「押都、一緒に忍術学園行くよ」「……はい??」
突然組頭は言った。普段ならば私か山本に休暇届けを出すか、勝手に行くのに珍しい…
「突然どうしましたか?組頭 それと忍術学園に行くなら休暇届けを出してください」
「忍術学園に天女が現れたそうで押都と私を連れてこいとずっと要求してるらしいよ」
天女…忍術学園に突如として空から降ってくる天女と名乗る者。忍術学園は保護をするらしいが洗脳されたり生徒を攻撃したりがあるらしい。1度組頭も狙われた為、タソガレドキ忍者にも天女がきたら報告するようになったそうだ。
「天女が私を…分かりました。一応行ってみましょう。組頭、それ以外にも理由はあるのでしょう?」
「天女の力の正体が押都の力と同じ場合もあるし見てもらおうかと思ってね」
「そうですか。」
木を飛びながらの移動。忍術学園へまっすぐ向かっている途中に突然組頭からの質問攻めにあった
「茈の時にちょっと性格変わってた気がするけどアレが素なの?」
「アレ…とは?」
「一人称が僕ってのも気になっちゃって」
…ホークスの一人称は俺……無意識に五条悟と同じテンションになってたのか。反省点が出来た
「ある意味そうですね」
返答に混乱したのか少し黙った組頭。その間に、もう忍術学園へ到着した。”公安のヒーローホークスの知識”を利用してタソガレドキの城から忍術学園までの移動時間を計算して答えたかいがあったな
「なんで私がこんな目に遭わなくちゃいけないわけ!?」
大声で叫んでいる女。あれは制服だから高校生って所か。中学生だった私にもわかる。コイツクソ女だな
「押都。あの化け物みたいな感じはする?」
「いえ。けれども怪しくはあります」
この感じ…死んだから、元現代最強特級呪術師の五条悟として言わせてみれば……この女自身じゃなくて女の脳に集中しているかのように呪霊の感じがする。けれども女自身に呪力の耐性があるだけで行使できる訳でもない。協力者、或いは第三者が何かしら女に仕掛けているっていう説が濃厚。可能性は薄いが、女がまだ制御できてないというのも有り得る。あのメロンパンみたいに受肉タイプかもしれないのも厄介なところ…話せば分かるようなタイプじゃないのはこの発言から見て一目瞭然。 どうしたものか…
「とりあえずは学園長さんに挨拶しようね」
「そうですね」
「やっと見つけたわ!!現代最強の呪術師、タソガレドキ忍軍小頭の押都長烈!!」
呪術師のことを知り、タソガレドキという事も分かっているとは…これは予想外。この女…はなから押都長烈が目的だったのか?
「アイツらがアンタさえ死ねば私は帰れると約束した!!さっさと死ね!!!!」
「____アイツらとは誰のことだ」
女が小刀を持ってこちらに敵意を持って来た為、公安の体術で取り押さえた。騒ぎを聞き付けてか、忍術学園の教師や生徒(上級生)達がこちらに向かってきている。早めに情報を取った方が良さそうだ
「離してよ!!!私は早く帰りたいの!!」
「質問に答えろ。どうやって私のことを知った?」
「教えてもらったのよ!!アンタが死なないと私は殺される!!!アンタが死ねば私は帰れるの!!さっさと……死ね!!!!」
突如女の脳から体内へ呪力が回ったら呪霊が現れた。この女…非術師なハズだ。こんな所で蒼や赫なんて出来るわけなく、悠仁みたいに拳に呪力を込めて殴ったら幸いにも呪力が全身を回りきってない呪霊だったので1級でも難なく塵レベルに倒せた
「なんで!私のこの能力は普通の人だったら見えずに呪い殺されてるハズなのになんで!!アイツら嘘ついて渡したのね!!!」
「渡した?つまりは貰い物というわけか。」
術式を他人に渡せる術式というわけか?そんな術式があるならとっくに世界は終わってるハズ。いや、ホークスの感はそういう”個性”の可能性を考えている。現に、オール・フォー・ワンはそういう”個性”だったからこそ日本は終わりかけた。けれども術式を渡せる”個性”だなんて…まず世界が違うのにそれをやってのけられるのか?この女…まだ隠していることがありそうだ
