テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
植木さんは、徹底して集客を考えている人だった。
「今日と明日、来週も同じ内容でいいからね」
と初日の今日、私に繰り返し言う。
「今日と明日は違う客が来ればいいんだ。予約も敢えて取っていない。8時に開始出来るように10分前から先着で入場させる。行列が出来ているのを見れば、ホームページで告知を見つけて来週は行ってみようとなる。そういう画策となっています。質問ありますか?」
「いえ。10人ほどだったら寂しいですね…」
「だったら、スタッフ総出でプラス20名ほど…30人でやりましょうか?」
「それならいいですね。よろしくお願いします」
「はい、よろしく。マイク、付けて準備して」
初日なので、植木さんやスタッフさんとフロアに立って音楽を流してもらい、音楽とマイクスピーカーの音量を調整する。
「オーケーだね。5分後に客を入れます。サイサイ先生は8時ピッタリにフロアにお願いします」
いよいよだね…ちょっといろいろ想像が出来ないから不安だな。
でも違う、違う…羅依が言ってたでしょ?
クラブダンスなんだよ。
私もクラブでダンスする気分でいいんだよ…小さく曲が流れているのに合わせて、縦に、横にウェーブして、逆立ちして反対側に降りて…と動いていると
「サイサイ先生、それ禁止だよ?」
「わかってますって。ただのアップですよ」
「ならいいけど。ほら、見て…50人ちょうど入れた。10人ほどは入れなかったらしい」
植木さんがフロアを指差す。
「男女比が同じくらいですね」
そう言った時、大きくなった曲は私が準備したものだ。
「行ってきます」
私は1階のスタッフ出入口からフロアへと飛び出した。
音楽に合わせて動いていいのか、どうか…と50人がキョロっとしたところへ
「こんばんは。本日のご参加ありがとうございます」
フロア中央へ駆けながら言い、中央から四方へお辞儀する。
「藤堂才花です。えっ…と…っとここの企画でサイサイ先生と出ているので、サイサイでお願いします。時間に限りがあるので早速動いていきましょう。Let’s get ready for the dance!」
口々に応えたり、拍手が聞こえる中でレクチャーを開始する。
「まずはリズム取りをしましょう。これがしっかり出来ると揺れているだけじゃなくダンス感が出ます。1·2·3·4·5·6·7·8が1エイト、ダンスでは、8カウントのうち、数字の部分をオンカウントと呼びます。いわゆる表拍というものです。実際には、ワン(エン)ツー(エン)スリー(エン)…とカウントしてエンの部分がエンドカウント、裏拍です。リズムはアップダウンで取るのが基本です。オンカウントでアップ、膝を伸ばして、エンドカウントでダウン、膝を曲げます…こうですね、ワンエン、ツーエン…そうです。お尻を引かないで膝を曲げる…」
鏡がないので難しいよね。
「体はぶらぶら~脱力するくらいでオーケー、首でコクコクとリズム取ってる方。首はやめて、エンドカウントで手を叩いて…こう、ワンエン、ツーエン…はぁい、今度はエンドカウントでダウンにしましょう」
おおぉぉ…ここで皆さんの動きがバラバラになり、爆笑している人もいる。
「どちらがリズム取りやすいか自分で分かれば、どちらでもいいですよ」
皆さんがそれぞれアップダウンをする中で
「はぁい、肘を軽く曲げて…力を入れない楽な角度で…こんな感じ。で、片足を少し前に出して前後にリズムを取ります。カクカクしちゃ、つまづいた人みたいになるのでゆらゆら~っとワンエンで前、ツーエンで後ろにゆっくり重心移動です。このままでしたらグラスを持っていても楽しいくらい。少し、こういう風に膝を曲げて体を落とせばノリノリでリズムが取れます」
次の動作を入れる。出来映えはピンきりだけど、皆さんの顔はめちゃくちゃ出来てる感があって楽しく揺れている。
コメント
2件
ふ〰ギリギリセーフ💦💦💦 カクカクしてます〰🤣🤣🤣
1番で入りました〜!!! サイサイ宜しくお願い致します (☝ ˘ω˘)☝ふぅー!! サイサイ〜膝がカクカクしちゃうし、ぶらぶら〜って幽霊みたいだよꉂ🤣𐤔𐤔 ゆら〜ゆら〜ね!あーっ!ちょっといい感じかも⤴⤴楽しい〜ใ(^▽^ )ว ใ(^▽^ )ว ♬♬