、喧嘩になるのは目に見えていた
俊哉はちょっとでも批判めいたことを言われると、それに過剰に反応する
どんなに優しく諭しても、いくら彼のためを思って言っても、他人に欠点を指摘されることに慣れていないのだ
一方私は小さい頃から優秀な兄といつも比べられて生きてきたし、常日頃から手厳しい批評にさらされてきたので、批判には免疫があった
特に母からはいつも自分の友人の娘たちを引き合いに出し、誰それはとてもお行儀が良いだの、お兄ちゃんはまた映画監督賞を受賞しただのと私に聞かせた
しかし夫にこれだけ他人の前でこけ落とされて、恥をかいた後ではその人と友情関係が結べるかと、いえば私は恥ずかしくて無理だった
それ以来彼の同僚夫婦とは一度も会っていない
私は彼の良き妻になるように必死だった、生活が苦しくなるのを承知でパートを辞め、彼が望む専業主婦になった
「食事はまともに作れない、部屋だっていつも散らかっている、君が働きながら家事をするのは無理なんだよ」
と彼は言った
たしかにそうかもしれない働きに行かなければ、時間は沢山あるし彼の世話ができる
彼は小さい頃、いつも仕事に出て家を開けていた、自分の母親に恨みを持っていて、自分が稼いでくるからなるべく私に家にいてほしいと言った