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朝菊えろ、書きたいとこだけ①まだえっちじゃないです/性別不問のそーいうボイス投稿してる配信者朝×顔は一応隠しつつそーいうLIVEしてる配信者菊の謎シチュ謎パロ/※オフ85の話なので、2人が割と性に寛容な表現あります※/朝→非童貞(男女共)バリタチ、菊→非童貞非処女、好きなのはネコ側
白い画面に示された露出の多い写真、動画、いやらしい文字の羅列。それがポストされては消えていく。99+と表示された通知を押して、コメントや引用を流し読みする。大抵いつもの人間がほとんどで、いくつものハートマークを散らされたそれらに思わず目眩がした。眉間を微かに揉んで、目を開ける。その流れでアカウントを切り替えた。黒い背景に一輪の薔薇が描かれた”Arthur”から、プロフィール画像に手のつけられないまま灰色のシルエットが表示された”Oliver”へ変わるいつもの儀式だった。ソレに飛んで早々、自身のプロフィールを選択して、1と示されたフォロー欄をタップした。そこにあるのは見慣れたアイコンとユーザー名。おそらく飼っているのだろうか、可愛らしい犬のアイコンに、端的に書かれた”K”という名前。それだけ見れば、ただの日常アカウントだ。しかし、それが違うのはアーサーは実に知っていた。はっきりと示された鍵のマークを気にすることもなく、アーサーはそれをタップする。ぱっ、と”K”のプロフィールが表示される。書いてあるのは、身長、年齢、配信者故の配信先のURL、それに……。
”一応ネコ専じゃないです”という1文。一般人が見れば、少しおかしな文章だと思うだろうが一部の人間には異なるものだった。長くなりそうなので説明は省く、それが気になるなら調べてみるといい。彼のタイムラインから次の配信日の告知を探そうと、スマホを持っている手とは反対の指を画面に置き、軽く下にスクロールする。しかし、いつもは固定ツイートでされているはずなのに今日はない。何故か、疑問を抱きながらもおそらく”K”の留め忘れだろう、とゆっくりとスクロールした。その時、ふとアーサーの目にある文字が停まった。
『誰か会ってお話しませんか?FFさん以外でもフォロワーさんなら大歓迎です!
会える方、20歳以上と証明できるものDMにて提示していただけると幸いです(*′ω′)b』
スクロールしていた手を口元へ寄せる。正直、現実かどうか怪しかったのだ。まるでアニメの世界にいるかのように、寄せた手で頬をつねって確かめるとしっかり痛かったので夢じゃないんだろう。抑えていないと今にもつり上がりそうな口角と、流れる冷や汗はあまりにもアンマッチだった。しかし、善は急げだ。微かに震える手のまま彼のDM欄を開き、メッセージボックスをタッチする。文字を打つ勇気が湧かない。もしそれが湧いたところで、書いたメッセージを彼に送れるだろうか。アーサーは頭を抱えつつ、すう、と細い息を吐いて熟考していた。そして3分ほど経っただろうか、意を決して彼はメッセージを打ち始めた。
『Kさんがよければお話したいです』
なんて、そんな単調でなんの技巧もないメッセージ。しかし、それ以上にいい文章を考えられる理性が残っていなかった。1度深呼吸して、ええいままよっ!と言った感じでアーサーはそれを送信した。青く浮き上がるチャット欄。それと、免許証に書かれている、住所と顔をぼかした画像を一緒に送信する。…正直、今まで生きてきた中で1番達成感を感じている。スマホを持っているのも意に介さず、アーサーはベッドへ倒れ込む。どうせ拾われないだろう、と少し自虐に浸りスマホの電源を消した。そして瞳を閉じ、眠りにつこうとする。明日は休みだ、少しくらい遅く起きてもいいだろう。いや、しかし明日は動画更新か…。でも、ネタが……。……あー、マシュマロとかで募集しようか…。でも設置するのもめんどくさい…
そんな自堕落な思考に陥ったアーサーを、スマホのバイブ音が起こすのは後数分後の話だった。