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4月のグラウンドは、少しだけ浮ついている。
眩しいくらい若くてまだ中学生の名残のある幼い顔と声の新入生に、先輩になることに張りきって、やや空回っている2年生。
そんな微笑ましい姿を横目に、最終学年になったことを実感する高校3年生。
今日は、新入生が入部してくる日。
緊張した面持ちで、「よろしくお願いします!」と深くお辞儀をし、自己紹介が始まった。
グラウンドで声が響かず、あまり聞こえない。
❤️「今年の1年、強いやつ多いらしいですよ。顧問から聞きました。」
🩷「らしいな」
❤️「俺のポジション取られたらどうしようー」
嘘でも真面目に聞いてるフリをしろ、と言いたくなるほど堂々と喋る舜太の話に適当に返事をする。
自己紹介中の1年生に目線を戻すと、一際目立ってイケメンなやつがいて、何故か目を奪われる。
偶然か分からないが相手も俺を見ていた。
なんで俺のこと見てんだ?って思ったけど、相手もそう思っているのかもしれない。
そいつの自己紹介の順番が回ってきて、さっきよりも集中して聞き耳を立てる。
🤍「高校1年の山中柔太朗です。佐野先輩に憧れてサッカー部に入りました。よろしくお願いします。 」
聞き間違えたのだろうか。
真っ直ぐに見つめる彼の目線の先は何回見てもやっぱり俺で。
🩷「…え、俺?」
疑問が止まらず、その後の1年生の話がひとつも入ってこなかった。
これが柔太朗との、初めての出会い。