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その翌日。
私は扉に背を預け、座りこんでいた。
と、扉がノックされる。
「リリアーナ、大丈夫か?」
彼だった。あれほど強く会いたいと願った彼。でも、もう私は……。
私は口を開く。
「お引き取りください」
「リリアーナ……?」
彼は戸惑ったような声を出した。
「私はもう、あなたにお会いする資格はありません」
私の声が震える。だめ、泣かないで。
「……それはどういうことだ」
彼は怒ったように言った。
「私はルウィルク様を傷つけました。あなたは、私といると不幸になります。だから……」
私の声がますます震えた。私は涙を必死に堪える。
「お帰りください」
彼からの返事はなかった。
十数秒してもなかった。
……帰ったか。彼はもう私には会いに来ないだろう。
これでいい。これで良かったのに……、どうして雫があるれるの。
それは止め処なくあふれてきた。
拭っても拭ってもあふれてくる。
……そのときだった。
扉が、勢いよく開き、彼が部屋に入ってきたのだ。
彼は怒ったようなにその整った顔を歪ませ、私の手首を掴む。
そして扉を閉め、私が逃げられないように私の前に座り込んだ。
次の瞬間。
私は目を見開いて固まる。
彼が私に口づけてきたのだ。ついばむような、長い口づけ。
私は彼を突き飛ばして逃げようとしたが、腰を強く引き寄せられ、逃げられない。
「……んん…」
私は彼の胸を強く押し、彼の身体を引き離した。
「……ぷはっ。はぁっ…はぁっ……。んっ」
だが、息継ぎができたのもつかの間。
私は逃げようとしたが、さっきより強い力で腰を引き寄せられ、また口づけられる。
「……ん………んんん……んー……」
私は息が苦しい中、彼の身体を必死に引きはがそうとした。
しばらくし、彼が私の身体を離す。かと思うと、代わりにぎゅうっと痛いくらいの力で抱きしめられた。
彼の身体を引き離す気力がもうない私は、息が切れ切れの中、口を開いた。
「離し……て…ください…」
「嫌だ」
即答である。
「私はもう、あなたのそばにはいられません」
彼の温もりに、涙があふれた。
「そんなことない。俺はお前がいないと生きられないんだ。お前が俺から離れていくなんて、絶対に許さない」
彼は、私を抱きしめる力を強める。
「だから、一生そばにいてくれ」
彼の温かい声に、私の涙は一層あふれ出す。
「ル…ウィル、ク…さま」
私は必死に声を絞り出した。
「何だ?」
彼の声がやわらかい。優しくて、穏やかで……。
「ごめ…ん……なさ、い……」
私は泣きながら言う。
すると彼は、私を抱きしめる力をまた強めた。
「……謝るな」
そうして私は彼の腕の中で泣き続けてしまい、彼の肩を濡らしてしまった。