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#おりきゃら注意
夜光🎀🍑
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#魔道具職人
こはる
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#ファンタジー
神無月
506
#挿絵
KEY-STU
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その世界には「死の花」という花がある。
花の匂いを嗅げば、寿命を迎える前に確実に死に至ると言われていた。
それは数カ月後かもしれないし、数年後かもしれない。
というのも呪いが発動する周期や条件などに決まりはなく、ただ、漠然とした『死』の意識だけが人々を怯えさせた。
とはいえその花の香りには違う効力もある。
ずばり、簡潔に言うと超人的な力──その世界では『呪縛』と呼ばれている──を手に入れるのだ。空を飛んだり、怪力を得たり、それは人による。
一見、呪いの代わりに与えられた恩恵。
しかしだからこそ花を使った事件なども多発していた。それを納めるために生まれたのが、カースドハンター。
カースドとは花の匂いを嗅いだ人間のことで、ハンター…つまり、カースドを狩る者たちの総称だ。
報酬は高く、狩ったカースドが犯罪を犯したか犯していなかったかは正直関係がない。
人々の不安を取り除くという名目で生まれた彼らは、大抵が金目的なのだ。
あるところに、一人のカースドの青年がいた。名前はカルク。
花の匂いを嗅いだのはもう数十年前…子供の頃の話になるが、未だに彼は生きていた。
生きる中で幾度となくカースドハンターに襲われたが、彼らは呪縛で呆気なく撃沈。
今日も今日とて、カルクを狙う浅ましいカースドハンターが森の奥深く、カルクの住む研究所に殴り込みに来ていた。
「お前がウワサの“ご長寿”カースドかぁ!?」
「ケケケ、見た感じ15かそこらだろ。良かったなぁ、“長生き”出来て。」
「俺らの方が年上だがなぁ!」
一気に刃物が振り下ろされる。
カルクが反応するより前に、森の木々が怒号を上げた。
ゴオオオォォォォ!!!
静かな森が一変、大地が地鳴りを起こす。
草花はハンターを絡め取ろうと躍起になり、沢は川に変わり底を抉るほどの勢いに。
ハンター達は自然に対抗する術などなく、あっという間に地面に叩きつけられた。
カルクは慌てる。
「おいやめろ!俺は傷一つ付いてねぇよ!」
自然は急にしゅんと勢いを弱め、大地は平地に戻り、草花は呑気に景色へと変わり、川は沢へと水流を弱めた。
ハンター達は叫ぶ。
「な、なんなんだよお前は…っ!」
カルクは答えた。
「ただの研究者だ。“ご長寿”のな」
「「ヒィッ!」」
彼らは足をもつれさせながら森を駆けて行った。時折木の根に怯えつつ、やがて見えなくなるとカルクは何かに向かって呟く。
「ありがとな。だがいつも言う通り、ここまでしてもらう道理はねぇ」
カルクの呪縛は『自然』だった。
今の通り、カルクの身に危険が降りかかると自然が怒り守ろうと理性を失くす。
ただ彼自身に人を傷つけたいという思いは全くなく、守ってくれることに感謝しつつも毎回度が超えてしまうことに困っていた。
同時にカルクはなんとなく、自然の言っていることを感じ取れる。
それも死の花の効力なのだろうか…。
ふぅ、と息をついたカルクは、ツタが巻きついた研究所に再び入って薬の調合を始めた。
ずっと、花の呪いを消す方法を探している。
「(何かしらあるはずなんだ。何かしら…。)」
死ぬことが怖いわけではなかった。
自然が嫌いなわけではなかった。
ただ、自分以外のカースドは苦しんでいるのに、自分だけがのうのうと生き続けるわけには行かない。
ある日、また1人のカースドハンターがカルクの小屋を訪れた。
なぜハンターだと分かったのかというと、服にガーデン(ハンターの管理も担当する、世界を統べる政府)の紋章があったからだ。一見可愛らしいような花型の上に目玉とおぼわしき形が鎮座しており、どこか不気味な紋章。
それを身にまとった男は、音がしなかった。
「やあ、カースドくん。お一人かな?」
カルクがバッと後ろを向くと、漆黒の髪色の青年。自分よりは年上かも知れない。
警戒するより先に男が一瞬でカルクに近づき、自然が攻撃するより早くカルクの手袋をめくって“あざ”を見つけ出した。
カースドには誰でも刻み込まれているものだ。カルクのは左手の甲にあり、葉型。
男はそれを見れば嬉々として笑う。
「やっぱりね…!君は死の花……ううん、“命の花の王”だ!」
カルクは理解できなかった。
展開が唐突で早過ぎる。
俺達カースド?命の花?王?
