レイラー「……見つけました」
めめ「……どこにいました?」
レイラー「あの家です」
彼女が目を向けた先には、周りよりも一際大きな家があった。田舎ながらに他の家より豪華で、村で唯一の二階建てであることが伺える。
めめ「規模的に村長の家…ですかね……」
レイラー「はい…。しかも………地面より下に反応があったので、恐らく地下室に幽閉されているのかと……」
めめ「…行きましょう。こんなことをしている間にも『水の使者』は苦しんでいるかもしれません」
そう言って歩き出しためめに続き俺も、これまでいた裏路地から表通りに出る。
表に出ると、村人が騒ぎ出した。恐らくさっきの青年が俺達が能魔者だということをバラしたからだろう。
村に来た当初は穏便に済ませた方が楽だと考えていたが、今は状況が変わった。「水の使者」だと思われていた人を一刻も早く助けるために、俺達は人目は気にせずズカズカと村長の家へ向かう。
家の前に着くと、めめはノックもしないでドアを開ける。中へ入ると、集会をするための広間が広がっていた。しかしそこには誰もいなかった。
めめ「どこかに地下に続く階段があるはずです」
その言葉に従い俺は部屋を探索する。かと言っても広間には簡易な椅子と机、二階に続く階段しか無く、探す場所の候補は自然に絞られた。
俺は部屋の奥にある階段に向かい、階段下収納の床を見てみる。考えた通り、そこの床の木の模様が、周りと噛み合わないところがあった。床に空いた大きな穴のような所に、人の身長と同じくらいの大きさの板が覆いかぶさって蓋をしている状況だろうか。
本来なら数人がかりで板を取り払うところを、能力を使い俺一人で持ち上げる。すると、石で出来た下り階段が現れる。
いえもん「二人とも、階段見つけました」
そう声をかけ、三人とも揃ってから階段を下った。
コツ…コツ……
段を下るたび、革靴と石階段が当たり規則正しく音を鳴らす。永遠に続くかと思いきや階段は思ったより短く、代わりにこれまた重そうな扉が現れた。これも能力を使って開く。
ギギ……ギギギ………
軋んだ音が響いた。ジメジメとした空気に、カビのような少し鼻の詰まる臭いがそこに広がっていた。地下室は薄暗いため、目がかすんで中がよく見えない。
??「…ま…、たぁ……?」
明かりが欲しいですね、と言いおうと思った時だった。思わぬ声に心臓が跳ねる。
??「ぅ゙……、ぁ゙が……、ハァ゙ッ…」
狭い部屋に微かに響く声にめめが尋ねる。
めめ「…貴方が『水の使者』……いえ、『水の使者』だと思われていた人ですか?」
??「…っ、だれっ……?」
めめ「私はめめんともりといいます。貴方を助けに来ました」
??「…ぇ゙…?……っぁ゙ぁ゙……ィ゙ッ…」
二人の話を聞いている内に、段々と目が薄暗い環境に慣れてきた。目を擦り正面を見つめる。
いえもん「……は………?」
そこに見えたのは、ぐったりとした様子で檻に閉じ込められている少年の姿だった。触角のようなものを頭から生やし、後ろの壁を背もたれにして座っている。その体はやせ細っていて、全身のいたるところに泥だと思われるシミがついていた。
めめ/レイラー「……!」
二人も少年の姿が見えたようだ。少年の酷い扱いにショックを受けている。
めめ「、大丈夫ですか?」
??「………」
詰まる様に発せられためめの問いに対し、反応は返ってきてこずに少年の目が閉じられていく。俺はハっとして、前へ行き檻を手で掴む。能力を使ったまま怒りに任せて檻を一つずつ捻じり隙間を作っていく。
人が通れるようになると、空いた隙間をくぐり抜け檻の中に入った。
反応がなくなった少年の肩を掴み軽くゆする。しかしそれでも反応しなかった。助けられなかったのだろうか、と自分の手から力が抜けてくのを感じる。
いえもん「は、反応しません……」
レイラー「貸してください。ライトヒール!」
檻の中に入ってきたレイラーが魔法をかける。
いえもん「…!!」
魔法の光に照らされ現れた少年の真の姿に、俺は思わず言葉を失った。泥だと思っていた体のシミは、実は殴られたことによってできたあざだったことに気付いたからだ。それは赤いものから青いものまで多岐に渡り、長い間暴力を振るわれていたという事実を痛々しく彼の体に刻み込んでいる。
??「……うぅ…ぅ゙〜っ……」
唸り声を上げて少年が起き上がった。レイラーが慌てて手を添え彼の背を支える。
レイラー「大丈夫ですか?」
??「少し楽になった…、」
レイラー「まだ治療中なので無理しないでください」
そのやりとりをしている時に、めめが恐る恐る檻の中に入ってくる。その時一瞬だけ彼女の手が震えたのを見てしまった。
レイラー「貴方は…?」
ウパ「…俺…ウパパロン……能力…者でさ…………売られたんだよね……この村に」
彼は魔法を使われ楽になったのか、さっきよりははっきりと話し出す。
ウパ「それで…、逃げたり反抗したりしないように色々されてさ……」
ウパ「だか、ら……ほら…、」
彼は自らの左足を皮肉そうに指し示す。そこには重い鉄の足枷がはまっていた。外せないことも無さそうだったので、俺は筋力を強化しそれを外した。
ウパ「っえ…あり、がとう………」
彼はそれが取れるものだと思ってなかったらしく、嬉しそうに笑った。そしてそのまま、また意識を失う。
いえもん「っえ!?…ちょ、ウパパロンさん!?」
レイラー「大丈夫です。安心して寝ただけですよ。あんな状態でまともに寝れるわけがないので」
レイラー「それより……」
これまでほぼ無表情だったレイラーが、一転して氷のような冷たい表情を表に出す。
レイラー「どうします?この村の連中」
静寂が広がる地下室に、ただ一つその言葉が響き渡った。
ここまでです!今回いえもんさん大活躍でしたね! 登場人物が多くなって、誰を話させるか困ってます!バランスとるのが難しい!語彙力うぅ欲しいぃぃ(これは語彙力の問題なのか)
補足は次回以降に回します!
それじゃあ今日はこの辺りで!また来てね!
コメント
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iemonさん活躍しすぎいいい!!かっけえよ、もうさ☆