「アイツらとは誰だ?」
「知らないわよ!!2人組で気味が悪い奴らだった!私をこの世界に落としたのもアイツら!!!早く家に帰してよ!!!!」
人を殺しかけて全くどれだけクズなのか…いや、何言ってるんだ。中学生の”私”だって、公安所属の”俺”ホークスだって、呪術界最強の”僕”五条悟だって全員クズだった。だから…
「いや、私が言えたことでもなかったな。その2人組は何か言ってたか?」
「呪力がどうとか、個性がどうとか術式とか言ってたわよ!!さっさと離しなさいよ!こっちは苦しいのよ!!!」
「呪力…”個性”…術式…」
「押都…何か分かった?」
「はい組頭。自称天女、これでようやくオマエの確証が得られた」
コイツは天女じゃない。”個性”と呪力持ちの奴らによってここに連れてこられた刺客だ。もうこいつは脳を弄られすぎて人間のような思考は残っていない。ただ、押都長烈を殺す為に帰りたいという思考を強制的に持たされているモノだ……いや、ホークスも五条悟も扱いはコイツと同じようなものか。
「皮肉なことだ。ある意味、似たもの同士って奴。オマエはもう帰れたとしても受け入れてはもらえないだろうな。」
この世界から離れた途端魂を作り替えられる術式が埋め込まれている。これもコイツで言うアイツらの仕業だろう…真人っていう呪霊の術式に近い。しかもコイツは死んでいる
「なんで、なんでなんでなんでなんで!!私は帰るの!お父さんだってお母さんだってどんな私でも受け入れてくれる、絶対!!」
「化け物になっても…か?」
「…え?」
「自我がなくなっても?誰かを殺しても?誰かを助けられなくても?化け物になっても?死んでても?それでも受け入れて貰えるとでも思ってるのか?」
組頭や忍術学園関係者は成り行きを見るようだし、少しコイツには教育でもしておかないとね。俺の気が済まないし…
「な、何言って……」
「オマエはおめでたい頭みたいだね。教えてあげるよ…人生にとって絶対なんてことはありえない。失望されれば捨てられるのは当たり前、随分と生温いところでさぞかし大事にされて生きてきたのかな。俺としては正直、羨ましい程には大事にされてきたようだね。虐待はない、犯罪者の息子と称されない、誰かの犬でなくても生きていける、誰かに責任という名の重圧をかけられない…随分とキミは幸せそう。」
「そ、そんなの当然じゃないの!」
「違う」
ついド低音を出してしまった…CV:中村悠一のド低音はなかなかないから無料でこういったサービスはしてないのだが……
「当然なことなんてない。平和を普通と捉えるな、世界では何万と命は死に、新たな生命が誕生する。その死に今この場で選ばれなかった。それが幸運、生命の中で人間も平等にいつ死ぬかなど分からない。それでもオマエは当然だ?なにかの冗談だろ。」
「う…」
「選べ。俺を殺して元の世界に帰って化け物として殺されるか、今俺に殺されるか。俺に殺されるなら似たもの同士のよしみとして楽に殺してあげる。」
「私は…楽に死にたい。お願い!もうこんな地獄はヤダ!殺して…お願いします…」
「いい子だね、しっかり殺すよ。最後に言い残すことは?」
「忍術学園の皆さん、ごめんなさい。それと、あなたの本当の名前を教えて…」
「私は押都長烈。今この場では…な。それ以外の名は必要ないですので。さようなら」
呪力を流した苦無で首を切った。が、なにか違和感がある……なんだ?忍術学園に被害は無い。組頭も生きてる。タソガレドキもある。女は死んだ。あとは女を呼んだ2人組を探して殺すだけ。何がおかしい?なんの違和感だ…?目は見える。精神は正常。耳は聞こえる。感覚はある。嗅覚だって…?あれ?味覚が…嗅覚が機能しない。視界が少しぼやけてる。耳が少し聞こえずらくなっている…五感に異常が出始めている…??違和感はこれか。でも何故突然?