お前はハンターだし、命じゃなくて死の花だし、俺は王でもなんでもない。
男はニコッと笑って言った。
「とりあえず俺お客さんだからさ、おもてなししてもらえる?」
「お前が無理矢理入ってきたんだろうが💢」
そして数分後。
なんだかんだ言ってカルクは果物で作ったジュースを男に出し、話を催促した。
まず、男自身のことについて。
「俺はハルツグ。ハルって呼んでね。さっきも言った通り、カースドだよ」
「あ?ハンターだろうがどう見ても。」
「ふふ、よく知ってるね。この服はカースドハンターの試験を合格しないと貰えない。つまり、俺は確かに元ハンターなわけ。」
カルクはハルツグをじろりと睨んだ。
ほら見ろ。
その視線の意味に気づき、ハルツグは慌てて弁明する。
「でも、ちょっとしくじってカースドになっちゃったからやめたの。そこで知ったわけ。死の花の裏側…命の花の真実を。」
カルクはごくりと喉を鳴らした。
今ここでその『真相』とやらを聞ければ、もしかしたら呪いを解けるかもしれない。
「と、その前に!」
しかしハルツグは真面目な顔を一変、破顔。
「俺の呪縛について説明しちゃおうかな!」
カルクはすぐにでもハルツグから真相を聞きたかったが、確かに呪縛も気になっていたので大人しく口を閉ざす。
それを満足そうに見て、ハルツグは続けた。
「俺のはね、ちょっと特殊なんだ。パワーアップ系じゃないから」
そして説明する。
「俺の呪縛は、『猫かぶり』。文字通り、あらゆる『気配』や『音』を偽装する呪縛さ。俺はね、ここに来る直前、自分の気配を完全に『そこら辺の石ころ』に偽装したんだよ。」
「“偽装”?消すとは違うのか?」
「うん、そこが大事。消えるわけじゃないから、勘が鋭い人にはバレちゃったりするけど…基本気づかれないかな。」
カルクは確かに全く気づけなかったと納得し、今度は自分の呪縛を説明しようとした。
「俺のは…」
「あー、いいのいいの!分かってるから!」
首を傾げる。なぜ“分かっている”んだ?
そしてハルツグはニヤリと笑った。
「じゃあ前戯はここまでにして…。そろそろ教えちゃおうかな。『命の花』と、『君の境遇』についてをさ。」
カルクの体が強ばった。
『俺の境遇』…つまり、先程の王とかなんとかに関係してくるのだろう。
ハルツグは語り出した。
「花が咲くたびに、世界は『王』を選ぶ。その王のあざこそが、君の左手にある『葉』の烙印。……死んでいく世界中のカースドたちはね、呪いで死んでるんじゃない。呪いなんて、呪縛なんて元々無いんだよ。彼らの命のエネルギーは、すべて『王』である君を何十年も生かし続け、その絶大な『自然の力』を維持するための生贄として、強制的に吸い上げられているの」
カルクは頭をハンマーか何かで殴られたような気がした。
王?生贄?そんなもの自分は望んでいない。
自分は、死んで欲しくないのだ。誰にも。
なのに殺しているのは俺だというのか?
ハルツグはそんなカルクの様子を伺いつつ、続けて説明する。
「一介のハンターじゃ知らないんだけど、ハンター制度を生み出したこの世界の『政府』…つまり、『ガーデン』自体は、カースドである君を殺すよか、むしろ守りたいわけだ。なんでだと思う?」
「……?」
ハルツグは不敵に口角を上げる。
「ふふ、答えはかーんたん。君が生きてさえいれば、」
──他のカースドが死ぬからだよ。
カルクは目を見開き、思い出した。
研究の上で得た情報を。
確かにカースドが始めて死んだのは、カルクがカースドになったその時だった。
「(つまり俺さえ死ねば、他のカースドも目の前のこの男も、死なない…?)」
カルクは思わず嘔吐く。口を手で塞いだ。
気を抜けば吐いてしまいそうだ。
ハルツグは目を細めて言う。
「俺は死にたくないからね。ずっと君を探してた。君と、この世界のルールをひっくり返すために。」
カルクは静かに問いかけた。
「……死にたくねぇのか」
ハルツグは頷く。
「もちろん」
直後、カルクは怒鳴った。
「んなもん、なおさら俺を殺せよ!!」
自分だけが助かる資格なんてない。
自分のせいで人が死ぬなら、自分を殺せば済む話じゃないか。
死にたくないのなら、俺を殺せよ。
しかしハルツグは冷徹に言った。
「そんな簡単なことなら、俺だって今頃君の心臓をナイフで突き刺してるよ。」
ハルツグはびくっと身体を震わせる。
その冷酷さに寒気がした。
「君が死んだらどうなるか、教えてあげようか?死の花──またの名を命の花の王が死ぬと、確かに他のカースド達は死ななくなる。そう知った途端、世界は大混乱だ。自分はどうせいつか死ぬんだから今暴れたってしょうがない、と思ってる奴らも全員暴れ出す。自分が天下を取るんだって。それに、花の匂いを自分から嗅ぎに行こうとする奴らだって現れるだろうね。なんてったってリスクなしのドーピングなんだから。」
ハルツグは少し早口になった。
「で、俺がこのタイミングで君を訪ねた理由なんだけどね。実はもうちょっと早く着くつもりだったんだ。君が20歳の誕生日を迎える前に。ただ…」
ゴオオオォォォォ!!!
