こんにちはMIRA🍬です。
自分の首を自分で締める思いです。
純白の天使
目の前に、純白の羽根が舞う。視界を埋め尽くすフーワリとしたそれの合間で、美しい澄んだ碧の瞳が細められる。声を出そうにも真綿で喉を締められているかのようで、手を伸ばそうにも触れたら消えてしまいそうな気がして。唯、只管に、その美しさに魅入ることしか出来ず。焼けつく程に恋焦がれたその人が、ゆっくりと歩き出す。
ーーーいかないでーーー
そう叫ぼうと必死にもがくが、その人は止まってくれない。
ーーー置いてかないでーーー
寂しさ、悲しさ、不甲斐なさ、恋しさ。色々な感情が渦を巻き喉元まで迫り上がる。
その想いが届いたかのようにその人が、少し振り向きガーデニアの花が綻ぶように微笑んだ。
「大丈夫」
そう、言われた気がした。何が大丈夫なのか、どうして行ってしまうのか、何故自分は話すことができないのか、焦りと不安が胸を締め上げる。
一層華やかに羽根が舞う。その瞬間金縛りが解ける。届け、届け、届け。その人の美しい髪が眼前で舞う、
ーーーー
「っ、はっ…。」
「夢、か。」
どうやら仕事中にガタを迎えてしまったのだろう、デスクで寝ていたせいか節々が痛む。その時ふと、自分の頬を温かい感触が滑っていく感覚がし指を添えると、手先が濡れた。お気に入りの華服にも水に濡れた跡がある。
「うわ、またか…、よかったあいつらに見られなくて。」
最近よく、起きたら泣いていることがある。多分悪い夢でも見ているのだろうが、起きたら何を見ていたのか全く思い出すことができない。唯々止めどなく溢れ続ける涙だけが、それを裏付けている。
「疲れてんのかなー。」
そろそろ決算期、九井が忙殺される時期である。もう既に九井は虫の息だが。
「今日は何徹目だったっけな。」
ひいふうみいよーいつむーなー、と指差し確認、数えていく。
「うん!8徹目か!そりゃあ涙もちょちょ切れる訳だ。寝よ。」
誰もいない気安さで脱衣所に向かいながら服を脱いでいく。パチリ、パチリと華服の留め具を外してゆくと、九井の良い具合に曲線を描く鎖骨が顕になる。そのまま脱いだ上着を脱衣所へぶん投げて次は下着を脱ぎ始める。下着と言っても華服の縫い目で肌が荒れないようにするためだけのものだが、その白い裾に手をかけ脱ぎ捨てる。すると、程よく筋肉がつき引き締まったお腹が、日に焼けていない黄色の強い肌が、余すことなく目に映る。よく九井は梵天のギャル(アラサー)共から細すぎだの女子みたいだのと揶揄われるが、決して九井が貧弱だからとかではない。九井も一般的成人男性と比べれば全然力もあるし体力だってある、唯周りの奴らが化け物なだけで。
上半身裸になると今度はズボンに手をかける。それも直ぐに脱いでしまうと、後もぱっぱと脱いでしまって待ちきれないとばかりにお風呂へ飛び込んでいった…
「ふー、いいお湯だったわ…」
ほかほかと顔を火照らせながら九井が風呂から上がる。心なしかいつもは綺麗に釣り上がった目を今はとろんと蕩けてしまっているようだ。
服は鶴蝶ママが洗濯してくれるだろうからそのまま洗濯機にぶっ込んでおき、適当に自分用に置いておいた衣服を着て脱衣所を出る。
そして車の鍵のみを引っ掴むと脱兎の如く梵天基地を出て行ったのだった…
「はよー。」
「あ、三途おはよー。」
「はよ、竜胆。」
「三途おはよー♡蘭ちゃんもいるよ♡」
「うげぇ…」
「は?」
三人ともおはようおはようと挨拶しているが今は昼の12時だ。三途は昨日の任務が深夜にまで及んだからだが灰谷共は生粋のギャルなのである。昨日灰谷は夕方4時に帰宅し11時に出勤してきた。他が夜10時などに帰り朝7時に出勤している横で。屑と書いてギャルと読む、それがこいつらに与えられたギャル称号である。
「てかお前ら九井しらねぇ?昨日の報告書出しちまおうと思って本部寄ったんだけど…」
三途がキョロキョロとオフィス内を見渡す。
「あーそういえば今日九井のこと見てねぇなぁ…」
「マジか…ちょっと九井のセーフティハウス回ってくるわ。」
「「おー、いってらー。」」
綺麗にハモる灰谷の声に苛立ちつつも、九井を探し出すべく三途は愛車に乗り込んだ。
「笹川、出せ。」
「うっす。」
濡鴉色の車体が滑るように走り出した。
♡は何回でも押していただけますし、作者のモチベーションへ直結していますので是非押していただけたら嬉しいです!
Special thanks. 三途-明司-千 さん
コメント
1件
いやもうこれはコラボでいい(( やっぱり〇〇さんのノベルが一番だわ… 思ってたよりいい作品が生まれてる‼︎ なんか、こう…〇〇さんは表現が綺麗なんですよ。 頭にしっかり浮かんできて、いま何をしているのかがわかりやすくて好きです‼︎