「ようやく気づいた。特級呪術師五条悟。まぁ、危機一髪?」
「おいおい、元だとしてもNo.2ヒーロー、速すぎる男と言われたホークスがまさか気づくのが遅れるとはなァ!」
「2人組とはお前らか。組頭、離れてください。コイツらはあの天女よりも厄介です」
「わかった。大川殿、今は離れてください。ここからは押都の仕事です」
「教師及び生徒は離れるのじゃ!!」
組頭の言葉に忍術学園は聞く必要は無いが、流石に学園長の言葉は聞くようだな。まさか2人組が俺と僕のことを知ってるとは…厄介だ。コイツらは何のために…それよりも、
「どこの誰で何が目的?」
「オマエの五感に異常が出始めてるだろうよ。ソレはあの女を殺したやつだけがかかるように細工したんだよォ!ヴィランでオレちゃんの名はツミト。」
「味覚、嗅覚、聴覚、視覚、感覚の順で消えるツミトの”個性”。まぁ、雲散霧消?呪詛師でボクの名前がムコウ。」
「ムコウの術式は呪力を無効化できんだよォ! 」
「まさかッ!」
やっぱり、六眼が機能しない!これが呪詛師の術式…それどころか呪力まで制御出来ない。これは個性因子に切り替えるしか…でもホークスになっちゃうし……いや、考えてる暇は無い。落ち着け、お前は誰だ。速すぎる男、No.2ウィングヒーローホークスだろ
「幸いにも感覚が最後でよかった。俺は感覚でやるんでね」
白髪から突然金髪の大きな赤い羽根…こりゃもうタソガレドキ忍軍には居られないかもね敵の個性と術式は戦闘タイプじゃない。けれどもこっちはハンデくらってるし…
「オレちゃんが教えてやるよォ…本物の火をなァ!赫灼熱拳ジェットバーン!!!」
「やれ、虹龍。まぁ、悪鬼滅殺?」
この技とこの呪霊…いや、それよりも”個性”、術式を複数持ってるタイプだったか。
この技から見るに、一人称がオレちゃんは…五感を麻痺させる、フェルフレイム。一人称がボクは…呪力の無効化、呪霊操術
これだけ強い複数持ちなら何かしらのデメリットと条件はある。六眼は一瞬だけしか使えなかったが一人称ボクの方しか呪力は流れてない。これは不幸中の幸いだなそれよりも…
「その術式と”個性”をどうやって手に入れた。」
_____押都の圧が一段とかかった。茈を見せてもらった時以上に。あの2人組の何に怒っているのかは分からないが押都があそこまで怒る何かがあるのだろう。そう、タソガレドキ忍軍組頭である雑渡昆奈門は結論付けた。
「転生特典だよォ。オレちゃんは死んだ”個性”の中からこれを選んだだけ……あぁ。怒ってる理由はコレかァ。エンデヴァーは死んでるよォ??ホークス」
「夏油傑のは頂いた。まぁ、生殺与奪?」
「…そう」
押都が返事をした後瞬きの時間もかかる前に2人組の後ろで羽を広げ空を立っていた。
「俺の”個性”は剛翼。耳が聞こえなくても羽の振動で分かる。目が見えなくても分かる。味も嗅覚も要らない。それがホークスだ」
次の瞬間、2人組のうち1人を羽根で上空に引き上げ、切った。その血は押都の身体に返り血としてかかったがそれはとても残酷で…とても美しくも見えた。切った時に血の着いた羽根は少し空を回転をして血を大体落としている。それは少し手馴れていた
「ハァ!?ホークスは人殺しはしねぇだろうが!んで人殺してんだよォ!!」
「血を避けるの失敗した…人を殺さないのは表面。犯罪を未然に防ぐ為に公安からは人を殺す任務受けてたから」
「ふっざけんな!!!じゃあムコウの思いはどうなんだよォ!!!!ムコウは夏油傑の友だったのに!!オレはお前らヒーローのせいでヴィランになったのに!!!」
「……でも殺そうとしたのは、そっちだから仕方ない…でしょ」
「うるさいうるさいうるさい!!!」
___まずい、目は見えないし耳が聞こえない。感覚も少しずつ消えてきてる。呪力を持ってしても流石に目が見えないと六眼は意味無い。ホークスで感覚が完全に消える前にやりたいところだが…
「赫灼熱拳ヘルスパイダー!!!」
ヤバい!これは避けられそうにない!!敵は力任せでやってるからなのかエンデヴァーさんよりは技が荒い。けれども火力は本気だ。どうすれば羽根の消費を最小限に抑えられる?考えろ。ホークス
「壱ノ型 霹靂一閃 神速」
雷の音を感じた、けれどもおかしい。今は晴れだったのに突如として雷になるのは不自然だ。俺の位置をヘルスパイダーが届かない所まで運ばれたが、新手か?
