テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
まあ
64
かえ
311
109
288
私――立花彩が通う塾、秀明ゼミナールには、 ”住む世界が違う人たち”がいる。
三ツ谷。最上位クラス。
全国模試上位常連。 先生たちですら少し特別扱いする、天才の集まり。
しかもその中には、秀明ゼミナール直属の有名サッカーチーム、KZに入ってる人までいる。
偏差値70以上しか入れない、超エリートチーム。
テレビとか雑誌にも出ていて、半分アイドルみたいな存在なんだ。
私は、もちろん無関係。
受験B。超平凡クラス。
だから本来、三ツ谷の人たちなんて遠い世界の住人だった。
…………はずだった。
その日、私は休憩時間中に自習室へ向かっていたんだ。
苦手な数学をやるために。
私は国語が得意。でもその倍くらい数学はニガテ。
公式を覚えることはできるんだけど、公式を覚えても問題文で使えないから意味がない。
そう思いながら自習室への足を速めつつ、英語の復習をする。
「えっと、『平和』は……」
ぱら、とページをめくる音があたりに響く。
「Peace。」
そのとき、廊下に大きな声が響いた。
「まて犯人――――!!」
えっ!?
そう思いながらゆっくりと顔を上げると、一人の男子がこっちに突っ込んでくるところだった。
知らない男子だった。
しかも全力疾走。
え、なに、怖。
「この若武和臣から逃げられると思うなッッ!!」
は?
私ですか?
何かしたかな私。
普通に授業受けてたつもりなんだけど。
男子はそのまま突っ込んできて――――。
「うお!?」
ズシャアアアアアアァ!!!
目の前で派手に転んだ男子。
「くうっ。床ワックスという名の罠!!」
本人だけが叫んでる。
いや知らないし。
とりあえず、だいじょうぶ?と声をかけた時、あっと思った。
この人、KZだ。若武って人だ!!
そしてその後ろからふらっと現れたのは――。
「転び方えぐすぎ」
「過去最高記録だね」
「逃げ道ふさいでない時点で失敗」
「もう犯人、いないよ?」
「……猫が騒いでる。」
美門翼。
黒木貴和。
上杉和典。
小塚和彦。
七鬼忍。
KZレギュラー!!と小塚さん。
よく見るとみんな顔が整ってる。
いいなあ、生まれながらにこんな美形でいれて。
気まずくてそそくさと立ち去ろうとしたら。
そのうちの一人が、転んだ若武さんを見てちょっと笑った後、私の方を見た。
「ごめんね。うちのがうるさくて」
!?
黒木さんが話しかけてきた。
「いえ……?」
なんだろうこの人。
めっちゃ顔見てくる。
なんかついてるかな?
さっきケーキ食べちゃったからそれかも。
だったら恥ずかしいな、と思ってたら。
「俺は黒木貴和。君は?」
え?ここで自己紹介?
早く帰りたいけどとりあえず。
「立花彩、です……?」
「ふうん。立花さんね。」
そうさらっと言われて私の頭は? ? ?のパニック状態。
周りの人も見てるし、うう、帰りたいよう。
そしたら。ヒラッと一枚の紙が飛んできたんだ。
思わずつかんだ。
テストの答案用紙。
そこには、大きな赤い文字で。
『カンニングの疑いあり』
と書いてあった。しかも、名前は。
『黒木貴和』
ときれいな字で書かれていた。
しかもちゃんと高得点。
周りの子たちもざわつき始める。
「え、黒木君が……?」
「うそ……」
だよね。そーだよね!
秀明の王子様だよ?
ほんとに?
そう思ってKZたちの方を仰ぐと。
「ちょっと見せて」
上杉さんに言われて、持っていた答案用紙を取り上げられた。
すると。
「黒木は冤罪だ。」
は?
とにかく、この人たち、変だ。
コメント
1件
うわ、これ面白い…! まず若武くんの「床ワックスという名の罠!!」で吹いた(笑)。KZメンバー、全員イケメンなのに変わり者すぎてバランスが絶妙だよね。で、答案用紙が飛んできて「カンニングの疑いあり」→黒木くんの名前っていう展開、しかも上杉くんが即「冤罪だ」って断言するところで、もう続きが気になって仕方ない。彩さんの「この人たち、変だ」という冷静なツッコミが、むしろ異世界感を引き立ててて好きです。これは今後の謎解きが楽しみすぎる…!