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🏨☔️です。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈shk視点
ぽつぽつと雨が降りはじめる。洗濯物を外に出したままだな。と思い出し俺は急いで洗濯物を中にしまう。
洗濯物を中にしまう時に自分も少し濡れ、手に水滴がついていることに気づき、錯覚でそれが赤く見えてフラッシュバックする。
「かひゅっ、」
ばさっ
持っていた洗濯物を一気に床に落とす。目の前派真っ赤で、あの時を思い出す。いやだ。おれはもうそんなことしていない。やめろ。
少しパニックになるが、しばらくしたら落ち着く。雨は激しくなっていた。
__彼はどうなったのだろう。
ふと、そう思った。
あのホテルの彼。昔は俺もそこに働いていた。だが、あのホテルは普通のホテルとは違う。もう思い出したくもない。そう思うのだが、彼を想い、少しずつ思い出していく。
気がついたらあのホテルに居た。そんな俺に彼は優しく仕事を教えてくれた。細かく丁寧に、俺に料理を教えてくれた。あの頃は楽しかった。彼と一緒に料理を作り、一緒にお客様に料理を届けて。けど、彼はいつも辛そうな顔をしていた。今ではその理由もよく分かる。彼らは俺らのせいで死ぬのだから。
数年が経ち、彼の力無しで俺がシェフとして料理をしていた時はそれはもう大変だった。
俺は鼻がよかった。どれに毒が入ってるだなんてすぐわかるのだ。その中から毒の無いものを使って、客に美味しいものを。それを繰り返していた時、オーナーに怒られたのだ。
“何故毒を使わない”とね。俺はその考えがおかしいと抗議をした。だがそれはまだ未熟な俺に言われたってどうにもならない。その時に顔を殴られ、またやられるのが怖くて毒を入れるようになった。その時だ。俺の中に悪魔が出来たのは。
彼は料理している時に出てきて、毒を入れる。俺が嫌でも、怖くて怖くてそれで毒をいれた。そして、ついには自分の手で人を殺した。
ずっと毒をいれるだけだと人を殺している実感が湧かなかった。悪魔に人を殺す実感を持たせて毒をいれるのをやめさせようと思ったのだ。
そして俺は料理を待つお客様を包丁で指した。
「お待たせしました。」
そう言った瞬間、視界が真っ赤になった。シーツに赤が染み渡り、遺体を冷凍庫に持っていき、シーツをリネン室に持っていく。
ここからだ。俺が狂ったのは。
その後オーナーにバレて、とてつもなく怒られた。怖くて怖くて仕方がなかった。でも、やめようとはしなかった。何度も実感を求めて刺して隠して。その度に怒られるという恐怖に満ちて。
そんな時1度彼にバレた。
オーナーはもう諦めていたようで、何も言わなかった。それなのに怖くて息を荒くしながらリネン室にシーツを持っていく。そしたらリネン室に彼が居たのだ。
彼は何も言わず、シーツを洗ってくれた。
でも、そのシーツが洗い終われば話しかけてくれた。
brmn「今度、謎解きさせてあげる。時が来たらまたここに来るんだよ。」
怒られると思えばそんなことを言われる。その時、昔は謎解きやったな。と思い出し心が軽くなる。今思えば最後のあのリネン室での謎は、彼の言っていたものなのだろうか。
それからは、人を殺すことが少なくなった。何度も何度もやって、こんなの無意味なんだ。そう思ったのだ。俺の心はもう壊れていた。
…今思えば、悪魔も自分を守る為に考えた人を殺す言い訳だったのだろうか。
毒で苦しむ人を見るのが楽しかっただけでは?そんなことを考えては頭の中がぐちゃぐちゃになって終わるだけ。
1度、彼と一緒に逃げようとした。あの時の俺は浅はかだった。彼がここから逃げたい。そう言葉を零したのだ。
俺は全くの同意見で、逃げようとした。
でも、それは叶うことはなかった。オーナーにバレ、彼が罰を受けることになったのだ。俺は申し訳なくて何度も謝った。でも彼は笑って誤魔化す。
最後だって、一緒に逃げればいいのに責任者として残った。新しい人生を歩め。そう言って、彼は自分の自分はそのままとしたのだ。
今はあのホテルは廃業して、俺は今職を探している。あの一件があってから俺はたまにあの頃のことがフラッシュバックする。そして思い出し、また忘れようとする。
……でも、彼のことは忘れていない。
ホテルに置いてある水色の傘は、いつ開かれるのだろうか。
そんなことを考えながら、俺は緑色の傘を開き自由に外を歩く。
……彼にも、そんな日が訪れますように。
雨が降り、彼を想い。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
没