「よぉ。No.2」
「荼毘!?」
この呼び方…我妻善逸のCVは下●紘。俺と同じCV繋がりとこの呼び方から推測するにコイツは荼毘しか居ない。
「なんで荼毘が!?」
「うっせぇよNo.2。俺に気づかなかったってことは随分と限界が近いんだろ。俺が殺る」
「そななんせんでも俺がやる!」
「ヒーローなんだから無理は禁物だろ?」
「うっ…」
「図星になるならハナから言うなよ」
ここは荼毘に任せるしかない……アイツが倒されて”個性”が解除されたら。荼毘が暴れたとしても俺が止める…
「お前もヴィランか!?なんで邪魔する!オマエもヒーローを恨んでるんだよなァ?だから協力して殺そう!」
「ハッ。お前…分かってねぇな。俺はリーダー以外に指図されんのは嫌いだ。」
そう言い終えた頃、荼毘が蒼炎を出した。その火力は俺の唯一の命綱である羽根を燃やすほどだからサッと羽根を燃えない所まで移動させた。薄くなってきた感覚でも分かるほどには荼毘の炎は相変わらず熱かった
「ギャァァァァアアアアアア!!!!!」
「ふせろ。ゴミならせめて、燃えて俺の薪となれ」
薄い感覚でも分かるくらいの高い叫び声が鳴った。荼毘は思ったよりも楽しんでるみたいだな
「荼毘、かけられた”個性”がかいじょされんのやけど…解除方法知っとる?」
「この”個性”は『罪の告解』解除条件は隠している罪を吐くこと。隠し条件もありで、その本人をよく知る人物のみだとよ。しかも、その人物も罪を吐く必要があるらしいが……この状況において、お前をよく知る人物って誰か分かるだろ?」
「荼毘……か。」
組頭とか忍術学園の人達の前でやるか?普通。荼毘への罪…か。色々あったなぁ…公安所属だったこと。スパイだったこと。けれども1番許して欲しいことは…
「……ヴィラン連合、お前の仲間のトュワイスを…お前の目の前で殺したこと」
「…次は俺か。俺が轟炎司の息子だと言わなかった事くらいしかねぇぞ。」
段々と視界が晴れてきた。これは…解除成功ってことか。でも荼毘に聞きたいことはある
「解除出来てる。それよりも荼毘。聞いてもいい?」
「奇遇だなNo.2。俺もお前には聞きたいことがある。」
荼毘も恐らく同じような疑問を持ってるんだろうなぁ…じゃあ俺からいかせてもらおうかな
「……雷の呼吸 漆ノ型?」
「火雷神 」
まぐれな可能性あるよね…目配せで荼毘にターンを回した
「これは持論だけどね」
「愛ほど歪んだ呪いはないよ」
次は俺か…
「これから訪れる未来はきっと」
「きれい事など吹けば飛んでく混沌だろうぜ」
あ、このセリフ知ってるんだ…
「ヴィラン連合の内偵」
「俺が汚れてみんなが安心できるようになるのなら、喜んで引き受けますよ」
じゃあ最後に…また荼毘のターンで
「どうしたらお前が苦しむか、人生を踏みにじれるか、 あの日以来ずーっと考えた。 知らねえようだから教えてやるよ。」
「「過去は消えない」」
……これ完全に同類だ…
「荼毘、へんなこと聞く思うけど…ぶっちゃけ男女どっち?」
「女だけど?」
「…女のオタクかよ…同類」
「うっせぇな。妥協してちょこっとだけ、荼毘という人生を生きたせいで世間から見ればイカれているが俺から見れば少しズレてる程度だからまだ大丈夫だろ。焼き鳥野郎」
「オタクの知識あるだけの荼毘……」
「我妻善逸のせいで蜘蛛は嫌いだ。」
「そっか。やけど荼毘も転生ならん成り代わりってやつってことね。何に成り代わっとるの?」
「あー…影薄いやつ」
「あ、、条件同じやったんだ…」
「押都…どういうこと?」
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