その途端、外で轟音。カルクには分かる。
何者かが侵入し、自然が交戦している。
「あっ、ちょっと!」
カルクはハルツグの言葉の続きを聞かず駆け出した。森を傷つけられるなんて、溜まったもんじゃない!
少し走ると、カルクはすぐ息切れする。
何せ体力がないのだ。
しかしなんとか走り抜け、現場に着いた。
「ん?ネコじゃないね。まさか…」
服のお陰で、一目でガーデンの刺客だと分かった。しかも、恐らく位が高い。
彼はカルクを見た途端、攻撃の手を止める。
「ふーん、お前が『命の花の王』か」
カルクは再びびくっと体を強張らせる。
やがてハルツグは遅れて追いついてくると、途端に刺客は彼に銃を向ける。
直後、ハルツグの姿が見えなくなった。
「チッ、また消えたか。めんどくせぇ」
直後、カルクは彼に俵担ぎされていた。
「な、な、な…っ!?」
カルクは動揺する。
「王なのに雑でごめんよ。今日はネコは諦めるわ。」
するとハルツグが現れて、
「タンマタンマ。インフェルくんってばひどーい。人質とかさ。」
「人質ではない。これも任務のうちだ」
彼はインフェルと言うらしい。
ハルツグとインフェルが言い合いをしている間に、カルクはこそっと言った。
「(みんな、この金髪の男を捕まえてくれ!)」
すると木々が一斉にインフェルに襲いかかり、あれよあれよという間に拘束。
カルクは枝達に丁重に地面に降ろされた。
ツタや枝に縛られたまま、インフェルは面倒くさそうに言う。
「先程も言ったが、俺には王を傷つける気は毛頭ない。ただの任務だ。」
「任務?」
カルクは首を傾げた。ハルツグが呆れる。
「もー、カースドくんってば俺が教えて上げる前に飛び出してっちゃうんだもん。」
そしてやっと説明を再始した。
「20歳の誕生日に、君は正式に王になったんだ。まあ自分で自覚はないだろうけどね。その時一旦、世界から死の花が消えたんだ。」
カルクは目を見開く。
消えた…って、1本残らず?
「知らなかった…。」
「死の花の場所の情報なんて開示されてないからねぇ。そんなん知ったって犯罪が増えるだけだし。とにかく、それによってガーデンは世界の全てのカースドの生年月日を洗い出し、君が王だと突き止めた。」
カルクは再び驚く。
「全てのカースドの…?そんなことできるのか?」
今度はインフェルが答えた。
「あぁ、できる。俺の幼馴染がそういう呪縛なのだ。それが理由でカースドだがお前を除いて唯一ガーデンに歓迎されている。」
ハルツグはカルクに言った。
「これ以上は俺も分からない。あくまで俺だってその辺のゴロツキと同じ権威のハンターだったから…。それこそ幹部のインフェルくんが教えてくれたら早いんだけど?」
ハルツグはちら、とインフェルを見るが、インフェルは冷笑した。
「教えるわけ無いじゃんね。せいぜい自分らで頑張るんよ。」
「だよねー」
項垂れるハルツグを横目に、カルクは真面目な声色でインフェルに問いかけた。
「ガーデンの目的はなんだ。それだけが知りたい。ほっとけば“呪い”は回り続けんのに、なぜ王になった俺を拘束しようとする?」
「だから、言わないと…」
「言わねぇと俺は自害するぞ。」
インフェルとハルツグは目を見開いた。
本気の目だった。
ガーデンは王を守りたい。そのロジックを理解しているからこその脅し。
ふぅと息を吐き、インフェルは一言言った。
「……人類の選別」
今度はハルツグとカルクの2人が目を見開く番だ。
「命の花…おかしいだろう?世間一般じゃ死の花なのにガーデンの上層部だけがそう呼んでいる。つまり、」
インフェルはカルクを冷たく睨む。
「お前は、生と死を司る王だ。」
衝撃が走る。生と死。命。
「ガーデンには理想があるんだ。要らない人間だけを殺し、要る人間だけを生かす。殺し合いが絶えない絶望的なこの世界で、お前がいればそれができる。だろう?具体的なのはやり方は俺も分からない。研究室の人間しか。」
研究室。カルクはインフェルを睨み、次にハルツグを見た。
「俺はそんなの受け入れない。ハルツグ、お前はどうする。」
ハルツグは当たり前だという風に答える。
「カースドくんに…ううん、王サマに、ついていくよ。」
そして二人は歩き出した。インフェルの拘束は、いつの間にか解けていた。
タバコをひとつ懐から取り出し火をつけるとと、彼も反対方向へ歩き出す。
二人を追いはしなかった。
コメント
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**寺島あおいです🤍** 第1話、一気に引き込まれました。“死の花”の設定が鮮やかで、カルクが“王”だと明かされる場面はゾクゾクしました。彼が「自分のせいで人が死ぬなら自分を♡♡♡」と叫ぶ切実さに胸が詰まります。ハルツグの飄々としたキャラとの対比も素敵で、これから二人がどう世界と向き合うのか、続きが気になって仕方ないです🌷